1話
短編に投稿するつもりだったんだけど書き方が長編だったと後から気が付きました。
なので長編連載に投稿しますが内容は短編です。
初めましての方は初めまして。そうでない方はお久しぶりです。
初めましての方がいるかもしれないので、いちおう自己紹介をしておきましょう。
わたしは旅する葬儀屋を営んでおりますホワイトと申します。その界隈ではまぁ割と有名な美少女だったりします。どや。
葬儀屋では本名は語らず色の名前を名乗ることになっていて、わたしは「ホワイト」と呼ばれています。
自分で名乗り始めたわけではないので、呼ばれている、です。
白は好きですし、それが高じて全身白い服を着ているので、そう呼ばれるようになったのでしょう。たぶん。
以後、お見知りおきを。
わたしは鬱蒼と茂る森の中を、魔力板に乗って地面のスレスレを滑るように移動しています。ダイヤモンドダストのような煌めきが波のように尾を引いて、その光景はとても幻想的です。
「……暗くなってきましたね」
頭上は木々の葉に遮られているのでもともと暗かったのですが、日も落ちてきてさらに暗くなり始めてきました。
さてさて、どうしましょう。
日が落ち切る前に人のいる場所を見つけるか、それとも潔く諦めて野営の準備を始めるか。
「…………?」
と、そんなことを悩みながらも移動を続けていると、わたしの奇麗で形の良い耳が物音を捉えました。
魔力板から降りて森の静けさに耳を澄ませます。
小さいですが、自然の物ではない音が確かに聞こえてきました。カーン! という感じの音です。
こんな森の中でも住んでいる所には住んでいるものですね。地図には載っていないようですが。
わたしはその音を頼りに方向を探るようにしてゆっくりと歩きます。
すると、やっぱりあるではありませんか。小さな村が。村というか、もはや集落ですけど。
「これで野営はせずにすみそうですね」
ホッと胸を撫で下ろします。野営は汚れるし面倒だし疲れるし、でも肝心の疲れは取れないしで良いことないです。
焚き火の炎を眺めたり星空を見上げるのは嫌いじゃないですけどここは森なので。できません。
さて、場所がわかればこっちのもんです。再び魔力板に飛び乗って真っ直ぐに村へ向かいます。
聞こえてきた音の正体──薪割りをしている男性を見つけたので身だしなみを整えながら近づきます。
男性もこちらに気付いたようで、目が合いました。どうも。
ぺこりと頭を下げると男性は言いました。
「おばけだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
……はい?
こんな美少女を前におばけだなんて。失礼しちゃいますね。