05:肉がないとか信じれない!
目を覚ませば檻の中...じゃ、ない...?
え?どういうこと?
多分恐らく目の前にあるオシャレな鳥籠が昨日までの私の居場所で...。
...あれ?私大きくなった?
入っていたはずの鳥籠は目の前に普通に置いてある。
そう、鳥籠が。
檻だと思っていた空間は鳥籠程度でしかなかった。
通りであの男が大きいわけだ。
ふぅ、と息をつき伸びをする。
あー、自由に動かせる身体があるって良いモノね。
それにしても身体バッキバキになってるわ。
まあ久しぶりに動いたんだしこういうものか。
なんて思いながら掌を見た。
てのひら...だったもの...?を見た。
自分の意思で指は曲がるし手首も動かせる。
うん、私の手だねぇ、これは。
「肉がないんですけどぉぉぉ!!!」
私の肉!!!
目に飛び込んだのは骨ばった...どころじゃなくただの骨で。
慌てて視線を下ろせばうん、スリム!
じゃないわよ!!!
骨だよ!骨しかないんだよ!
ダイエット番組もびっくりだよ!!!
リバウンドなんてできないよ!!!
わーい永遠にダイエットはしなくていいのね!
...なんてなるわけないよ!!!
鏡を見てみたいけど怖い。
怖いけど...見たい。
でもそんな便利なもの見当たらない。
目玉ってあるのかなぁ...とか見た感じ内臓はないけど...いや、考えるのはよそう。
指を突っ込んでみるってのも手だけど...実際目があったら痛そうだからやだ。
あー...骨の数でも数えるか...?
と言うよりこれどうなってるの?
関節も筋肉もないのに動いてるし
掌の骨はこれどうやってくっついてるの?
特に小指側の手首らへんのまるいやつ。
引っ張ってみるけどとれる様子はない。
なるほど身体がバラバラになる心配はないって事ね!
って安心できるか!!!
なんでそんな悲惨な状態の事を心配しなくちゃいけないのさ!
もっと身近に心配する事あるでしょ!?
ここがどこかとかさぁ!?
「ちゃんと女性の個体にしたのに何が気に食わないのか。」
ドロドロは嫌だと言っていたのに。
理解に苦しむ...なんて言いながらやってくる男が1人。
案外背が高かったのね。
私が小さい可能性もあるけれど。
今はそんな事より気になることがある。
「え、これ女性個体なの?
スケルトンに性別とかあんの?」
呆然としている私に眉間に皺を寄せてる男。
「失礼な事を言うな。
見てわかるだろう。」
わかんないから言ってんのよ!
と叫びたかったけどとりあえず自分の身体を確認する。
...うん、わかんない。
「何ヶ所かわかりやすい例はあるが...。
私は骨盤で見分けることをおすすめする。
多分一番見分けやすいかと思うが。」
「...わかるわけないでしょ!!!
比較対象出されても多分わかんないわよ!」
だって見なれてないんだもん!
骨なんて見慣れてるわけないもん!
はっきり思い出せないけど多分そうだ。
いやだって人骨をよく覚えてるJKとか嫌だよ!?
そんな風に喚き散らしている自覚はある。
でも私に理解の及ばない話なんだ仕方ない。
「まああくまで骨組みって事だ。
そのうち肉はつけるから安心しろ。」
なんと!ニューボディを手に入れられるのか!
...いや魂のままってのもおかしいけどさ。
とりあえず感謝感謝で拝んどこ。
「何をやっているのか知らんが...。
もう少しかかる事を覚えておけ。」
「いやぁそれならいくらでも待ちますよう!」
喚き散らしてご機嫌になって。
我ながら忙しい存在である。