日常の中の非日常
「―――どうしてこうなったんだ...」
俺はレンガ造りのベンチに座り、右手に持つ金銭の入った麻袋を握りしめた。
「あなた!そんな場所で座ったって仕方ないわよ!
...とりあえず職を探しましょう?」
フォローになっていない妻の言葉が胸に刺さる。
「再就職なんて出来るかなぁ...?」
深いため息を着いた後、ボソッとそう呟いて立ち上がった―――
「祐也〜、起きなさ〜い?」
母親の甲高い声が部屋中に響く。
僕、榊原裕二は市内 の高校に通う高校生だ。
僕はいつものように支度をして、学校に向かい、なんの変哲もない一日を過ごしていた...はずだった。
僕はこの後、奇妙な光景を見ることになる。
~放課後~
「なあお前ってさ、水無月のこと好きだろ?
幼馴染だし仲良いなら告っちゃえよ~」
「バッ...!?そんなんじゃねぇよ...」
「顔赤らめて何を言ってんだよ(笑)ほんっとお前ってそういうとこ分かりやすいよな」
こいつは社修司。
俺と結衣とコイツは幼馴染で、ずっと同じクラスだったから3人でよく遊んでいた。今でも俺の親友だ。
「ゆーくん!」
「お?噂をすれば...」修司がニヤリと笑った。
「二人ともそんなとこで何話してるの?」
「え、な、なんでもないよ」
「ふーん...まぁいいや!一緒に帰ろ!」
「だってよ、俺らも行くぞ」
「えっ、ちょっと待って!」
僕は急いで鞄を手に持ち、修司と結衣を追いかけた。
学校を出て十分くらい歩くと修司の家が見えてくる。 僕達はそこに行くまで、部活の話やゲームの話をして時間を潰した。
家の前に到着すると、
「んじゃ、俺はここいらで!じゃあな!」
と修司は朗らかに笑った。
修司が家に入るのを確認した後、結衣が小声で
「やっと二人きりになれた...」と言った気がした。
その瞬間、視界の端で何かが光った。
「え...なにあれ...?」
上空に模様が描かれている。
あれは何だ...!?
ゲームの魔法陣のようにも見える。
結衣もそれに気づいたみたいで、上を凝視している。
その時だった。
「うわっ!」
「きゃあっ!」
突然視界が白く光り、視界を奪われた!
目の前が見えるようになるのにに何秒かかったのだろうか。視界が戻った時には―――
修司の家は空き地になっていた...