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8 朝の訓練を始めたらすぐに見つかったんです!

すみません、遅れてしまいました!

予定通り3本上げます!

「それでは、おやすみなさい、お母様、お父様」


ミカがそう言って、自室へと入っていく。その姿はどこか元気がなさそうだ。

それもそうだろう。つい先ほど、アーリアに怒られ、ジェイナに注意をされたのだ。


そして、その2人は、ミカが自室に入ると、先ほどよりも真剣な顔で話を始める。


「ジェイナ、あの子をどう思う?」


「...何百年に1人レベルの天才、かしら」


「だよなぁ。...あの才能レベルだと、適性審査の時の水晶を破壊しかねん」


「破壊できるものなの?」


「どうだろうな。国王が持っているものならわからんが、そこらのものではその可能性もある。安物だからな」


アーリアとジェイナは、ミカのこれからのことについて話していた。

まずは、才能のことについて。


この2人は、ミカが属性魔法を一切使えず、強化魔法しか使えないことは知っている。もちろん、その理由もだが、その理由をミカに話すと、次の日には使えそうになっている気がして、2人は話をしていない。


その理由とは、各属性魔法を使うためには、契約が必要なのだ。

この世界には精霊というものが存在する。その数は無数にいて、それぞれ個体名があるのかどうかも不明だ。

しかし、唯一わかっていることが、属性ごとに分かれていて、それぞれの精霊と契約を交わさなければ、魔法を使えないのだ。

まだ契約を終えていないミカは強化魔法意外を使うことはできないが、これを話すと勝手に契約してきてしまう可能性もある。


アーリアは、頭を抱えて唸る。


「どうしたもんかなぁ...まさか、ミカだけ別の部屋で、なんて話にもならんだろうし....」


「...まあ、その時はその時ね。騒ぎになっても、国王に言ったらなんとかなるでしょう」


そう言いながら、ジェイナは窓越しに外を見る。

その視線に先には、ミカが残した爪痕(笑)が残っている。


アーリアは少し納得がいかないというような顔でジェイナを見る。


「お前は余裕なんだな」


「ええ。なんとなくですけど、あの子ならなんとかなるような気がしているんですもの」


ジェイナがそういうと、アーリアはフッ、と笑みをこぼした。


「俺もだよ」


2人はこの後、どこの初等学院に言えるか少しだけ話をした後、眠りについた。











「ふっ、はっ」


翌朝。ミカは少し早起きをし、自身に『筋力上昇』を施し、剣の素振りをしていた。

といっても、型にはまったような形ではなく、自分のオリジナルというやつだ。


(剣道のような感じでもいいんだけど、なんとなく嫌なのよね)


これを中心部の意識高い系の貴族に見られでもすれば、『美しさの欠片もない。舞踊団にでも入団したらどうだ?』などと言われるのだろう。

そこは、ミカもわかっている。


(というか、言われてみたいのよね。ラノベとかでほとんどの主人公が言われているような気がするし)


そして、ミカはもう1つ新しい魔法を覚えたので、それも併用する。


その魔法は、強化魔法の『サーチ』。

効果は、生命体が動くと、そちらに何かがいるということがわかる魔法だ。

どこまでが生命体なのかは、ミカは知らずに使用する。

これを使用するには訳があった。


「素振りしているとこを見つかったら、なんとなく面倒な気がするし...『サーチ』!」


魔法を発動するミカ。相変わらず、強化魔法はすぐに発動できるミカだった。


『サーチ』を発動したせいなのか、目が青く光っているが、鏡を見ているわけではないので、ミカは知らずに剣を振る。

日本人がこの光景を目にしたならば、カラコンを入れてる中二病にしか見えないだろう。


「ふぅ...つい癖で『ふぅ』とか言ったけど、全然汗かいてないし、疲れてない」


これも強化魔法の恩恵なのか、とミカは思う。

もう少し振ろうかと考えた時、家の中でどちらかが動く反応があったので、剣を鞘におさめ、自分の部屋に窓から戻る。


「『筋力上昇』だけでこれだけ強化されてるんだったら、他の人もこの魔法は使ってるんだろうなぁ...」


ミカが使っている質で他の人が使えるわけがないのだが、もし仮にそうだとしたらミカのアドバンテージは無くなる。

何せ、今の状態では属性魔法を使えないのだ。


「そもそも、勉強してないから、諦めるにはまだ早いけどね」


そんな感じで、ミカは諦めずに今日も本を見ながら詠唱をし、何も起きない謎の空間を作り出すことを続けていった。


「『ファイア』.........『ファイア』!.........『ファイアーーーーーーーーーーーーー』」










「ミカにもそろそろ、剣を教える時が来たようだ」


「ど、どうしたの、お父様」


朝食を食べ終わり、リビングのソファでのんびりしていると、アーリアが突然そんなことを言った。


その言葉を聞いたミカは、内心焦っていた。


(まさか、朝のアレがばれた? でも、2人が寝ている隙を見てやってたのに)


ミカの表情だけで何を考えているのかわかったのか、アーリアは少しドヤ顔で言う。


「俺だって武術を極めた人間だ。これぐらい近くなら、誰が何をしているかなんてすぐわかるさ」


どうやら、ミカはアーリアという人間の実力を過小評価していたようだ。

そもそも、国の一大事が起きたとき、中途半端に近いと必ず呼ばれるクラスの人間だという時点で、予想すべき問題だった。


ミカは、苦笑いを浮かべるしかない。


「あはは...そうなんだ...」


(てことは、もっと離れなきゃだめ、か...あの魔法の慣れにもなるし、うんと離れてやろう)


しかし、やめる気は無いようだった。


そして、アーリアは話を続ける。


「お前が朝に何をしているのかは知っている。だから、俺が稽古を付けてやろうと思ってな」


「そ、それじゃお父様の迷惑になるし、1人でも大丈夫だよ?」


貴族の生まれなら、言葉づかいも変えた方がいいのだろうかと悩みながら、なんとか稽古を無しにしようとするミカ。

口調に関しては、まだ何も言われていないので、変える必要はないだろう。


アーリアは、ミカの言い分を首を横に振って否定する。


「大丈夫じゃない。もし怪我して動けなくなったらどうするんだ?」


「そ、それは...そんな怪我をしないように気を付ける、とか...」


「いいか、お前はまだ5歳なんだ。5歳なんだぞ。5歳の女の子が自分よりもかなり大きい剣を振りまわしているんだぞ」


「....」


(そんなに5歳を連呼しなくても)


と思うミカであった。


しかし、アーリアの言い分は正しい。

怪我をした場合、5歳の体では助けを呼ぶことが困難な場合もある。それに加え、アーリアとジェイナは剣を振りまわしているミカを見ていては気が気じゃないだろう。


ここは、ミカが折れるしかなさそうだった。


「わかったよ、お父様。明日からの稽古、お願いね?」


ミカは、上目遣いでそういう。本人は無意識なのだが、美少女がやっているので、アーリアには効果がバツグンになってしまう。

一撃でHPを削られたアーリアは、胸を抑えながら『わかればいい...俺は少し寝るな』とだけ残して自室に入ってしまった。


アーリアはミカを溺愛しているようだ。


「...?」


しかし、愛されている本人は、他人からの好意に鈍感なのか、気づいていない。


「とにかく、朝はこれで時間がつぶれちゃったわけか...」


これからどうしたものかと、予定を考えながら部屋に戻るミカ。そんなミカを見ていたジェイナは、見た目は子供なのに中身は少し大人びているような矛盾に、頭を悩ませていた。


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