表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/92

77(EX)まさかの事件です!〈前編〉

はい、まさかの前編です。

私としても予想外です…が、すぐに終わらせて、本編に戻りたいと思っています。

ミカ達が宿で、『今日はお休みにしましょう』と決めた日、事件は起きた。


「イヤァァァァァーーー!」


「!?」


ミカは部屋で、セフィアとカナとの話を楽しんでいたのだが、部屋の外から女性の叫び声が響いた。


その音で、先程まで眠っていたセリナも飛び起き、4人は急いで部屋を出て、声のした場所がどこなのかを探した。


「お嬢様、どうやらこの部屋のようです」


「よし、入るわよ!」


カナが指し示した部屋の前には、口に手を当てて、目を見開いて固まっている女性がいた。

恐らく、先程の声はこの女性があげたのであろう。


ミカは、女性の対処を2人に任せ、セリナは一旦部屋の前で待機させ、1人で中に入る。


「……」


ミカの視線の先には、1人の男性。

ただし、その男性は首元から血を流し、仰向けで倒れているが。


「だ、だいじょう…ぶ…ではない、わね。もう手遅れか…」


ミカが、横に向いている顔を見ると、目が開いており、瞳孔も開いていた。


一応、脈を確認したが、死んでいるようだ。


「……まさか、こっちの世界に来て殺人事件…それも、名探偵コナソみたいな展開に出会うとは…」


名探偵コナソ。

探偵の主人公が、『親父にハワイで』と言いながら数々の迷宮事件を解決するアニメだ。


(あのアニメって意外とホモな展開が…って、今はそんなこととうでもいいわね)


ミカは、部屋の前で待機していたセリナを中に入れ、意見を聞く。


「どう、セリナ」


「……傷跡は、鋭利な物で傷つけられた可能性が高い。けど、血が飛び散らずにただ垂れている…よくわからない」


いつもこれぐらい喋ったらいいのに、とミカは思いつつ、顎に手を当て考え出す。


頭の中では、コナソの曲ではなく、何故かルパソのメインテーマが流れていた。


ルパソ7世。大怪盗で猿顔の主人公が、悪事を働いている奴から宝物を盗み出し、懲らしめると言ったアニメだ。


ちなみに、コナソとルパソは、対決映画と称して、協力していたこともあり、ミカはそれを繰り返しみていたので、自然と繋がったようだ。


「まぁ、とにかく、私たちには出来ることはあまり無さそうね」


「お嬢様、衛兵が到着しました」


そこで、カナが部屋の前でミカに告げる。

ちょうどいいタイミングだ、と、ミカは衛兵に丸投げすることに決めた。


カナの言葉に頷いたミカは、部屋の外に出て、衛兵が来るのを待ち、来た衛兵にミカが知っていることを全て伝えた。


「またか…これで何件目だってな…」


「また? それは、一体どういうことなのですか?」


ミカが衛兵の言葉に首を傾げると、衛兵は気にした様子もなく喋り出した。

守秘義務というのはないのだろうか。


「実は、ここ最近で、宿での殺人事件が多発しているんだ。それらの犯人は未だ捕まっていないが…同一犯なのでは、といった見解が広がっている」


「そうですね…確かに、そういった考えが広まるのは当然かと思います。ですが、誰も見ていないのですか?」


「ああ…犯人の姿は誰も見たことがないらしい。とはいえ、今回の件と同じような手段で殺されているようだから、持っている獲物を絞り込んではいるんだが…」


「……それは難しい話ですよね」


ミカの言葉に、衛兵は難しい顔をして頷く。

とはいえ、これ以上はミカも関わる気は無い。

衛兵がうーん、と唸りだしたのを見て、ミカはメイド2人に視線で合図をし、部屋を出ていく。


「それでは衛兵さん、あとは任せました」


「ああ、任され…って、どこに行くつもりだ?」


セリナを連れ、部屋の扉を締め切ろうとした瞬間、衛兵に扉を掴まれた。

衛兵も当たり前だが、鍛えているので、いくらミカが力を入れても、扉は閉まる様子はない。


とはいえ、ここでミカが容赦無しの強化魔法を施せば、衛兵の指はぐちゃぐちゃになっていたことは間違いないだろう。


ミカは諦めたようにため息を1つし、ドアから手を離す。


「まだ私たちに何か?」


「何って、君たちは重要な参考人なんだ。ここにいてもらわないと困る。何、少しだけだ」


衛兵がそう言うと、ミカは少し考える素振りを見せ、首を縦に振った。


「わかりました。では、私達は、私達が泊まっている部屋にいますので、用がありましたらそちらへ」


「ああ、わかった。……ああ、すまない、そこの方」


ミカはそう言うと、部屋から出ていき、元の部屋へと戻ろうたしたのだが、衛兵は何故か、セフィアを呼び止めた。


呼び止められたのが自分だとわかったセフィアは、カナに先に戻っているように指示を出し、その場に1人残る。


「なんでしょう?」


セフィアが、ミカ達が部屋に入ったことを見届けると、改めて衛兵の方を向く。


「ああ、大した話じゃないんだが…おたくのお嬢さん、なんかすごい、大人びてないか…?」


「なるほど…そのことですか。確かに、お嬢様は他の同年代の子と比べ、頭は良く、そしてキレます。ですが、子ども相応の弱さを見せる時もありますので、心配することはないかと」


セフィアがそこまで言うと、衛兵は安心したように息を吐き、頭に付けていた兜を取った。


兜の中に閉まっていたのであろう、金髪の長い髪が落ち、爽やかフェイスでセフィアに男は言った。


「それはよかった。最近は妙に人生を達観しているような…諦めているような子どもが多いとの報告を受けていましたから…」


「そうなのですか?」


「ええ。お引き留めしてすみません、もう大丈夫です」


男は、それだけ言うと、再び死体の調査に戻った。


セフィアとしては、先程の話を聞きたかったのだが、今はこれ以上は聞き出せないようだ。

そのことを理解したセフィアは、とにかく、聞いたことだけでも伝えることを優先し、部屋へと戻って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ