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73 父とガチバトルです!

さて、投稿がマイペースになり始めました。

こんな遅くまで投稿せずに申し訳ありません…。

こんな感じな作者ですけど、これからも見ていただけたら嬉しいです!

先手必勝。

そう考えたミカは、走り出すと同時に、自身に『筋力上昇』『アクイバレント・エクスチェンジ』をかける。


そこから超加速でアーリアに接近したミカは、下から一気に剣を振り上げる。


(鎧ごと切り裂くわけじゃない! 剣の腹で叩きつけて、気絶させる!)


だが、ミカの剣はアーリアによって防がれる。


ミカの切り上げは、アーリアがしっかりと剣で防いだ。

だが、ミカの圧倒的な力で、アーリアは5mほど浮かぶ。


防がれたことに驚きつつ、ミカも飛び上がり、追撃をしようとする。


だが、アーリアが何かを呟いた瞬間、辺りが眩い閃光に包まれた。


「!?」


視界を奪われたミカは、どこから攻撃が来るのか分からない恐怖を感じながら、感覚を頼りに着地し、その場から離れようとステップを踏む。


すると、すぐ側で何かが風を切る音が聞こえた。


(危なかった…あのままあそこに立ってたら…まあ、当たっても剣が壊れるだけかもしれないけど)


ようやく視界が戻ったミカは、再び剣を構え直し、アーリアを見据える。


アーリアは、自身の指にはめている指輪を見ているようだった。


「……これを使うとしよう」


「?」


アーリアがそう呟くと、指輪が淡い光を放ち、その指輪をミカに向けた。


すると、ミカは体の力が抜けたかのようにその場に倒れ込む。

だが、意識を失っている訳では無い。


(なに、これ…!? 力が入らない!?)


ミカが驚愕していると、アーリアがゆっくりと近づきながら説明し始める。


「この指輪は、お前が万が一暴走した時ようの、保険だ。ジェイナが作ったものだとはいえ、さすがの効果だな」


「お母様…!?」


ミカの言葉に、アーリアは頷いて返す。


「ああ、そうだ。お前の最大の武器は、圧倒的な魔力による自身の強化だ。その身からは想像出来ないような力で、相手を圧倒する。

だが、その強化を無くし、魔力の流れを妨害してしまえばどうだ?」


「……!」


やられた、とミカは内心舌打ちした。


魔力の流れは人体には密接な関係にある。

その日の体の調子は、魔力が体中に流れているかどうかでも左右される。


それを妨害されているからこそ、体に力が入らず、どうやらそれに加えて強化魔法も打ち消されたようだった。


「……まあ、これでお前の負けは決まったんだ。大人しく学院に戻ってもらうぞ」


「……」


アーリアが剣を肩に乗せ、ため息混じりにそう言うが、ミカはまだ諦めていなかった。


(魔力の妨害をする道具があるなら、それを防ぐ方法もあるはず…だけど、どうすれば…!)


ふとそこで、自身の右手に触れている剣に気がつく。


ミカが今手にしている剣は、『コンバート』したせいで大量に魔力を吸っている。


(これを使えば…いけるかも…)


ミカは、アーリアが持っている指輪は、ミカ単体に発動していると考え、剣を握る手に力を込める。


その様子に気がついたアーリアは、再び深いため息をつき、剣を構える。


「…一度気絶させた方が良さそうだな」


アーリアの言葉を受け、ミカはチラリとセフィアたち3人を見る。


見れば、セフィアとカナが必死にセリナを抑えているように見えたが、気の所為だろう。


(そんなことより、今は…こっち!)


ミカは今も尚わちゃわちゃしている3人から意識を外し、剣に意識を向ける。


その中には、膨大な魔力が込められており、一瞬ミカの視界がグラつく。


(あっぶな…地面に横になってるのに、視界が揺れるってどういうこと…)


突然起きた異常に戸惑いつつも、ミカは剣越しに魔法を使おうとする。


ふと、アーリアが何をしているのか気になって視線を上げてみると、何故かセリナとアーリアが戦闘していた。


(え、どーゆーこと?)


そこに、優しくミカの肩に触れる手が現れる。

セフィアの手だ。


「お嬢様、大丈夫ですか?」


「だい…立てな…」


(いかーん! 口がまともに回らん! こんなに心の中では喋っとんのに!)


ミカが全く喋られないにも関わらず、セフィアは的確にミカの言いたいことを理解し、肩を貸す。


そこで、ミカは思い出す。


(そういえば、うちのメイドは私の考えてることが分かるんだったわね…)


セフィアに助けてもらい、なんとか立ち上がることに(体重は全部セフィアに乗っているが)成功したミカ。


アーリアとセリナを見れば、今も戦闘中だ。


「セリナ様であれば、お嬢様がおかしい倒れ方をしたので、怒りに我を忘れてしまいまして。止めようとしたのですが…」


(ああ、なるほど……)


そして、セリナからアーリアに視線を移す。

アーリアが付けている指輪は依然として光っているが…。


「お嬢様、光りが…」


カナに言われるままに、光りに注意して見ると、確かに、言われてみれば弱くなっているような気がしないでもない。


そこで、セフィアがセリナに指示を出す。


「セリナ様! お嬢様のお父様が嵌めている指輪を破壊してください!」


「ん…!」


だがしかし、こっそり伝えるならまだしも、それはアーリアにも伝わっているので、難易度は格段に高くなる。


セリナが、一生懸命に指輪を狙って剣を降るが、そのどれも、アーリアに防がれてしまう。


「んん……!」


「やれやれ、将来有望な、人材がお前の周りには、集まるなぁ!」


それでも、セリナは諦めずに狙い続け、アーリアも、セリナを捌くのに手こずっているのか、防戦一方だ。


それを見たミカは、セリナの体力が尽きる前に自力でどうにかしなければと、剣を握る手に力が入る(本人は入っているつもり)。


(とにかく、この魔力をまずは取り込む。全身に行き渡ったら、その魔力を使って、魔法を発動、指輪を破壊する!)


ミカの意志にそって、剣の中の魔力が、ミカの体に流れ出す。

流れた分だけ魔力が補充されているわけではなく、補充した途端に消えていく魔力。

だが、一瞬ではなく、徐々に無くなるようだ。


「セフィア…」


「はい、お嬢様」


こういう時、一言だけでも伝わるって便利ね、などと思いながら、ミカは足と右手に力を込める。

体の中で魔力を入れる場所は、中心と足、それに剣を握る腕だけ。


あとは、『筋力上昇』に使う。


「ぁぁぁぁああああ!!」


「!?」


普段はしない、ミカの全力の踏み込みは、一瞬でアーリアの元へと接近し、ミカが下から振り切った剣は、寸分の狂いなく、指輪を叩き割った。


「がぁっ!?」


その際に、アーリアの指ごと叩き、骨を砕いてしまったような感覚をミカは覚えたが、今はそんなことを気にしている暇はない。

今度こそ魔力が無くなったミカは、その勢いのままゴロゴロと転がり、カナが体で止めてくれたおかげで、その場で止まる。


剣は、剣の魔力が無くなったのか、剣は黒から元の鈍色へと変化していた。


カナに体を起こしてもらい、ミカは視線をずらし、アーリアを見る。


見れば、アーリアはセリナに組み伏せられていた。


(……この国だか世界だかで一番じゃなかったの…子どもに組み伏せられちゃって)


続いてセリナに視線を移すと、目がマジだった。

それはもう、『殺す』と言わんばかりに。


ミカは慌てて、なんとかセフィアの方を向く。

すると、すぐにミカが考えていることを理解したセフィアは、セリナを羽交い締めにする。


危うく父を目の前で殺されそうになっていたミカは、内心ため息をつき、安堵する。

すると、カナが耳元で言う。


「お嬢様。以前にセフィアから聞いたのですが、魔力を移動させる魔法があるのだとか。私の魔力を移すことを提案致しますが…」


(確かに、その方がいいのかもしれないわね…)


ミカは、カナに手を取ってもらい、『マジック・アサインメント』を使用する。

そして、動ける程度の魔力をもらい、立ち上がる。


「……平気?」


「はい。何ともありません」


(立ち上がるぐらい、必要最低限しか取っていないとはいえ、一般人的にはかなりの量を…ああ、そういえば日本人だったわね)


異世界転移してきた、元日本人であるならば、一般人とはいえ、魔力量もかなりあるものかと納得し、アーリアを見る。


ちなみに、セリナはセフィアに未だに羽交い締めされている。


「……」


「…お父様」


「私は、お前が心配なのだ」


ミカが口を開くと、アーリアがそれに被せて喋り出した。

何かを伝えようとしていることを感じ取ったミカは、アーリアにその場を譲り、黙る。


「……あの日、私の目の前に現れた人間が、お前が死ぬと予言した」


「……私が死ぬ、ですか?」


「ああ。最初は信じられなかったが、その後に起きたことを全て予想して当ててみせたんだ。嫌でも信じる」


「……」


アーリアが言った内容を、ミカは予想しながら、まとめていく。


(つまり、目の前にうさんくさそうな占い師みたいなのがいて、あなたの娘さんは死にますって言ったのね。

もちろん信じられなかったけど、実際に当ててるところを見せられたら信じるしかないと)


と、そこでミカは1つの考えが浮かぶ。


(もしかしてだけど、その人、日本人とか言わないわよね…)


そもそも、魔法を使ったとしても、未来を見通すということは不可能に近い。

かくいうミカも挑戦したことはあったが、あればかりはイメージでどうにかなるものではない。


それに加え、未来を見る際にどれだけ魔力が必要なのかも分からない。

下手をしたら、ミカですら数秒しか見られないかもしれない。


と、そこまでミカが未来予知について考えていると、アーリアがその場で仰向けになり再び喋り出す。


「やつの名前は、アキラと言っていた。この辺りでは聞かない名前だなと聞いたら、この世界の住人ではないときたもんだ」


「……」


(はい確定。でも、異能の力が未来予知だとして、私死ぬの?)


そして、ミカの不安をよそに、セフィアとセリナがミカの元へ戻ってくる。


「ミカ…大丈夫?」


「ええ。平気よ。それより…お父様。そのアキラという人物は、ここに来ますか?」


ミカは、セリナに笑顔で頷きながら、アーリアに問いかける。

すると、アーリアは小さく頷きながら、答えた。


「ああ。お前を出迎えるまでに呼びに行かせたから、もう少しで来ると思うぞ」


それを聞き、ミカは一目散にその場から逃げ出そうとして、足をもつれさせてセフィアとカナに支えられる。


「お嬢様?」


「どうなされたのですか?」


セフィアとカナが交互に聞き、セリナが不思議そうに首をかしげながらミカを見るが、ミカはとにかくこの場から離れたい一心だった。


(だって、面倒そうじゃない! それに、カナと面識あったらそれこそ面倒だし!)


と、ミカの動き出しも虚しく、その場に1人の男が姿を現す。


「やれやれ…アーリアさん、僕に何の用ですか?」


(あ、あいつはぁぁぁあ!!)


それは、この世界に来る前の記憶。

みかんと初めて話した時、いじめられていた男の子が、そこには立っていた。

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