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69 初めて依頼を受けるんです!

いつも見てくださり、ありがとうございます。


最近は体調を崩しており、毎日更新、とはいかないかもしれませんが、回復しだい、投稿できなかった分をそこでしていきたいと思います。

「セフィア、何これ?」


「何って、依頼ですよ、お嬢様」


ミカがセフィアが手に持っている紙を覗くと、書かれていたのはミカの想像している討伐依頼のようなものではなく、ものを探してくれという依頼。


「…まあ、こういうのもあるわよね」


この世界での冒険者は、確かに色々な所に行き、色んな魔物を倒したり財宝を見つけたりする人もいるが、何でも屋の印象が強い。


昔はダンジョンに挑む冒険者も多かったが、全体的なレベルが落ちていることから、挑む人は少なくなっていた。


「それでは、こちらを受けますね」


セフィアはそのまま、受付に紙を持っていく。


依頼の内容は、落としてしまったネックレスを探して欲しいという依頼。

詳細は直接会って伝えるとのこと。


報酬も書いてあり、受注してからの期日も書いてあるが、それが妥当なのかはミカには判断できない。


「とはいえ、どうやって探すの?」


ミカがカナに聞くと、カナはとんでもないことを言い出す。


「お嬢様なら探せるのでは?」


(何を言っとんのじゃこの子は)


カナの言葉に呆れながら聞き流し、今度はセリナに聞くミカ。


「どうやって探すの?」


「?」


どうやらセリナも分からないようだ。


(これは…セフィア頼りかしら)


しかし、戻ってきたセフィアに同じ質問をしても、帰ってくる答えは同じだった。


「お嬢様ならば、簡単に見つかると思いまして」


(私の能力過信しすぎじゃない…? というか、力を持ってる人が過信するならまだ分かるけど、周りが過信するって珍しいような…)


とはいえ、『できません』では、信頼してくれた仲間たちに申し訳ない。

そう考えたミカは、探し物を見つける魔法を頭の中で探す。


(風魔法のあれは…手がかりがないと…欠けたパーツとかあれば簡単なんだけど)


それがもし無かった場合のことを考えると、やはり別の魔法は必要だろう。


(備えあればなんとやら…ってね)


「それでは、明日に備えて、今日は宿で休みましょうか」













セフィアが取った宿は、この辺りでは高額な宿らしい。

1番安い宿と比べると、ここに泊まるだけで向こうでは4泊出来るんだとか。


部屋は1部屋で、ベッドは少し大きめなのが2つ。

ミカとセリナ、カナとセフィアという組み合わせだろう。


(ということは、セリナを抱き枕に…逆に抱き枕にされそうね)


未だにセフィアを抱き枕にしているミカだった。


ミカはベッドの縁に座り、セリナはその隣、セフィアとカナはもう片方のベッドの縁に座り、対面する形になる。


そして、明日からの予定を組む。


「まずは依頼についてですが、お嬢様は把握しておられますよね?」


「ええ。失くしたものを探して欲しいって依頼ね。実際に何を探して欲しいのかは明日伝えられる。探す期間は…1週間だったかしら」


「そうです。その期間内に依頼を達成出来なければ、違約金が取られます」


「……何回までなら失敗しても大丈夫?」


「いくらでも大丈夫です」


早速失敗することを予測しているミカであった。


そして、そのあとはお互いに所持している物の確認と、何時に起きるかを決め、寝る支度を始めた時、セリナが手を挙げた。


「セリナ、どうしたの?」


「お腹減った」


「……さっき食べなかったかしら」


そう言いながら、ミカは立ち上がる。

それに合わせて、カナも立ち上がり、部屋の扉を開ける。


「それじゃあセフィア、みんなの分を買ってくるから、こっちはお願いしていい?」


「お任せ下さい」


ミカはカナにアイコンタクトし、何を買うのか決めながら宿をでる。


セリナのお腹を満たすことが出来つつ、値段も安く、味が良いものを探さなければならない。

ミカがそう考えていると、カナが笑顔で否定した。


「お嬢様、お金を気にする必要はありませんよ。仕事をせずに贅沢しても数年過ごせるほどはありますから」


「……そう」


そのお金はどこから持ってきたのか、というかどこに入っているのか。

ミカは聞きたいことは沢山あったが、とりあえず後回しにすることにして、空腹で待っているセリナにために手早く用事を済ませ戻ることにした。













「今戻ったわ」


「おかえりなさいませ。セリナ様はお休みになられたようです」


「……買ってきたのに」


セフィアの言う通り、ベッドで寝息を立てているセリナを見て、ミカは肩を落とす。

ミカとカナが今手に持っている食べ物の半分ぐらいは、セリナのために買ってきたものだ。

選ぶのに数十分使っていた。


「それではお嬢様、食事にしましょうか」


「……ええ、そうね。明日の朝の分もあるから、それは別のところに置いておきましょう」


「はい、お嬢様」


ミカが明日の朝の分をセフィアに預け、カナは机と椅子を準備する。


そして、カナが引いた椅子にミカは座り、3人で食事を始める。


メンツがメンツなので、必然的にミカが喋らなければ、2人は特に喋ったりはしない。

そして、静かに食べる中、ミカが考えるのは光たちのこと。


(おじいちゃんに連絡したいのは山々なんだけど、私が…ミカが美香として理解してもらえるか…物証はないわけだし)


と、そこまで考えて、ミカは重大なことに気がつく。


(ちょっと待って。お父さんが美香を探して欲しいって言ってるということは、私の体はこちらに来ている可能性が高い。

でも、中身は別の体に入っている…ということは、私以外の誰かが、私の体に入っている、ということも有り得るってことなの?)


ミカはそこまで考えて、首を振る。


「お嬢様?」


「あ、いや。なんでもないわ」


カナが不思議そうな顔をしているが、ミカはそれを大丈夫だといい安心させる。


だが、内心は焦ってもいる。


(そんなこと、無いと言い切れるほどの自信がない…物証と言えば、私という存在がそうなのだし)


他人の体に、魂が入り込む。

その現象は、ミカが既に体験している。

先ほどミカが考えた事態も、起こりえないわけではなかった。


結局、考えているだけでは埒が明かないとし、ミカは2人に寝る準備を手伝ってもらい、今日を終えた。













翌日の朝。


「……」


「あ……」


奇跡的に、メイドの2人より朝早く起きたミカは、ミカやセフィア、カナの分も入っている朝ごはんを全て1人で平らげているセリナと、目が合ってしまった。


「……」


「……ミカも、食べる?」


「何してんのアンタはーー!?」


時刻は朝の5時。

早朝に、ミカのよく透き通る声が、響き渡った。


その後、普通に宿の人に怒られた。

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