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67 組合です!

かなり遅れてしまいました。申し訳ないです



「ここが組合…」


「はい。ここで依頼を受けることが出来ますが、まずは冒険者登録ですね」


セリナが修行と称した睡眠を初めてから数時間後。

馬車は大きな白い建物の前で止まった。


まずはセフィアとカナが降り、ミカが降りるのを手伝う。


「ありがとう」


「いえ」


「私たちの役目ですから」


ミカが礼を言うと、2人が交互にそう言う。

ちなみに、セリナは自分で降りた。


馬車を運転していた御者は、ミカに一礼してその場から去っていった。


「さて、この後のことは任せていいかしら?」


「お任せ下さい。カナ、お嬢様をお願いします」


「はい、お任せ下さい!」


そして、4人は中に入っていく。


建物の大きさはかなりなもので、入口から受付までは数十mはあった。

4人はてくてく歩き、受付にいた人にセフィアが話しかける。


「登録をしたいのですが」


「ようこそ、冒険者組合へ。登録ですね、少々お待ちください」


そう言って、受付の人は奥に入っていく。


それを見たセフィアは、振り返ってミカに言う。


「それではお嬢様、しばらく時間がかかると思われますので、お外で暇を潰してはいかがでしょうか」


「大丈夫なの?」


ミカがそう問いかけると、セフィアは1つ頷き、カナを見る。


「時間になれば、カナがこちらに案内致します」


「はい、私が案内します!」


セフィアがそう言い、カナが自信満々に拳を握り、胸の前に持ってくる。


時間になったかどうかをどう知らせるのか、ミカは気になったが、今は、そんなことはすぐに消えてしまう。


「それじゃあ、行きましょう、カナ!」


「はい、お嬢様!」


そして2人は、手を繋いで組合を出て行った。


残されたのは、セフィアとセリナ。


「お嬢様について行かないのですか?」


「…疲れた」


セリナはどうやら、馬車の中でしていた暇つぶしで疲れていたようで、セフィアに案内されて座ったソファですぐに寝てしまった。













「まずは、何を見ましょうか」


「そうねぇ…宿、はセフィアが見るんだろうし、道具屋にでも行きましょうか」


ここで『美味しいものが食べたいわね』と言わずに我慢したミカだが、それは杞憂であった。

カナが笑顔で、出店の方を見て言う。


「もちろん、それもいいのですが…ここは、食べ物を見ませんか?」


「……そうね、腹が減ってはなんとやらとも言うし」


「腹が…なんですか?」


「な、なんでもないわ。カナのおすすめは?」


「そうですね、私が調べたところ、あの店が…」


そして2人は、カナがおすすめした店へと歩いていった。













「これ美味しいわね」


「そうですね、お嬢様」


カナが適当に購入し、それを2人で食べる。

それを繰り返していた2人は、店にランキングを付け始めた。


「このお肉…今までで1番美味しいわ」


「では、ランキング更新ですね!」


ミカがそう言うと、カナが嬉しそうに答える。

カナもノリノリであった。


とそこで、カナが何かに気づいたような顔になる。


「カナ?」


「お嬢様、お時間のようです」


(どうやって伝えてるのかしら)


ミカが不思議に思っていると、カナは微笑みながら、ミカの手を取った。


「それでは、参りましょうか」


「……そうね」


考えていることがわかるカナがスルーするのだから、ミカには言えない事情があるのだろう。

そう解釈したミカは、カナと一緒に組合へと戻って行った。













「セリナ、ご飯買ってきたわよ」


「わあい」


組合へと戻ってきたミカ達は、もう昼近くになっていることに気が付き、ミカはセリナに買ってきた肉を渡した。


セリナは寝起きだったので、なんとも気の抜けた返事だったが、美味しそうに肉を頬張っている。


少しそれを眺めたミカは、セフィアの元へと向かう。


「時間になったって聞いたんだけど」


「はい、お嬢様。まずはこちらで登録を致します」


そう言ってセフィアが示したのは、受付の横の道の奥にある、扉。

その扉の上には、『調整室』とだけ書かれている。


「……登録にそんな調整必要?」


「申し訳ありませんお嬢様、もう一度お願いしてもいいでしょうか?」


「いえ、なんでもないわ」


ミカは一旦セリナの元へと向かい、食べ終わっていることを確認すると、説明をする。


「なるほど」


「それでは、行きましょうか」


ミカが説明をし終わり、セリナが頷くと、ミカの後ろからカナがそう言う。


ミカは頷き、4人で扉の中へと入っていく。


中には、帽子を被りメガネをつけている茶髪の女性が立っていた。


「ようこそ、冒険者組合へ。代表者として歓迎致します」


女性の服装は、黒のローブで、所々に星のアクセサリーがついている。

後ろの机には水晶玉があり、いかにも魔法を使います、といった印象を受けたミカだった。


(というか、室内なのに帽子?)


ミカが不思議に思っていると、セフィアが代わりに喋り出す。


「私たち4人分の登録をお願いしたいのですが」


「もちろん構いませんよ。ですが、そのためにはこちらで能力のチェックをさせて頂いていますので、協力お願いします」


女性は、奥にある水晶玉を指さしながら続ける。


「こちらに手をかざして頂ければ、登録しても問題ないかどうかが判定できますので」


「わかりました。それでは、お嬢様。まずは私たちから試しますので」


「ええ。よろしくお願いするわね」


ミカがそう言うと、セフィアが前に出て推奨に手をかざす。

しかし、特に水晶玉に変化は起きず、ミカとセリナは2人して首をかしげていると、女性が笑顔を浮かべた。


「ありがとうございます。問題ないようですので、受付でカードを受け取ってください」


「わかりました。それではお嬢様、私は扉の外でお待ちしています」


「わかったわ」


ミカが頷きながらそう言うと、セフィアは扉を開いて外へと出て行った。

そして、セフィアに続いて、セリナが手をかざす。


その時も変化は起こらず、やはり2人は首をかしげていた。


「それでは、受付でお受け取りください」


「……よく分からないけど、待ってる」


セリナはそう言うと、セフィア同様扉を開けて出て行った。


残ったのは、ミカとカナだけだ。


カナは、ミカを見て言う。


「お嬢様、どうしましょうか?」


「んー…そうね、私がやろうかしら」


ミカがそう言い、1歩踏み出したところで女性が止めに入った。


「そこは、主は最後を飾ってこそかと」


「え、そうなの?」


「さぁ、私も分かりませんが、そうなのかもしれませんね」


女性がそう言うと、ミカは分からず、カナも分からないので、とりあえずミカはカナに先にやらせることに。


(まあ、大将は最後みたいな感じよね、多分)


ミカがそう考えている間にも、カナは水晶玉に手をかざし終わり、振り向いていた。


「それではお嬢様、私もお待ちしておりますね」


「ええ」


本来ならば、従者が主の側を離れるなどおかしな話なのだが、これには裏があった。

とはいえ、ミカが考えていることではなく、セフィアとカナが考えている事だったが。


カナは先の2人同様、扉を開いて出て行った。


そして、ミカが自分の番だと、前に踏み出した時、女性は笑いだした。


「ふふふ……あははっ! 簡単すぎよ!」


「な、なに…?」


女性は満足するまで笑った後、ミカの頭に手を回し、一気に抱きしめた。


「この子、可愛すぎよ〜!」


「!?!?」


その女性の、ローブで隠れていた凶暴な2つの塊に挟まれたミカは、困惑するばかりだったが、扉が乱暴に開かれる音が響く。


「やはり、なにかするとは思っていましたよ」


「さあ、お嬢様を離しなさい。さもなければ、あなたは死ぬことになります」


いまいち状況が飲み込めていないセリナは、2人の従者の後ろから覗き込み、把握しようとしている。


そして、ミカは。


(なになになに!? どうなってるの!?)


混乱しっぱなしだった。

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