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61 シャワーを浴びせます!

皆さん、あけましておめでとうございます!

1日に投稿していたのですが、言うのを忘れていました…。


そして、すみません、遅れてしまいました!


日付が変わってしまいましたが、今日の分はしっかり更新します!

シャワー室に入ったカナは、一緒に入ったミカに服を脱がされていた。


「あ、あの、私自分で脱げ…」


「任せて任せて」


いつもセフィアに任せきりだったはずのミカだが、カナの服を手際良く脱がせていく。


カナが着用していたのが制服だったため、ミカの制服と酷似していたという事もあるが、簡単に脱がせることが可能だった。


ミカに制服どころか中に着ていたシャツも脱がされ裸になったカナは、そのままシャワーのノズルを差し出される。


「ごめんなさい、少し体を温めていてくれる?」


「え? あ、はい」


カナがノズルを受け取ると、いつの間にか現れたセフィアがミカの服を脱がせていく。


ミカの透き通るような肌を見たカナは、次に自分の肌を見て、項垂れる。


「ごめんなさい、待たせちゃったわね」


そして、ミカがカナからノズルを優しく取り、お湯を出してカナにかける。


最初はビクッとしたカナだが、その温かさに慣れ、すぐに緩んだ顔になった。

カナはサナとは違い、疑うことを知らなさそうだった。


(無警戒というか、なんというか。この子はほっとけないようなキャラだったんじゃないかしら)


もちろん、それは学校でしか通じない。

この異世界でそんなことを言っても魔物には通じないので、普通に八つ裂きにされるだけだ。


(まあ、周りにほっとかなかった子がいれば、守られてたんだろうけれど。ああ、あのグループはそういう連中だったのかな)


と言いながら、ミカはカナを椅子に座らせる。

水を弾く特殊な素材で作られた椅子だが、プラスチックではない。


そして、頭を洗っていく。


「目を瞑っていてね」


「は、はい」


カナは思ったよりもミカの言葉に素直に従うので、ミカも楽に泡を流すことが出来る。


妹が出来たような気になったミカだった。


「さて、それじゃあ、私は先に上がるわね」


「はい!」


ミカは簡単にシャワーの操作を説明した後、先にシャワー室から出る。

カナはミカに心を許したのか、純粋な笑顔を向けてくる。


脱衣場に戻ったミカは、セフィアに水分を拭き取られ、服を着せられながら、カナの服を物色する。


その中で怪しかったのは、やはり黒のリストバンド。


「……でも、硬い?」


女の子には不釣り合いなほどに大きく目立つ色のリストバンドだと思っていたミカは、実際に持ってみるとその違和感に気がつく。


元の世界で作られたリストバンドならば、ふわふわなはずなのだが、ミカが今触っているリストバンドは柔らかくない。

もっと言えば、金属製の触り心地だ。


ミカが色々調べていても、金属製の何かは反応を示さない。


(……これ、もしかしてだけど、生体認証? だとしたら、カナでしか反応しないのかしら)


だったら、カナが寝ている間にでも失礼しようかと考えたところで、その金属を持ってシャワー室に再び入る。


そこでは、壁にピタリと張り付きながらシャワーを浴びているカナがいた。


「……」


「にゃぁ〜…」


どうやらこれが彼女なりのシャワーの浴び方のようなので、放っておこう、そう考えたミカだった。


それは別として、これはチャンスである。


(それじゃあ、失礼するわね)


ミカが金属をカナに触れさせると、黒かった面の部分が青白く光る。


『カナさん、どうかしましたか? あなたから連絡があるのは珍しいですね』


「ふぇっ!? は、はい!」


機械越しに響いた女の人の声に驚いたカナは、シャワーノズルを振り回して気をつけをした。


もちろん、その間にミカはびしょ濡れなのだが。


ともあれ、ミカは確信した。


(これが通信する道具…随分と便利ね)


『それで、どうかされましたか? ご両親は現在手が離せないようですが』


「え、あ、いや……あれ?」


そこで、ミカがその場にいることと、道具が起動していることに違和感を覚えて、すぐにおかしいことに気がつく。


「ああっ!?」


「おっと」


カナが慌ててミカから道具を奪おうとするが、ミカはそれをひらりと避ける。


カナは異世界から来たとはいえ、チートな身体能力を持っている訳では無い。

であれば、鍛えているミカの方が能力は圧倒的に上だ。


そして、機械から心配そうな声が響く。


『カナさん? 何かありましたか?』


「え、あ、いや………え?」


「……」


カナがこの状況を説明しようとしている時に、ミカが人差し指を自らの唇につける。

一般的に、これで『静かに』というメッセージは伝わったはずだ。


そして、ミカが喋り出す。


「……どうも。こちらの世界のものです。勝元光に繋いで貰えますか」


『なっ!?』


「えっ…!?」


シャワー室に、2人の声が響いた。













ミカがカナとシャワー室に入っている間、サナは1人で静かに待っていた、訳では無い。


ミカの机の引き出しを開け、物色をするが、特にめぼしいものは見当たらない。

本当ならば、武器を手にしておきたかったのだが。


「…無いなら仕方がない。私の力で…」


サナたち日本人がこちらの世界に移動する際に、例外なく異能力が発現したが、それと同時に身体能力の強化も入る。


ただ、これには入る人と入らない人がいる。


この場合、前者がサナで、後者がカナだ。


「ふぅ…よし」


サナが深呼吸を1つし、シャワー室に突撃しようとしたところで、セフィアが中から出てくる。


ちょうどドアノブに手を伸ばしていたサナは、中途半端な所に手を出したままセフィアと対面してしまう。


それを見たセフィアは、強化されているずのサナを一瞬で転がし、腕を後ろに回し拘束する。


「なっ…」


「お嬢様の邪魔はさせません」


そう言うセフィアの目は、とてつもなく冷え切ったものだったという。


その場から立ち上がり、セフィアは再びシャワー室に入る。


地面に転がされたサナは、諦めたように目を閉じた。


「……メイドであんなに強かったら、抵抗するだけ無駄…ごめんね、カナ…」


サナはそのまま静かに涙を流し、カナの慌てる声を聞いていた。

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