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54 1人で情報収集です!

ブックマーク、評価など、ありがとうございます!


100ptsまでもう少し!

頑張ります!

酒場に比較的近い宿を取った2人は、部屋のベッドの縁に座り、情報を照らし合わせる。


「それじゃあ、セフィアはここからそう離れていないって聞いたの?」


「はい。しかし、私が聞いただけでも、『30番目のダンジョン』の場所は3つありますので、これにお嬢様の情報も合わせると…5つ、てしょうか」


あの酒場、情報満載である。


しかし、それら全てを回る以外に良い方法は無さそうでもある。


ミカは、頭を抱えて、ベッドに横たわる。


「もう…やっぱり人の噂ってこんなものよね…」


目的地が1つしかないので、ほぼ、5つの中に正解は1つしかないのだが、人の噂は変化する。

もしかしたら、正解は無いのかもしれない。


ミカが唸っていると、セフィアが口を開く。


「それでもお嬢様、行って無駄、ということにはなりませんよ」


「…? あ、そうか」


ダンジョンは、クリアすると報酬のようなものがもらえる。

ミカ的には、経験を積むという捉え方も出来るだろうし、一石二鳥である。


「そうね……そういう方法もあるのね」


ミカは体を起こし、セフィアに礼を言う。


「ありがとう、セフィア」


「いえ、それが私の仕事ですから」


ミカは、セフィアに時計を出させ、今の時間を確認する。


「今は…5時、か」


もちろん、午後のだ。


時間を確認したからか、ミカのお腹が空腹を訴える。

それを聞いたセフィアはすぐに立ち上がり、宿の部屋から出ていく。


(ご飯の準備に行ったのかしら。だとしたら、私もついて行った方がいい…かも?)


ここは学園ではない。

メイドの極意とやらの中に自衛の術があったとしても、襲われてはひとたまりもないだろう。


だが、ミカがついて行ったところで、人よけにはならないだろう。

見た目は子どもだし、年齢も7歳だ。


中身は、既に17歳ほどなのだが。


「まあ、大丈夫よね」


とりあえず、ミカは部屋で少し寝ることにした。

夜は、すこししたいことがあったのだ。













「ごちそうさまでした」


セフィアが運んできた料理を食べ終え、ミカは外に出る準備をする。


それを見たセフィアが、後片付けは一旦置いといて、ついて行こうとする。

だが、ミカはそれを手で押しとどめて言う。


「大丈夫、セフィアは後片付けをお願い」


「お嬢様…?」


「平気よ。危ないことはしないわ」


ミカがそう言うも、セフィアは未だ心配そうな顔だ。


これ以上は何を言っても無駄だと判断したミカは、部屋を出る。


ミカがセフィアを置いて、夜に1人ですませたい用事とは。


「まぁ、これからの資金は必要よね」


ミカは宿から出て、そう呟く。


そう、ミカがすませたい用事とは、資金調達の方法を見つけることだった。


今のところ、セフィアが持っているお金でも、余裕はある。

だがその資金に頼りきりだと、いざと言う時にお金が足りないなんて事態が発生する可能性もある。


「で、またここに来たわけだけど…」


ミカが再びやってきたのは、酒場。


今日の昼に、ミカはここに入った途端に多数の目に晒された経験があり、それが半ばトラウマになっていた。


しかし、ここで怖気付いては、これからのダンジョン探索の生活が苦しくなるだけだ。


ミカは意を決して、再び酒場の扉を開く。

すると中には。


「……」


「あ、すみませんお客さん、今日の営業は終わっちゃったんですよ」


中には。

店員以外、誰1人として、いなかった。













とにかく、セフィアに格好つけて(いた気がする)出ていったミカは、このままでは帰るに帰れないと判断し、他の場所で情報を集めようとする。


(というか、お酒ってこれからの時間帯に飲むもんじゃないの?

あそこは『酒場』とは名ばかりで、ただの情報を売ったり買ったりする場所なの?)


続いてミカが向かったのは、まだ人気のある場所。

店が多数連なっている通りだ。


ミカは、色々な店を物色しながら、店員に話を聞こうとしたいた。


「…これ、可愛いわね」


情報を聞き出そうと入った店は、子どもにプレゼントを買ったりするぬいぐるみなどを扱っている店だった。


ミカが手に取ったそれは、クマをモチーフにしたぬいぐるみなのだろうが、ミカの知っている熊とは別のクマらしい。


ぬいぐるみだからなのか、凶悪さは微塵もない。


(ん、タグがついてるわね)


タグに気づいたミカは、こちらの世界でもついていることに少し驚きながら、何が書いてあるのかを見た。


そこには、『本物のデザインから手を加えておりません』と書いてあった。


つまりは、あれなのだろうか。

この可愛いクマが、本当に森とかにいたりするのだろうか。


(ありえないわよ。というか、これが魔物だとして、討伐しろなんて話になったら殺せる自信ないもの)


とはいえ、この異世界でぬいぐるみができるというのは、魔物の中でも愛くるしい姿をしている魔物だ、ということにもなる。


逆に、それだけ目立つということは、他に可愛い存在がいないということにも繋がるのだが。


「……セフィアに買ってきてもらおう」


とりあえず、店から出たミカは、別の店へと向かった。


既にミカの頭の中には、情報収集などという目的はすっぽ抜け、単純に物色するために、歩いている。


「あの店、なんの店かしら」


ミカは、まだ子どもということが分かってしまった。













「しまった!」


静かに叫ぶという芸当をしながら、ミカは店の中で項垂れる。


そう、目的を思い出したのだ。


(やっちゃった〜…まだそんなに時間はたってないはずだけど、早いところ戻らないと)


という訳で、今いる店員に手早く聞くミカ。


「あの、『30番目のダンジョン』、知りませんか?」













「酒場より、こういった場所の方が、情報に統合性はあるけど、それらを本当に信じていいかどうかは、わからない、か」


店と店を走り回り、店員に情報を聞き、適当に商品を買って出ていくということを繰り返したミカは、比較的簡単に情報を集めることが出来ていた。


そした、得た情報は全て重なっていると来た。


ちなみに、クマ(っぽい)ぬいぐるみは、ちゃっかり買っている。

割と大きいクマのぬいぐるみだが、抱き心地が良いので、そのまま抱いて歩いている。


故に、色んな人に見られているのだが、ミカがその視線を気にした様子はない。


(このクマホントに可愛いわね〜)


本来の目的とは違う、思わぬ副産物を得たミカは上機嫌だったが、ミカとすれ違う人もほとんど上機嫌になっていた。


「天使が可愛いクマを抱いて歩いてる…」


「お母さん、私もあれ欲しい!」


「どこで売ってるのかしら?」


などと噂になり、後日、クマのぬいぐるみがこの国から消えるという事件が発生した。


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