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52 ダンジョンへ行く準備の準備です!

11月に入ったところで、ミカは学院を長期休学し、ダンジョンへと向かうことを、決意した。


まずは、朝のうちに担任にそのことを伝えなければいけないだろう。


「セフィア、お願い」


「はい、お嬢様」


ミカがベッドから降り、セフィアが服を着替えさせていく。

着替えが終わると、軽く伸びをし、部屋から出ていく。


時間はまだ朝の5時だ。

ジェシカはまだ寝ている。


寝ているジェシカを横目に、ミカは部屋から出ていく。

その後ろを、セフィアがついて行き、部屋の扉を閉めた。













「許可が欲しい?」


「はい。以前は何も言わずに行ったので、今回はちゃんと言ってから行こうかと」


ミカは、担任の元を訪れていた。

もちろん、その目的は許可をもらうこと。

前回は許可をもらわずに出ていったため怒られたのだと信じているミカは、素直に許可を求めに来た。


だが、担任の返答は、ミカの望んでいたものでも、想定していたものでもなかった。


「いや、許可を出せる出せないじゃなくて、外に出ちゃいけないんだけど」


「?」


担任の言い分はこうだ。


そもそも、在学中で、長期休暇に入っていなければ、学院の外に私用で出ることは認められていない。

というより、7歳の女の子とほとんど年齢の変わらないメイド2人を外に出させるなんて危険すぎる。


だそうだ。


「平気ですよ。私の強さは先生も知っているのでは?」


「いや…まぁ、そうなんだが…」


ミカが、この時だけは自分の強さを盾にして押し切ろうとする。

さすがに担任もそれには弱いのか、なんとか押し切れそうな雰囲気だ。


というより、許可が出なかったところで、ミカは勝手に出ていくのだが。


そして、ついに折れたのか、担任はため息をつきながら後頭部をかき、苦笑しながら言った。


「わかった。許可は私の方で出しておくよ。…どこに行くか聞いてもいいか?」


ミカに押し切られても、どこに行くかをちゃんと聞くところは、しっかりと仕事をしている証だろう。


それを分かっていて、特段隠す必要も無いミカは、素直に行き先を言う。


「『30』のダンジョンを探しに行きます」


「……?」


これ以上話すこともないだろうし、たとえ話したところで理解もしてもらえないだろう。

そう判断したミカは、セフィアに振り向き、出発することを伝える。


「セフィア、行くわよ」


「はい、お嬢様」


そして2人は、足早にその場から立ち去る。

後ろから担任が何かを言っているような気がしたが、ミカはそれを気の所為だとして無視して歩く。


そして、曲がり角を曲がり切ったところで、ミカはセフィアと手を繋ぎ、一旦自分の部屋に『テレポート』をする。


「ふぅ、まずは、外に出ても大丈夫そうね」


「はい。今回は前回とは違い、資金も十分にありますし、多少急いで出ても、必要なものを買い揃えることも可能かと」


ミカはちらりと、未だ寝ているジェシカを見てから、セフィアに対して頷く。


「そうね。じゃあ、もう出ましょうか」


セフィアが先に部屋を出て、ミカもそれに続こうとして、ジェシカの方をまた見る。


ジェシカに黙って行くことに対して、やっぱり行った方がいいか、と葛藤しているのだ。


しかし、それも一瞬で、ミカはセフィアの後に続いて部屋を出ていく。


しばらくして、静かになった部屋の中、ジェシカがむくりと起きる。


「……全く、私の事なんて、気にしなければよろしいのですわ…。全く」


しかし、そう言うジェシカの顔は、嬉しそうに頬を緩ませていた。













「さあ、まずは情報収集よ」


「はい、お嬢様」


『テレポート』で、前回攻略したダンジョンの入口まで飛んできた2人は、今後の活動進路をこの場で決めることにした。


と言うのも、ダンジョンの入り口付近には魔物が少ないというのだ。


(本に載ってた情報だから、もしかしたら間違ってるかもしれない。でも、森の中で考えるよりはマシなはず)


ミカは、セフィアが持っていた、この辺りが描かれている地図を取り出す。


「ここから…そうね、まずは街の中央に向かいましょうか」


「はい、お嬢様」


そして、2人は移動を開始した。

幸い、街の中心部は近い。


ミカは『筋力上昇』と、『アクイバレント・エクスチェンジ』を自身にかけ、セフィアを抱き抱える。


それと同時に、セフィアも微弱ではあるが『筋力上昇』をかけ、衝撃に備える。


セフィアも魔法を自身にかけることにより、ミカがよりスピードを出せるようになったのだ。


ミカは足に力を込め、一気に加速する。

すると、一瞬で景色は変わり、街の中心部に出る。


ミカのスピードの速さに街の人は気づかず、2人が今さっきそこに現れたことにすら気づいていないようだ。


ミカは、セフィアの腰に添えていた手を離し、辺りを見渡す。

情報を手っ取り早く集められるのは、どこだろうか。


「やはり、酒場てしょうか」


「酒場?」


「はい。そこでは、他の人よりもアルコールが入っているため、話を聞き出しやすいという利点もありますが、何よりも、情報を持っている人が多いです。

そこに聞きに来るということを分かっていて、聞かれるためにそこにいる人もいます」


「へぇ…」


その後のセフィアの説明によると、ミカがなんとなく予想していたことと同じだった。


まず、この世界でも、情報は金になるということ。

セフィアが最後の方に言っていた、わざといる、というのは、こういう事らしい。


後は、基本的なマナーのみだ。


ミカは、少し考え、セフィアに言う。


「とりあえず、そこまでは分かったわ。でも、私聞き出すとかやったことないわよ?」


「それに関しては、お嬢様なら平気かと」


「?」


ミカは、セフィアの言ったことがイマイチ分からなかったが、セフィアの言うことに間違いはないと信じているミカなので、とりあえずは酒場に向かうことに。


セフィアの言う通りに歩くこと2分。

でかでかと『酒場』と書かれた店を見つけた。


(…自己主張激しいわね。でも、それも当然なのかもしれないわね)


この国に初めて来たから、情報を知りたいという人も、探しやすいということにもなるだろう。


とはいえ、分かりづらそうだったら、現地の住民っぽい人に聞けばいいのだが。


「さて、それじゃあ、入ろうかしら」


「その前に、お嬢様、こちらを」


そう言うセフィアがミカに渡したのは、中に銀色の硬貨のようなものが入っている袋だ。


それを渡されたミカはすぐに察し、セフィアに聞く。


「これ、情報料ね?」


「はい。相場では、1枚で十分なはずです」


セフィアから情報料を聞き、ミカは再び、中に入ろうとする。

今度は、セフィアも止めようとはせず、その後ろについていく。


(ドキドキするわね…こういうの)


ミカは、酒場の扉を勢いよく開けた_____。


「……」


ミカが勢いよく開けたせいで、中にいた人がいっせいにミカを見た。


ミカは、怖気付いてしまった。


(精神を強くする魔法とか無いの〜!?)

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