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51(EX) クリスマスパーティーです!

(EX)とついている話は、話数は増えますが、本編には関係ないものにつけます!


思っていたよりも長くなってしまいました…

12月25日。

日本であればクリスマスだなんだと、街中が賑やかな日、のはずなのだが。


「むぅ…」


「お嬢様?」


この世界にはまず、キリストなんてものは存在しておらず、クリスマスという概念がないという話なのだが。


それでもミカは、クリスマスパーティーをしたいのか、不服そうな顔をしている。


もちろん、授業は普通にあるので、教室で、だが。


「…なんでもないわ」


「?」


セフィアが不思議そうに首を傾げるが、例え説明したところで理解はされないだろう。


セフィアになら、話してもいいだろうか、とミカは思う。


(……だめだめ。私が唯一信用出来る人よ。余計なことをして、私から離れていくような状況を私自身で作る訳にはいかないわ)


ミカは、頬杖をついて、ため息をつく。


周りの生徒は、そんなミカを見て、心配そうにしている。

ミカは周りが見えていないので、把握していないが、周りの生徒の視線はほとんどがミカに向いている。


ちなみに、ミカの隣に居座っているセリナは、ミカの肩に頭を乗せて眠っている。


(はぁ…どうしたものかしら。単純に…そうね、単純に行こうかしら)


ミカは、ぱっと思いついた作戦で、クリスマスパーティーを行おうとしていた。













「昔読んだ本、ですか?」


「そんなの聞いたことがありませんわね…」


「かなり古い本みたいだから…」


そう。

ミカの考えたら苦肉の策は、『前に読んだ本にそんなことが書いてあった』である。


ミカがかなり苦しい言い訳をしていると、ジェシカがとんでもないことを言い出す。


「それでしたら、本の名前はわかりませんこと?

私の家で探してみようかと思うのですが」


「あーっ、いやーっ、本の名前までは覚えてないんですよー!」


冷や汗をかきながら、ミカは嘘を言い続ける。

まだ、おかしいところはどこにもないようだ。


だが、ミカと共に過ごしてきたセフィアは、そんなミカの異変にはすぐに気づいている。

ただ、ミカが困るようなことはしないだけだ。


「それでしたら、調理の方は私にお任せ下さい。お嬢様のご要望通りのものを用意致します」


「……そうですわね、私は、他に協力してくれる方がいないか探しますわ。

まあ、恐らく大量にいると思いますので、逆にこちらが選ぶことになるかもしれませんけれど」


「セフィア…ジェシカ先輩…!」


そんな感じで、ミカの無理矢理なクリスマスパーティーが始まった。













まず初めに。

ジェシカが他の人に話す時、ミカが知っていることだけを言うことにした。


これに関しては、余計なことを言うべきではないというジェシカの判断だ。

7歳なのに、新しい魔法をポンポンと作り上げるので、皆が知らないことを知っていても疑う人は出てこない。


ミカは、他の生徒達に、半ば全知全能のような立ち位置になっていた。


そして、セフィアの件だが。

これに関してはジェイナが全面協力してくれた。

『娘が何かをしたいと言うのなら、それを全力で支援するのが親の役目です』とのこと。


セフィアは、以前見たジェイナの顔があるので、すぐに信じることは出来なかったが、ミカが飛んで喜んでいたので、セフィアも信じることに。


というか、ミカは実家に『飛んで』喜んでいた。


それはともかく、食事の準備は順調そうだった。


ミカが、『なにか手伝うことはないかしら?』とセフィアに言うぐらいには順調だ。


ちなみに、『お嬢様は、そちらでお座りください』と言われてしまった。


ミカはお菓子作りは上手なのだが、料理はあまり、らしい。













セフィアに言われ、ミカが自室の椅子に座っていると、ジェシカが扉を開けて入ってきた。


その顔はどこか急いでいるようにも見えるが…。


「ミカさん、大変ですわ!」


「大変、とは?」


ジェシカは、1つ深呼吸をし、丁寧に説明を始めた。


「最初は、ただパーティーをするとしか言っていなかったのですが、ミカさんの名前を出した途端に、全ての学年から参加人数が大幅に増えましたわ!」


「……ちなみに、人数はどのくらい増えたんですか?」


ジェシカの慌てっぷりに対し、ミカは落ち着いているように見える。

ミカのせいでジェシカが慌てているということを忘れてはならないが、この時は、あえて落ち着いた風を見せることで、ジェシカにも落ち着かせる狙いもある。


ミカの目論見通り落ち着いてきたジェシカは、人数を簡単に数え上げる。


「1学年、2学年から共に30。

3学年、4学年からは40ずつですわ」


つまり。


「全員で140、ですか」


そうなると、全員がお腹いっぱいになるようなパーティーはもう出来そうにない。

今からセフィアの元へと向かって、配分を変更してもらう必要がある。


そう判断したミカは、すぐに立ち上がり、セフィアの元へと向かうことを、ジェシカに伝える。


「確かに、それは早い方が良いですわね。私もついて行きますわ」


「ええ、わかりました」













「人数が増えたんですか?」


「と言うよりは、想定よりも多い、と言った感じね。…調整できそう?」


「もちろんです。私はミカ様のメイドですから」


ミカがセフィアの元へと駆けつけ、先程ジェシカから入手した情報を共有する。

こんな時、携帯があればな、とミカは思わずにはいられなかったが、到着してから『テレポート』の存在を思い出したのは内緒だ。


そして、セフィアはミカの話に対して、心強い返事をする。


その返事を聞いたミカは、安心したような顔をして、すぐに真面目な表情に戻る。


「でも、無理は禁物よ。140人分の軽い料理を作るなんて、普通なら無理なんだから」


「でも、お嬢様は普通ではない。であれば、そんな方に仕えている私も、普通でいてはいけないのです」


「……そう」


セフィアの口からナチュラルに、『ミカは普通じゃない』というセリフが出てきて、思わずショックを受けたミカは、短く返事をすることしか出来なかった。


そんな2人を見ていたジェシカが、口を開く。


「それじゃあ、私は集まった人を使って、会場を飾り付けますわ。人が余りそうなら、料理が出来そうな人をこちらに行かせますわね」


「助かります」


と、ジェシカに対しセフィアがそういった所で、ミカが質問する。


「会場って?」


「もちろん、この学院の庭ですわ。あそこなら、今回集まった人数も余裕で収まるでしょうし」


「……」


ミカが想定していたのは、多くてもせいぜいクラスの人数程度だったのだが。


そんなミカの思いは露知らず、2人は準備を進めていく。


ミカと話している間にも、セフィアの手は止まっていない。

ジェシカは、ここにいては出来ることはないので、ミカとの会話が終わり次第、庭へと向かっていった。


ただ1人、することがない人物が、ここにはいた。













言い出しっぺのミカが何もしないというのは、いささか問題だ。

だが、できることも限られている。


と、そこでミカご閃く。


(サンタの衣装をしたらいいのよ!)


そう考えたミカは、ダッシュで部屋まで戻ろうとして、『テレポート』で戻る。


そして、『コンバート』させていた布を取り出し、猛スピードで作製に入る。


今回の服は、ミニスカサンタだ。


(私のような美少女に着せるサンタ服なら、ミニスカサンタで決まりよ!

これが日本ならキツイの一言で終わったけど、ここは異世界で、しかも美少女!)













その日の夜。


セフィアが何とか人数分の調理を終え、それと同時に庭に料理を運び出した。


「そちらは1番のテーブルに、そちらは3番のテーブルにお願い致しますわ」


それらを仕切っているのはジェシカだ。

全てのテーブルに番号をふり、ジェシカが誘導している。


セフィアは、椅子に座って休憩中だ。


「…お嬢様?」


セフィアが辺りを見渡すが、ミカの姿は無い。

理由は簡単だ。

未だにミニスカサンタの調整をしているためだ。


セフィアは椅子から立ち上がり、ミカの部屋へと向かった。


セフィアがミカの部屋の前に立つと、扉の向こうからミカの声が聞こえてきた。


『よし! これでおっけー、ね! さぁ、いくわよ!』


その声が、段々と扉に近づいていることに気づいたセフィアは、すぐに横にずれる。


セフィアが横にずれると同時に、ミカが扉を開け放つ。


「あら、セフィア」


「お嬢様……その、とてもお似合いです…!」


「ふふ…ありがとう」


ミカの作ったミニスカサンタは、足はかなり上まであげ、太ももの半分辺りまでしか無い。

胸元は開けていないが、白のリボンがあしらわれており、肩は開けている。

足は白のハイソックスだ。


最早、ミカの趣味である。













その服装のまま会場に到着したミカが、すぐに色んな生徒に囲まれたのは、言うまでもないだろう。


そうなることを予測していたセフィアが、すぐにその場をとりもち、ジェシカがステージを作っていた。


「え? これいつ作ったの?」


ミカがそう言うが、ジェシカはその背中を押して、ステージへと上がらせるだけだ。


無理矢理上がらされたミカは、140人の視線に晒されながら、とりあえず、言うべきことを言うチャンスだと考え直す。


「……えっと、今日は、突然なことに付き合ってくれて、ありがとうございました!

私が見た本のことなので、もしかしたら無いかもしれないんですけど、その時は、私たちが伝統として、残しましょう。

食事は、思う存分食べてください。ただ、そこに出ている分しかありませんが、取り合いにはならないように気をつけてください」


と、ミカが喋る。


そんなミカを見て、セフィアは感動し、ジェシカは驚きに目を見張っている。


ミカはそこまで言い終わると、全員を見るように視線を巡らせ、最後に一言告げる。


「それでは、メリークリスマス!」


もちろん、ここにいる140人全員の顔が、理解できないというような顔だったのは、言うまでもないだろう。

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