50 マナタイトです!
深刻な問題。ネタ切れです。
なんて言い訳をするつもりはありません!え?もうしてるって?
とりあえず、1日最低1投稿を目処に変更したいと思います。
余裕があれば、3投稿ほどしようと思いますので…すみません。
ミカは、誕生日の翌日。
『テレポート』を使って、自宅へと帰ってきていた。
学校はあるが、もはやミカにとっては時間の無駄に近い。
欠席をしても、進級や卒業は成績さえ良ければ出来るというのが、日本との大きな違いだろう。
自室に『テレポート』したミカは、扉を開き、ジェイナに結晶を見せる。
「お母様、これが何かわかる?」
ミカがそう言いながら見せると、ジェイナの顔色が一瞬で変わる。
いつになく真剣な顔で、ジェイナは言う。
「ミカ、これをどこで?」
「え? 昨日誕生日だったから、その時にプレゼントで…」
「……送り主は?」
「それが、分からないの」
ミカがそこまで言うと、ジェシカは安心したように表情を緩ませ、ミカの頭を撫でる。
「そう。祝ってもらえて、良かったわね」
「うん、それは嬉しいんだけど…これが何なのか分からなくて、ずっと悩んでるの」
ミカが困り顔でそう言うと、ジェイナは少しだけ真面目な顔で言う。
「そう……これはね、マナタイトと言って、魔力が結晶体になったものなの。
下手に刺激すると爆発したりすることもあるけれど、高純度な魔力の塊だから、これをタンク代わりにしている人もいるわ」
と、ジェイナは説明する。
その説明を聞いて、ミカは自分がわかりやすいように、頭の中で置き換えていく。
異世界に適応するには、頭の中で置き換えることが重要だ。
(要するに、燃料タンクみたいなものかしら。
魔力をマッチと仮定して、マッチを入れたら燃えるみたいな。ただ、これだけ大きいものでも、私の魔力が半分回復するかどうかは怪しいところね)
そして、ミカは結晶、マナタイトを『コンバート』し、ジェイナに礼を告げる。
「ありがとうございます、お母様」
「ええ。そうだ、ちょうどクッキーを焼いたのだけれど」
「食べてもいいの!?」
「ええ、もちろんよ」
そして、ミカはジェイナのクッキーを食べ、そのまま自室で寝てしまった。
その日の夜。
ミカが部屋に『テレポート』で戻ると、ジェシカに普通に怒られた。
先生は何も言わなかったが(ただ諦めているだけ)、何故ジェシカがそんなに怒るのか、ミカには理解できなかったが、ジェシカは単純に心配だっただけだった。
ミカがどこかに行く時は、セフィアもついて行く。
そう認識していたジェシカは、セフィアを置いてどこかへ行ったと聞いた時は、誘拐されたと思ったほどだ。
過保護である、と思うかもしれないが、ミカはまだ子どもである。
ジェシカも子どもではあるのだが。
その日の夜。お説教は意外にもすぐに終わり、代わりに、ジェシカは説明を求めてきた。
「結局、それはなんだったんですの?」
「マナタイトっていう、魔力結晶らしいんですけど…」
「それなら聞いたことがあります。魔力タンクとしての用途が多いほか、実験にも使われているとか」
ミカが報告し、セフィアが気になることを言う。
ミカは、セフィアの方を向き、同じことを言う。
「実験にも?」
「はい。ただ、用途が用途なので、あまり世には知られていませんが」
それを知っているセフィアは一体、とミカは口に出しそうになったが、慌ててそれを飲み込む。
セフィアはミカのメイド。
それだけで十分だろう。
さて、とジェシカが、座っていたベッドの縁から立ち上がる。
「先輩?」
「シャワーを浴びてきますわ。ミカさんも浴びます?」
「いや、狭くないですか?」
ミカの冷静なツッコミに、ジェシカは黙ってしまう。
シャワー室の大きさなんて、大人が4人入ればいいほう。いくらミカやジェシカが子どもだと言っても、外見は中学生並だ。
1人の大きさとしては十分だが、2人となると少し狭い。
そして、そのままジェシカは不貞腐れたようにシャワー室に入ってしまった。
「そんな言い方しなくてもいいのではないんですの…?」
中から涙声で何かを言っているが、ミカは聞こえなかったようだ。
もちろん、セフィアはちゃんと聞いているので、哀れみの目をシャワー室に向けていた。
セフィアがこんな目をするのは珍しい。
ミカはマナタイトを『コンバート』し、ベッドの上に寝転がる。
剣が黒くなったのは、『コンバート』という魔法にずっと触れていたせいだ。
であれば、マナタイトが魔法に触れていたところで、起爆剤にはならないと、ミカは推察した。
恐らく、『コンバート』内は、濃密な魔力にただ触れている状態なのだろう。
あの剣も、使わずに手入れだけしていたら、何百年かしたら黒くなるだろう。
ミカはベッドから起き上がり、セフィアが服を脱がしていく。
そろそろ、ジェシカがシャワー室から出てくる時間だ。
「今出ました…」
シャワー室から出てきたジェシカと入れ替わりにシャワー室に入る、下着姿のミカ。
その姿をしばらく呆然と見ていたジェシカだが、ミカの後に、セフィアが入っていったところで、正気に戻る。
ジェシカが完全に出切ったところで、セフィアがシャワー室の扉を内側から閉じるが、そこで再び疑問が生じる。
なぜ、セフィアも一緒に入るのだろうか。
「……」
考えても答えが出なさそうなことを一瞬で悟ったジェシカは、タオルで髪についた水分を拭き取り、風属性魔法で乾かしていく。
「あんまり、常識に当てはめない方がいいのかもしれませんわね」
ジェシカは、また1つ賢くなった。
常識に当てはめられないミカがシャワー室から出てくる。
そのすぐ後ろにセフィアがおり、ミカの歩くスピードに合わせて歩き、髪の毛をタオルで拭いている。
そういう所が、セフィアの過労の一因なのではないだろうか、とジェシカが思わざるを得ないのは仕方の無いことだろう。
椅子に座ったミカは、髪の毛を拭き終わったセフィアから冷たい水を受け取り、喉を潤す。
一体、セフィアはどこから水を出したのだろうか。
メイドの極意は奥が深そうだ。
ミカが、水が入ったコップを机に置き、息を吐く。
「それじゃああとは、あの鍵ね…」
「そうですね、お嬢様」
ミカに関わると大変なことになると知っているジェシカは、気になる会話ではあるものの、我慢しているようだ。
ミカは、『コンバート』させていた鍵を取り出す。
「………」
(30…この世界にはダンジョンはいくつあるのかしら。というより、人間が定めた30番目のダンジョンと、ダンジョンが決めた番号でズレがないとは限らない。
それに加えて、使用方法も分からないときた。
あれ、よく考えたら、意外と分からないことが多い…?)
ミカは、気が遠くなりそうになりながら、今後の計画を軽く考えていくことにした。
明日はクリスマスなので、クリスマスのお話を書こうと思います!
本編とは関係ない話なので、飛ばして頂いても大丈夫です!
同じ日に本編も進めます!