42 全属性制覇です!
かなり遅くなってしまいました!申し訳ありません!
しっかり3本更新します!
初等学院2年目。
ミカは、いつもの教室で、バティスタが映し出された壁を見ていた。
『諸君。進級おめでとう。これからに期待する』
バティスタの話はそれで終わった。
(短っ!?)
日本でも、こちらの異世界でも、『校長の話が長すぎて倒れる人が出る』というのを体験したことがないミカだった。
というより、当時の日本でそんなことがあったら、ニュースに取り上げられてしまうだろう。
「はい、それじゃあ授業を始める。最初の授業は…座学だな」
「……」
ミカは、代わり映えのしない学院を、何となく変えたいと思っていた。
日本では、席替えがあったし、学年が変われば教室も変わった。
歩く距離も変わるしで、その時はワクワク感があるのだ。
それが、今では全くない。
担任が何かを言っているようだが、今のミカには全く聞こえていなかった。
「____とまあ、ここまでが魔法を発展させていくコツだが____」
(でも、変えるにしたって私1人じゃ何も出来やしないわよね。どうしようかしら)
ミカがしようとしていることは、日本で行っていたことだ。
学年が変わると教室が変わる、というのは難しいので、席替えが良いところだろう。
クラス替えはそもそも、適正で分けられているクラスだから替えようがない。
ただ、問題なのは、その必要性を聞かれた時だ。
(なんて説明しよう…気分が変わる、とか、私たちにはあんまり関係ないわよね…)
それに加えて、授業はほとんどが魔法の実演授業だ。
今のような座学は、稀にしかない。
「よし。座学は以上だ。実験室へと移動しろ」
「……」
(しまった!)
稀にしかない座学を、ミカは聴き逃していた。
授業内容自体は、ミカが大分前に理解している範囲だったので、どうせ聞いているうちに考え事を始めるのだが、最初から聞いていないと何を話していたのか分からない。
(もしかしたら大事な話をしてたのかもしれなかったのに〜!)
と、ミカが勢い良く立ち上がったところで、気づく。
「……なんか、少ないわね」
「そうですね」
今更気づいたのだが、クラスにいる人数が明らかに少ない。
最初いた人数から、約半分は減っている。
その理由を知っているのかどうかは定かではないが、他の生徒達も気にした様子はない。
(……どういうこと?)
ミカが家に帰っている間に、何が起きたというのか。
謎を抱えたまま学院に来たら、謎が増えただけだった。
「さて、今日は何をしようかしら」
2年目のミカ達は、基本的に自主授業だ。
先生から何かを言われることは無いので、生徒は自由に、自分が学びたいことを学べる。
と言っても、分からないことは先生に聞いてもいい。
ミカは、早速契約していなかった残りの属性と、契約しようとしていた。
「対価……前みたいな変なのに話しかけないように気をつけよう!」
そして、『スキャン』を発動。
目の前に色々な属性の精霊が現れる。
残りは、青の水属性と、黄色の土属性だ。
ミカは、目の前を通りすぎだ水属性の精霊に声をかける。
「あの、私と契約してくれませんか?」
『……許可』
(きょか? あ、許可か。単語だけな人とかいる…人じゃなかった。精霊とかいるんだね)
「ありがとうございます!」
『ん…『コントラクト』』
青色の精霊がそう言うと、『コントラクト』が成立。
ミカは、水属性の魔法が使えるようになった。
(と言っても、実感は無いんだけどね)
と、そこまで考えて、ミカは思いついたことを言う。
「ねえ、対価は要らないの?」
『……私は必要ない』
(対価を必要としない…最初に契約した風属性の精霊みたいなのね)
以前、セフィアから教えて貰った時は対価が必要だと聞いていたのだが、必要ない精霊もいるのだろうか。
となれば、精霊が対価を欲する理由は、別の何かなのだろうか。
とりあえず、ミカは全属性契約することにした。
「よし、これで終わりね」
「お疲れ様です、お嬢様」
土属性の精霊が要求した対価、微量な魔力を差し出し、ミカは全属性と契約を終えたことになった。
ふと周りを見ると、教室にいる生徒全員が、日を扱っている。
(他の属性の練習はしないのかしら)
ミカは不思議そうに見ているが、これにはちゃんと訳がある。
そもそも、ミカも含めて彼女たちはまだ子どもである。
日本ではまだ幼稚園に通って、足し算の勉強をしている時期だろうか。
それを比べてみただけでも、こちらの世界の人間は成長が早いと分かるが、それにも限度がある。
要するに、まだ幼い彼女たちは1つの属性しか扱えないのであった。
無論、使えない訳では無いのだが、あっちこっちに中途半端に手を出すよりは、といった考えなのだろう。
そんな中、ミカは4属性を同時に使用する。
右手には『ファイア』を纏わせ、左手の周りにはには『ウォーター』が漂っている。
土属性『アース』で足場を作り出し、風属性『ウインド』で浮かび上がり、足場に着地。
(思ったよりも並行して使えるのね)
これを見ているのがまだセフィアだけなのがまだ救いなのだが、彼女とて体は7歳。
いよいよ、大人の汚い争いに巻き込まれることは目に見えていた。
そんなこととは露知らず、ミカは魔法を使えることに改めて感動していた。