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4 転移失敗です!?

明日は出来れば午後に3本上げる予定です!

ふと気がつけば、目の前は広大な自然だった。


「ふぁぁ...」


美香は、その景色を目の前にして、驚きを隠せない。

ここが異世界か、などと言っていられる余裕は無い。こんなにも綺麗な景色は初めて見たのだ。


美香は、しばらくこの景色を眺めていたかったのだが、後ろから美香の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「ミカ、もういくわよ~!」


「あ、は~い」


名前を呼ばれ、なぜかそう反応するのが当然だと体が勝手に反応したのだが、そこで美香は疑問に陥る。


(あ、あれ、おかしいぞ)


いましがた、美香の名前を呼んだ人を見る。


まず、女性だ。

綺麗な銀髪だ。その髪は腰まで届きそうで、服はそれに合わせているのか、純白のワンピース。

顔は整っていて、美人なのは間違いないだろう。日本にいれば確実にスカウトが飛んでくるレベルだ。

しかし、このような美人の人とはあったことが無いし、ましてや、美香の名前を呼ばれるようなことがあったとも、美香は思えなかった。


(これはどういうこと? もしかして、向こうに先に行っていたっていう日本人なのかな?)


美香は自分でそう考えてみるが、すぐに自分で否定する。


(ないない。ここが異世界だと仮定して、日本と通信が取れるんだったら、時間の流れが変わっている可能性も低い。だったら、日本人離れした容姿はまずおかしい)


美香が考え込んでいると、その女性が美香の顔を心配そうにのぞきこむ。


「大丈夫? 具合が悪いの?」


「う、ううん、大丈夫!」


なぜか、そうすることが正しい、そうして来たのだと言わんばかりに、考えるよりも体が勝手に反応して受け答えをする。

この現象、一体どういうことなのだろう。









「なるほど、わかってきた」


女性についてきて、自宅と思わしき家に入り、その中で自室に入り込んで、美香は考え事をしていた。


なんとなく家にも見覚えがあったし、美香自身の部屋にも迷わずに到達できる。

そして、その部屋でどういうことかと考えていると、唐突に思い出してくるのだ。これまでのことを。


「まず、私の名前は、ミカ・ヴァルナ」


美香がミカだということを思い出すのには、さほど時間はかからなかった。というより、他の情報を思い出すのにも苦労はしていない。

しかし、理解に時間がかかることも多かった。


まず、美香__もとい、ミカの年齢は、来月で6歳になるということ。

この時点で意味がわからなかったのだ。


(私の元の体はどこにいったのだろう。どこかで放りだされて魔物とかの餌になっているのかな)


もしそうだったら最悪だ、とミカは頭を抱え込む。

とはいえ、ミカにも、こうなった理由は1つ思いつく。


(ほぼ、あのスーツのせいね...恐らくだけど、スーツに、カプセルで異世界へと転移させることに関しての抵抗装置でも組み込まれていたのだとして。

それで私の肉体は転移せずにそのままだけど、魂は移動しちゃったって感じかしら)


この時のミカの推理はほぼ当たっているのだが、本人が知るよしもない。


「とにかく、私のことは大体わかったわ。ミカ・ヴァルナとして生きていくしかなさそうね」


考えているうちに無意識で座っていた椅子から立ち上がり、壁に立てかけられていた鏡を見る。

そこに写っていたのは、綺麗な透き通る銀髪で、背中の中間まで伸びている。顔立ちも整っていて、これが自分の顔だとわかっていても、思わず見とれてしまう。


「あー」


声も改めて聞いてみると、かなり可愛い。

完成された美少女とでも言うべきだろうか。


(なるほど、これは...不幸中の幸いかな)


ちなみに、最初に出会った銀髪の人は、普通に母親だった。

彼女の名前はジェイナ・ヴァルナ。彼女が戦闘している姿は見たことがないので戦闘能力は不明だが、昔からわからないことを聞いたらなんでも答えてくれている記憶がある。

ミカは自身の母親をwiki母と心の中で名付けた。


(父親の方は...よく憶えていないかも)


ミカは、こちらでも父親に好かれていないのは、もはや運命というか呪いというのか。神様でも呪ってやろうかと考えている時だった。


「ミカ、いるか?」


コンコン、とノックされ、続いて男の声が聞えてくる。この声の主は、父親のものだ。


ミカは慌ててドアを開ける。


「う、うん、いるよ!」


「お、おう、そうか」


ミカは、父親と会話をするのが久しぶりということもあり、緊張して父親の方を見た。


名前は、アーリア・ヴァルナ。

髪は、ジェイナと同じように銀髪で短い。しかし、少し黒ずんでいるような気もしないでもない。

身長は2mに届くかといったところだ。ミカはまだ6歳になりかけなので、かなりの身長差がある。

そして、服の上からでもわかる筋肉。すごい体だ。ミカはテレビの中でしか見たことがないと、少し感動していた。


そして、アーリアもまた、緊張したように喋り出した。


「あーその、なんだ...ミカも、もうすぐ6歳になるし...プレゼントを送ろうと思ってな」


「プレゼント!」


その時、ミカは確信した。

この父親は、アーリアは、光のように会おうともしてくれなかったのではない。

アーリアは、きちんとミカを愛してくれるのだと。


アーリアのプレゼントという言葉に食いついたミカに対して、アーリアはそんなミカの姿を見て緊張がほぐれたのか、流暢に喋り出した。


「おう、こいつを手に入れるのは苦労したぜ...」


「苦労した?」


ミカがそう尋ねると、アーリアはにやりと口角を釣り上げた。

そして、背中に隠し持っていたのであろう、袋に包まれた、長い何かを、ミカの前に出した。


「こいつが、俺からのプレゼントだ」


「わあ、ありがと..うっ!?」


ミカはアーリアからのプレゼントを純粋に喜び受け取ろうとして、その重さにびっくりして落としてしまった。

その落とした先は、アーリアのつま先だった。


「ぐあぁっ!?」


「あっ」


ゴスン、といかにも重たいですよと言わんばかりの音を立てて、アーリアのつま先に落下した謎の棒状の物体。

アーリアはつま先を涙目でなでていたが、ミカは、そんなものを娘にやるつもりだったのかと少しアーリアに対する評価を考えざるを得なくなっていた。










「あなた、何をしているんですか?」


「いや、何、ちょっとな」


「...」


その日はそのまま、結局袋に包まれた棒状の物を開封することもなく、そのまま部屋で放置し、夕御飯の時間になった。


ミカは、無言でご飯を口に運んでいる。

そんなミカを、ジェイナはまたもや心配そうに見つめている。

アーリアは、つま先がまだ痛むのか、さすりながらご飯を食べている。


今日の献立は、焼き魚に、ご飯とはまた少し変わった風味の穀類、それにキノコのスープだ。

こうして家族で食卓を囲んでご飯を食べるということに感度しているミカだった。


「...おかわり!」


ご飯を盛りつけた皿を空にし、笑顔でおかわりを要求するミカの顔を見て、ジェイナは安心して、ミカから皿を受け取る。


アーリアはまだ、つま先を抑えていた。









「おやすみなさい、お母様、お父様」


ミカは、以前の記憶ともかなり融合し、『ミカ・ヴァルナ』にも慣れていた。


ジェイナとアーリアにおやすみなさいと告げ、そのまま自室に戻る。そして、そのままベッドにダイブしようとして、袋に包まれた棒状の物を見て、動きが止まる。


「ああ...忘れてた」


夕食前に、アーリアからプレゼントと称して何かを貰ったのだが、大の大人の足元に落としてあれだけ痛がるのだから、子供の足元に落としたらどうなることやらと、ミカは放置することにしたのだが。


「さすがに、開けないのは嫌だな」


プレゼントを貰ったことが嬉しかったのもあるが、何より、プレゼントをした人が、開けずに置いておかれたのを目にした時の悲しみを、ミカは知っていたのだ。

それが、かつては立場が逆だったとしても。


「何が入っているのかな~...」


正直言って、ミカには予想もつかないのが本当のところだ。


ミカは何が入っているのか期待に胸を膨らませ、袋を開けていくと、そこには鈍く輝く、何の金属でできているのかわからない剣が入って____。


「...」


ポフン。


ミカはそこまで見て、寝ることにした。


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