36 様子がおかしいです!
昨日は投稿できなくてすみません!
体調を崩してしまいました…今日はできるだけ投稿したいと思います。
明日は投稿できるか分からないので、明日の分も上げられたらと思います!
「お母様!」
「あら、ミカ。おかえりなさい」
ミカは現在、セフィアと共にジェイナの元へと帰ってきていた。
ミカは、自身の左腕が治ったことをまず報告する。
「お母様、腕はもう治りました」
「……そ、そう」
「?」
ミカの予想では、もっと喜んでくれると思ったが、ジェイナはあまり浮かばない顔だった。
ミカがそれを不審に思ったことに気づいたジェイナは、慌てて背を向ける。
「あ、そ、そうだ。ミカ、私、ご飯の用意をしてくるわね」
「わかりました、お母様。私は部屋にいますね」
ミカはジェイナがどこかおかしいことに気が付きながら、部屋へと向かう。
セフィアはその後をついて行くが、ジェイナとすれ違いざま、ジェイナから忠告するような声色て言われた。
「セフィア、命令よ。あの子を監視して、何かおかしいことがあったら逐一私に報告しなさい」
「……」
セフィアは、了解とも拒否とも取れないような反応で、ミカの後をついて行く。
ジェイナは、険しい顔でミカとセフィアの背中を交互に見る。
「……あの人、ちゃんと仕事してくれなかったのね」
そう、言い残して。
「ねえ、セフィア」
「なんでしょう、お嬢様」
部屋に戻ってきたミカは、ほとんど手をつけられていない自分の部屋を眺めながら、先程のジェイナを思い浮かべる。
「……お母様、何か変じゃなかった?」
「…そうですね。お嬢様が出立なさる前とは少し違うような気がします」
「そうよね…何かあったのかしら」
セフィアは、あくまでミカのメイドである。
たとえミカの母親が何かを言ったとしても、ミカを味方をすることに決めている。
ミカは、難しい顔をしながら腕を組む。
「…『アナライシス』で見たらわかるかしら」
「精神魔法をかけられている可能性もありますね」
「精神魔法?」
ミカは、セフィアの口から出てきた聞きなれない単語を聞き返す。
セフィアは1つ頷き、口を開く。
「精神魔法は強化魔法の1つで、本来なら自身の精神力を補助し、忍耐力を付けるというものです。それを改良したものが、悪用されているとの話を聞いたことがあります」
「なるほど…」
(というか、セフィアって凄い物知りね)
セフィアが物知りになった理由は、ミカがことある事に聞いてくるからなのだが、ミカは自覚していないし、セフィアはそれを苦とは思っていない。
ミカは、ドアを静かに開ける。
「ちょっと、見てくるわね」
「では、私はここでお待ちしていますね」
「ええ、お願い」
ミカは、足音を立てないようにリビングへと向かった。
『アナライシス』を使い終えたミカは、自室へと戻ってきていた。
しかし、その表情は明るくも暗くもない、ミカ本人もよく分からないという顔だった。
セフィアはおかしいと思い、ミカに尋ねる。
「お嬢様、どうかなされたのですか?」
「うん…ちょっとね」
ミカが見たのは、ジェイナに付与されていた『不明』という、ゲームで言う状態異常のようなもの。
これがまだ、それっぽいものなら解決方法を探す手掛かりにもなるのだが、『不明』となると話は別だ。
セフィアにある程度の説明を終えたミカは、ベッドに腰を降ろす。
「料理を作ってるお母様は、少し元気が無さそうだったけど、しばらくは様子見かしら…」
「……そういえば、お嬢様。ダンジョンを踏破した際に貰える物で、どんな体の異常も回復させる雫があると聞いたことが」
「……それに賭けるのも手、かしらね」
とはいえ、ミカの今の力で踏破できるかどうかは怪しいところだ。
ミカが渋っていると、セフィアが口を開く。
「私も、魔法は使えませんが体術には自信があります」
「あら、そうなの?」
長い時間を共にすごしてきたセフィアだ。
ミカにとっての『自信がある』がどの程度かは理解しているだろう。
それをわかっているミカは、ダンジョンに行く決意をする。
「じゃあ、明日の朝出発しましょう。食料はどうしたらいいのかしら?」
「ダンジョン内では、空腹にはならず、お手洗いにも行く必要が無いと聞いています」
「それは便利ね…」
それでいて、魔物が出てくるんだから、リアル経験値稼ぎのような場所だ。
ただ、リアルデスが隣り合わせなだけで。
「ミカ、用意出来たわよ〜」
「はい、お母様!」
ドアの向こうからジェイナの呼ぶ声がしたので、相談は一旦終了し、ミカはドアを開く。
セフィアはそれについて行き、いつも通り椅子を引くのだった。
「さて、それじゃ詳しい予定を決めるわよ」
「はい、お嬢様」
ミカとセフィアは、ミカのベッドの上に広げた地図を見る。
「ここが私たちの家で、ここがダンジョンなのね?」
「ここから1番近いダンジョンはここになります」
地図の尺度を考えるに、ここからミカの足で歩いて3時間…かかるかかからないかといったところだろう。
ミカは、いっその事強化魔法で飛んでいこうかと考えた。
「お嬢様、その際は魔力の消費量をお考えください」
「そうね」
ダンジョンについて魔力切れでは、来た意味がない。
外にだって魔物はいるのだから、休んでいるところを襲われる可能性だってあるのだ。
ミカは、一旦『コンバート』させていた物を全て出す。
「お嬢様、こんなに溜め込んでいたんですね」
「いやぁ、何かに使うかもとか思っちゃって」
ミカが『コンバート』していたのは、本、本、本。それと剣とレイピア。
本は全部で30冊になるだろう。
半分以上はジェイナの部屋にあったものだ。
「とりあえず、本は後でお母様に返しておくとして…多少の食料と水は必要ね」
「そうですね」
移動中も必要ないというわけではないのて、そこは準備をしなければならない。
ミカはゲームで出てくるテレポートのような魔法があればいいのにと考えたが、ないものはしょうがないと割り切って、必要なものと必要ないものを分けていく。
そこで、ミカはセフィアに聞く。
「ね、セフィアの道具は?」
「私の道具はありません。あったとしても、自身のポーチに入れますので」
「それもそうね」
学院に移動するにしたって、セフィアは何か持っていく様子は無かった。
ということは、以前ミカに施した針治療の道具はポーチに入っていたようだ。
そんな感じで、今日は終わった。
「さあ、行くわよ!」
「はい、お嬢様」
翌朝。
朝食を食べ終わった2人は、窓から飛び降りて外に出ていた。
ダンジョン内で睡眠をとるために、テントのようなものも『コンバート』済み。
準備は完璧だった。
ミカは、自身に『筋力上昇』と『アクイバレント・エクスチェンジ』をかける。
そして、セフィアを抱き寄せる。
「行くわよ、セフィア」
「はい、お嬢様」
そして、ミカは全力で飛び、ダンジョンへと向かっていった。