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24 謎が増えて、夢での助言です!

今日は3本の予定です!

5月の中旬頃。

聖武祭にではための模擬戦でケガをするという、大失敗をおかしたミカのケもほぼ完治し、魔法に関して勉強を進めていたミカは、とあることに気がつく。


それは、放課後いつも通り部屋で勉強していた時だった。


「なるほど…」


(『筋力上昇』のような一部の魔法が、どうして日本で言う『日本語』のままなのか、意味がわかったわ)


そもそも魔法というのは、己の中にある魔力を利用して、自身を強化するというもの。

強化魔法は言うなれば、魔法の元祖なのだ。


そこから派生して、属性魔法が出てきた。


『アクイバレント・エクスチェンジ』は、属性魔法を見つけてから出来た強化魔法なので、英語の読み方になっている。


ただ、分からないこともある。


(どうして、言葉は日本語のままだったり、属性魔法は英語なのかしら)


言語の勉強も進めていたミカは、この世界での読み書きなどは全て日本語で統一されているのに対して、一部の強化魔法を除いてほとんどの魔法が英語なのだ。


これでは、日本人の誰かがこの世界を作って、言語を新しく作るのが面倒だったから日本語を適当させ、魔法は英語の方がカッコイイから英語にした、そんな感じでは…。


(ないか。さすがにないない)


仮にここが日本人が作った世界だとして、どうしてミカが入り込んだのか。

そもそも、異世界が見つかったと言っていた政府が見つけた世界は、ここだったのか。


考えれば考えるほど、分からなくなる。


「……少し、頭が痛くなってきたわね」


セフィアに紅茶でも作ってもらおうかと後ろを振り向いたが、セフィアの姿は見当たらない。


そうだった、とミカは額に手を当てる。


(私の剣を調べさせてるんだった)


ミカの剣、と言えば、アーリアに最初に送られた謎の金属で出来た剣だ。


ミカが戦う度に、『コンバート』から解除していたのはレイピアのみで、この間久しぶりに解除したら、剣は真っ黒になっていた。


(『アナライシス』で調べても異常は見つからないし…結局、なんだったのかしら)


セフィアには、分からない時はアーリアの元へ持っていけと言ってある。


しばらくセフィアが戻ってこないと考えていたミカは、勉強机の椅子から立ち上がり、ベッドに寝転がる。


ファンタジーのような謎なら大歓迎なのだが、世界構成の謎となると、どうも苦手意識が出てきてしまうミカ。


(なんだかしらね…得意教科と苦手教科みたいなものかしら)


『コンバート』させていたレイピアを取り出す。


レイピアは、相変わらず綺麗な色をしている。

淡い水色だ。


(……前からこんな色だったかしら。あの剣のせいで疑い深くなってる…のね)


結局『アナライシス』を使ったミカだったが、特に異常は見当たらず、再びレイピアを『コンバート』した。


(今は、深く考えずに、楽しく生きよう)


仮に戻ったところで、元の世界も楽しいことには楽しいだろうが、こちらの世界の方が好き勝手にできる気がする。

ミカは、そう考えていた。








そして、ミカがうとうとしていると、セフィアが戻ってきた。


「お嬢様、ただいま戻りました」


「あら、早かったわね」


ミカがセフィアを調べに出したのは今日の朝。

帰ってきたのは夜の8時。

ミカとしては日をまたぐと考えていたのだが、セフィアは素早く情報を得たようだ。


「お嬢様、こちらの剣を構成している金属は、魔力に反応する金属です」


「魔力に反応する…具体的には?」


「このように剣が黒くなったりするのは、外見的な反応で、効果的な反応は、軽くなる、斬れ味が増す、特殊能力が発動するの3つだそうです」


「へぇ…ん?」


ミカは、思わず聞き返してしまう。


最初の2つはまだわかる。

ありそうな話だ。魔力に反応して軽くなったり斬れ味が増すのは、ラノベでもあったとミカは思う。


しかし、最後の特殊能力というのはよく分からない。


「この剣の特殊能力は不明だそうです。お嬢様がピンチになった時に発動する可能性が高いと」


「へ、へぇ…」


ピンチ、と言うと、この間のゴルドーとの模擬戦の時を指すのだろう。


正直言って、二度とあんな思いはしたくないと思うミカだった。


セフィアから剣を受け取り、ミカは再び『コンバート』する。


(こんだけ黒いんだし、これ以上変わりはしないでしょ)


そして再びうとうとし始めたミカを見て、セフィアはベッドメイキングを始める。


「お嬢様、こちらにどうぞ」


「ん…? ああ、ありがと…」


寝ぼけているミカはそのまま、セフィアが用意したベッドにダイブし、眠りについた。










ミカは気がつけば、見知らぬ公園にただ1人、立っていた。


周りを見渡すと、ブランコやシーソーなど、色んな遊具がある。

しかし、それらは誰にも遊ばれておらず、ミカだけが、立っている。


ミカはこれを、直感的に夢だと確信した。


夢の中のミカは、歩いて行く。


「夢にしては、随分リアルなのね…」


ミカ自身は、ミカ・ヴァルナとしての姿のままだ。

その事に気がついたミカは、安堵する。


「……ただ、どうしたら夢から覚めるのかしら」


と、ミカが呟いたところで、1人の女の子が公園に入ってきた。

黒髪の少女だ。


その黒髪の少女は一直線にミカの方へ歩いていき、驚いたように目を見張る。


「驚いた、まさかここを夢だと自覚しているの?」


「ええ、なんとなくだけど」


その黒髪の少女は、少し考えた後、こんなことを言ってきた。


「あなたは、まだ6歳なのでしょう? こんなに魅力的な遊具を用意したのに…」


「……」


それは、中身が公園の遊具で夢中になるような年齢ではないからだろう。


ただ、ここが夢だとわかっているミカは不用意に考えることはしない。

思考が筒抜けの可能性があるのだ。


「……何考えてるのかわからない…」


「……やっぱり、読んでたのね」


今のところ、読まれている様子はない。

ただ、それと同時に、ここから抜け出す方法もわからない。


(……さっさとここから出たいんだけど)


「あら、ここから出たいの?」


(……しまった!)


思考を読まれるということは、ミカがしたい事がバレるということ。

つまりは、それを交換条件に何を要求されるのかわかったものでは無いのだ。


最悪の場合を考えて、ミカは魔法を使えるかどうかを確かめる。


「『コンバート』」


右手を横に突き出し、魔法を唱える。

すると、その手には黒い剣が現れる。


「……」


「……え、なんで武器持ってるの」


「どうやら、形勢逆転ね?」


これで1刺しすれば、全て解決するかもしれない。

しかし、それと同時に何かしらの後遺症も残るかもしれない。


その可能性を考えてしまったミカは、剣を振りかざせずにいた。


黒髪の少女は焦ったように喋り出す。


「わかった! わかったから! あなたをここに呼び出した理由を言うから!」


「呼び出した?」


ミカは、黒髪の少女が気になったことを言ったので、そこをオウム返しする。


その少女は頷き、口を開く。


「そ。本来ここはあなたが意志を持って来れる場所じゃない。私が空間を形成して、あなたをここに呼んだの」


「……早く戻して欲しいんだけれど」


「わかったからその剣を動かさないで!」


そして、その少女は言う。


「今から数年後、日本ってところから来た異世界人が来るわ」


「……どういうこと?」


「いいから聞いて。その人たちは、間違いなくこの世界に害を成す。だから、始末して欲しいの」


「……」


黒髪の少女はそれだけ言うと、ふわりと浮き上がった。


「用件は伝えたわ! それじゃ!」


その言葉を聞いた時、世界はブラックアウトした。









「っ!」


ガバリ、と、ベッドから跳ね起きるミカ。

隣のベッドではジェシカが寝ており、ミカ自身のすぐ隣にはセフィアが寝ている。


あの夢は、信用出来るだろうか。


(……数年後…もしかしたら、来年の可能性もある。なら、準備はしておくべき、なんでしょうね)


日本から来るという異世界人。

間違いなく、ミカ以外の人達だろう。

その中には。


みかんも、いるだろう。


(みかんがなにかするとは、思えないんだけど…)


そして、ミカは再び眠りにつこうと寝転がるが、寝付けずにセフィアを抱きしめた。

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