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19 初めての友達です!

なんとか間に合いました!


明日も予定通り4本あげます!

「ミカ・ヴァルナさん、いえ、ミカ様! 先程の模擬戦、素晴らしかったですわ!」


「私たちにも是非、あの魔法を教えてくださいませ!」


「ミカ様!」

「ミカ様!」

「ミカ様!」


「は、はい、そうですね、時間がある時にでも…!」


バティスタとの模擬戦を終えたミカは、赤の教室に戻ってきたのだが、扉を開けた瞬間に女子に囲まれ、もみくちゃにされていた。


(う、動けない…!)


ミカはセフィアに助けを求めようとするが、先程出した声が限界だったようで、助けを呼べない。


というか、セフィアの方を見ると、微笑んでいる。

あれは、ミカが友達と仲良く話していると勘違いしている顔だと、ミカは確信した。


「掴まって」


「!」


しかし、そこで救いの手を伸ばす女子がいた。透き通るような声に反応して、そちらに顔を向けると、そこには、青髪で、銀眼の女子がいた。


その女子はミカの方に向けて手を伸ばしていたので、ミカはその子が言ったのだと確信して、手を掴む。


ミカが手を掴んだことを確認すると、女子は何かを呟くいた。


「『アクセラレート』」


「!」


そう呟くのと同時に、ミカは急激に引っばられる感覚を感じた。

そして、気がつけば、ミカは女子達がわちゃわちゃしているのを見ている側になっている。


何が起きたのか、いまいち理解できないミカだが、考えられることとしては…。


「ねえ、さっきの…」


「? 『アクセラレート』のこと?」


「そうそれ。強化魔法?」


「そう」


どうやら、ミカの予想は当たっていたようだ。


(それに、『アクセラレート』って要するに加速系魔法ってことでしょ)


とりあえず、助けてもらったお礼はするべきだろうということで、ミカはその女子に頭を下げる。


「ありがとう、助かりました」


「気にすることない」


そして、ミカはとあることを言う。


「……あの、もしよかったら、友達になりませんか?」


そう。友達申請だ。

大人に近づくにつれて友達の作り方が分からなくなるのだが、6歳の女の子なら、これで十分なはず。

そう思ったミカは、精一杯のアタックをするのだが。


「? 友達?」


まさかの、相手は友達というものを知らないパターンだった。


(そんな人いるの!?)


とはいえ、ここは日本のように若干平和ボケした国ではない。

親が自身の子供に、友情など不要だと教えている可能性もある。


子供なのに、『アクセラレート』という魔法を覚えていることも関係しているだろう。


それでも、自分とどこか似ているその女子と友達になりたいのか、ミカは諦めずにアタックする。


「友達っていうのは…うーんと、いつも一緒にいて、お互いに高めあったりする人、かな?」


「なるほど」


ミカの説明で、その女子は理解したようだった。

そして、何かを思いついたように口を開く。


「名前、言ってなかった。セリナ・ギルバート」


「よろしく、セリナ」


「よろしく、ミカ・ヴァルナ」


しかし、ミカは呼び捨てにしたというのに、セリナはフルネームで言う。

そこに引っかかるミカは、聞く。


「えっと、友達になってくらるんだよね?」


「ん」


「なら、ミカでいいよ」


ミカがそう言うと、セリナは少し頬を染めながら言った。


「わかった…ミカ」


それを聞いたミカは満足画に頷いた。


「うん!」


そして、未だにミカがいなくなったことに気がついていない女子達。

セフィアは既に気がついているので、2人を遠巻きに見ているのだが、ミカに友達が出来たということに喜ぶべきか、仲のいい女が増えたことを恨むべきか、笑顔を浮かべて悩んでいた。







「ねえ、セリナ」


「なに」


「ちょっと近くない?」


騒ぎもなんとか収まり、週に1回魔法の練習に付き合うという条件を取り付けられたミカだったが、教室で座っている時も、廊下を歩く時も、いつでもセリナが隣にくっついていた。


授業中はさすがに離れるだろうとミカは思っていたのだが、彼女はとんでもない行動に出た。


『ここ、変わって』


『……』


ミカの隣である生徒に席を変わって欲しいと言い出したのであった。

その時の彼女から放たれるオーラは、6歳の女の子が出していいオーラではなかった。


当然、そんなオーラに気圧された女の子は頷くしか出来ず、セリナはミカと机をくっつけて、自分自身もミカにくっついて授業を受けている。


「友達って言うのは、いつも一緒にいるって聞いた」


「う、うーん…確かに言ったけど…」


「そこ、授業中だぞ」


「「すみません」」


2人は仲良く怒られていた。


というより、授業中に静かにしろと怒るのではなく、もっと別のところを怒るべきではないかとミカは思っていたが、そんなことを口に出したらどうなるかわかっているので、口には出さない。


「……もう、好きにして」


「そうする」


ミカが諦めたよに教師の言葉に耳を傾けると、セリナはミカの肩に乗っかってきた。

さすがに6歳とはいえ、こちらも6歳。辛くなってきたので、ミカは小さく『筋力上昇』を唱えようとして…やめた。


(ラノベとかでよくある、無詠唱っていうのをやってみたいのよね)


恐らく、属性魔法は口に出さなければ魔法は発動しないだろう。

そうでなければ、それぞれの属性の妖精と契約をする意味が無くなってしまう。

だが、強化魔法は別だ。


(強化魔法は自分自身と契約しているようなもの。

術式も自分の体の中に出るのだから、無詠唱ができないわけが無い)


と、ミカは考えたのだ。


果たして______。


(『筋力上昇』)


ミカが心の中で唱えると、セリナからかかっている体重が一気に軽くなった。

成功だ。


(やっぱり、私の見立ては正しかったわね)


自分の予想が当たっていたことにすっかり気を良くし、ミカは話を聞いている。

しかし、その気もだんだんと落ちていく。


まず、大半の生徒が契約をしていないため、魔法とは何という話から始まる。

この時点で既にある程度理解しているミカにとってはただの復習なので、なんの新しい知識も入ってこない。


続いて、属性魔法と強化魔法の違いだ。

これに関しては難しいことはなく、妖精と契約が必要な属性魔法と、必要ない強化魔法というだけ。

これも痛いほど理解していたミカは遠い目で教師を見るばかりだ。


(というか、昔の私は哀れだったわね)


ひたすら本を読んで詠唱していたミカは、なぜ魔法を使えないのか知っている人が見れば滑稽ものだっただろう。


(それも今となっては、ちゃんと使えるようになっているから安心ね!)


まだ風属性と強化魔法だけだが、将来的には全ての属性を使いこなしているだろう。


未来の自分を想像して、ミカは退屈な時間を過ごしていったのだった。

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