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15 準備です!

まさかのPCクラッシュ!

今日はもう一本あげられるかどうか怪しいです…


土日は4回ずつ、8回上げようと思ってます!

「お嬢様、朝でございます」


「んー…まだ寝てたい…」


「それでは、ジェイナ様に『少し体調が悪い』と伝えてきますね」


「ストップ!」


セフィアがミカのメイドになって1ヶ月が過ぎた。

最初の頃は無愛想なものだったが、最近では笑顔を見せるようになっている。

意外にも、メイドの才能があるのかもしれない。


(いや、この才能は叩き込まれたんだっけ…)


以前、ミカがセフィアを廃墟から連れ帰った時に、ジェイナがセフィアをメイドにするべく魔法をかけてメイドの極意を叩き込んだのだ。


(それが出来たら、私も魔法とかすぐにいっぱい使えそうだけど、覚える楽しさが無くなるのよね)


この世界の人間も日本と変わらず、勉強というものが好きな人は少ない。

どうやらミカは、その少ないうちの1人のようだった。


「それではお嬢様、失礼致します」


「ん、よろしくね」


ミカが腕を広げると、セフィアが手早くミカの服を脱がし、綺麗なドレスを着せる。


最近のミカの私服は、ミカが自分で作っているので、少し豪華な物になっている。


「終わりました、お嬢様」


「ありがとう。それじゃ、ご飯を食べに行こっか」


ミカは、自分が服を着させられる立場になるとは思ってもいなかっただろう。

しかし、この1ヶ月で既に毒されてしまったようだ。

楽という強敵に。


「おはようございます、お父様、お母様」


「ええ、おはよう」


「ああ、おはよう」


ミカの挨拶に、ジェイナとアーリアが答える。

この1ヶ月で変わったことは、ミカのドレスだけではない。

言葉遣いも丁寧にしたのだ。

これで、いつ初等学院に入学しても恥ずかしくないだろう。そうミカは確信している。


もちろん、ミカ1人で修正したわけではない。


「かなり自然に出るようになったじゃないか」


「これも、お母様の指導のおかげです」


「ふふ、そう言ってくれると嬉しいわね」


そう、ジェイナの存在が大きかった。

アーリアとは違い、優しく、それでいて間違いに自分自身で気づけるようなアドバイスをする。


その時ミカの中でジェイナの株は上がり、アーリアの株は下がっていた。


「これで、初等学院で貴族だと言っても平気だな」


「そうね」


「貴族だと言う、ですか?」


自ら『私は貴族だ』と言うのは、どこか噛ませ犬の雰囲気だとミカは勝手に思うが、それはラノベの世界での話だ。


「ええ。貴族だと周りに公表することで、余計な厄介事に巻き込まれることを防ぐ意味があるのよ。

あとは、まあ単純に権威を示すためでもあるんだけれどね」


「なるほど…」


(ラノベとは逆の意味を持ってるのかな)


ミカの知る限りでは、貴族だと言うやつは主人公に絡んでくる嫌な奴というイメージだったのだが、こちらでは絡まれないように言う。

ミカは、ラノベとこの世界がどれだけ同じでどれだけ違うのかをより知りたくなっていたのだった。


「ミカ、3日後に出発するわよ」


「わかりました、お母様」


「その時は俺もついていくからな」


「ありがとうございます、お父様」


相変わらず自分の娘の笑顔に弱いアーリアは、ミカの純粋な礼と笑顔に会心の一撃

をもらうのだった。


3日後。

1月1日。

ミカは、初等学院に入学する。








と、なったのだが。


「やっぱり、学校は制服よね…」


ミカは初等学院に何を着ていくかで悩んでいた。

もちろん、今までのようなドレスを着ていくのもありだろう。

しかし、それでは目立つし、毎日は辛い。

着替えるのはセフィアがやるだろうが、着ている時の辛さまで肩代わりしてくれるわけではない。


「そう考えると、制服って着やすいのね」


ミカが中学で着ていた制服は、スカートは膝下10cmだったので、今回も同じようにしようとしているのだが。


「素材がやっぱ違うよね…」


1人でいる時は結局口調が崩れているのだが、他人がいなければ気にすることは無いだろう。

この世界には盗聴のような魔法も無い。


「……」


もちろん、メイドであるセフィアは他人に口外するような真似はしない。

そんなことをするぐらいなら自殺することを選ぶだろう。


それほど、ジェイナの指導は極端なものだった。


「ね、セフィアはどっちの素材の方がいいと思う?」


「……私は、こちらの方がよろしいかと」


ミカとしては、いつも1人で悩んでいたので、相談出来る人間がいるというのはそれだけで有難い話なのだが、セフィアとしては、仕えている身なのにと、出来れば趣味まで口を出したくない精神だ。


ただ、主従の関係性で、答えなければいけないのだが。


「よし、作るか!」


そして、ミカは服を作り出す。

制服を作る、と言っても、堅苦しいものではない。

異世界バージョンだ。


「ここをこうして…」


色は黒っぽい青で、赤の紐タイがチャームポイントだ。

中には青のブレザーを着用する。

ミカの中学の時の制服に近い感じだ。


「ふんふふーん♪」


「……」


いつになく上機嫌なミカを、セフィアはただ見ていた。









2日後。

出発の前日、ついに制服が完成した。


「やったー!」


ミカは両手をあげて喜ぶが、そこで1つおかしいことに気がつく。

予想していたデザインより、少しだけ、ほんの少しだけ魔法少女っぽくなってしまったのだ。

袖につけたフリルが不味かっただろうか、とミカは思ったが、すぐに思い直す。


(かわいいから問題ないよね)


多少は乙女チックなものでも、外からは小学生の見た目だし、中身もまだ高校生だ。

ミカはまだ大人ではない。


「お嬢様、そろそろ寝なければ、明日に差し支えますが」


「もうそんな時間なのね…そうね、もう寝ましょう」


そして、2人は寝間着に着替え、同じベッドに入る。

これは、ミカが強制しているのだ。

主従関係を利用しまくりである。


とはいえ、理由もなく一緒に寝させたりしない。


「むふー」


「……お嬢様、私の抱き心地はいかがでしょう?」


「最高!」


以前ミカが、『最近寝つきが悪い』と零したことが原因で、セフィアが自分から申し出たのだ。


『私をなんなりとお使いください!』


『いいの!?』


と言った感じで、セフィアは夜はミカの抱き枕と化した。

一見、セフィアがメイドとして、ミカのために身を差し出したと見えるが

これには裏がある。

セフィアは、ミカという美少女に抱きつかれて眠りたかったのだ。単純に。


セフィアとて、整った顔立ちをしているが、ミカはそれよりも何段階も上の美少女だ。

同性でさえ、恋に落ちることだってある。

セフィアは、その一歩手前というだけなのだ。


こうして、ミカとセフィアは、明日のために少し早めに就寝した。


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