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14 メイドです!

かなり遅れてしまいました、申し訳ありません。


気づいたら評価をいただいていました!ありがとうございます!


予定通り3本上げます!

夜遅くに戻ったミカは、ジェイナ達が探しているところに運よく遭遇し、これまでの経緯を簡単に説明した。


「この子、セフィアって言うらしいんだけど、喋れないみたいなの。お母様、なんとかならない?」


「ええ、私に任せて頂戴」


ミカに頼まれたジェイナは、魔法を解呪する魔法『ディスペル』を唱える。

ジェイナの手のひらから出た白い光がセフィアを包み込み、見えない何かがはじけ飛ぶ。


「...どう? 喋れる?」


「...はい、声を出せます...!」


声を出せるようになったセフィアは、とてもうれしそうに泣き始めた。


そんなセフィアを見て、泣きだした理由を知らないジェイナは動揺していたが、理由を知っているミカは、優しく抱きしめた。


「大丈夫、もう大丈夫だから」


「うっ..ひぐっ...」


こういった行動をするせいで、ジェイナは混乱するのだが、ミカはそれをわかっていないので、自然とやってしまっている。

未だに、自分が6歳の女の子だという自覚が足りないようだった。


そんな2人の様子を見たジェイナは、何かを思いついたような顔になる。


「まずは、家に戻りましょうか」


「うん、そうだね」


ジェイナがそう言い、3人は馬車へと移動し、行きと同じ時間をかけて家へと戻っていった。










「ミカ、少しこの子借りるわよ」


「うん。セフィア、その人は信用できる人だからね」


「はい、わかりました!」


家について夕飯を取ったミカたちは、寝る支度を済ませた直後、ジェイナはミカを呼びとめ、セフィアを連れて部屋へと歩いて行った。

何をする気なのかは知らないが、ミカにとってジェイナ以上に信用できる人はいない。


そのまま寝室へと向かい、部屋で日課の魔法の練習を始めるミカ。


「今日は何をやろうかな...」


いつもは契約をしていないため、強化魔法の練習しかできなかったが、今は違う。風属性と契約を交わしたのだ。

練習の幅が、やることが、増える。そのことがミカは嬉しかった。


「まあ、風属性の魔法は、明日草原でやることにしよう」


属性魔法は基本的に、ベッドの上で使うような魔法は少ない。

特に火属性は、ベッドが燃える可能性がある。


「最初に契約したのが風属性でよかったかも」


そういいながら、自身が過去に覚えた魔法を反復して、そのまま寝落ちしたミカだった。









翌日。の朝。


「おはようございます、ミカ様」


「....お、おはよう...?」


朝ごはんを食べに部屋から出てきたミカを出迎えたのは、メイド服を着たセフィアだった。

昨日までのセフィアとは違い、落ち着いた様子だ。


訳もわからず、そのまま食卓へと向かい、座ろうと椅子を引こうとした時、セフィアが椅子を引いた。

ああ、そこにセフィアが座るのかとミカは思い別の椅子に向かうのだが、セフィアはそれを見ると椅子を戻し、ミカが座ろうとしている椅子を引いた。


「...???」


頭の中が『?』で埋め尽くされたミカはそのままセフィアを見ていたが、セフィアも特に説明せずに見つめ返すだけだ。


そんな2人を微笑んで見ていたジェイナが口を開いた。


「ごめんなさい、ミカには言っていなかったわね」


「....?」


ミカが説明を求めるような顔でジェイナを見るとセフィアが自己紹介を始めた。


メイド服のスカートの端を掴み、少し持ち上げるセフィア。


「セフィア、今日より、ミカ様のお世話を担当いたします」


「....」


(昨日何があったっていうの)


そんなセフィアに、ミカは絶句するだけだ。


ジェイナが、より詳しく説明をしだす。


「昨日、とある魔法を使って、セフィアにメイドの極意を叩き込んだのよ。これでも私は昔はメイドの教官をやってたのよ?」


「でも、なんでメイドなんて話に...」


「それは、私が説明いたします」


ミカがジェイナに質問するとセフィアが説明する役を買って出た。


「先日私はミカ様に命を拾われました」


「や、あれはたまたまで...」


「それでも、私はミカ様に助けられたのです」


それから、セフィアはミカに恩返しをしたいとジェイナに相談したのだという。

しかし、それでミカのメイドになるという話は理解できた。代わりに理解できないのは、どうやって1日でメイドの極意とやらを叩き込んだのか。


「ねえ、お母様、どうやってメイドの極意を1日で叩き込んだの?」


「うふふ...」


しかし、ミカがいくら訪ねようがジェイナは笑ってごまかすのだった。










その日の夕飯。未だにセフィアというメイドの存在に慣れていないミカは、やりづらそうにしていた。


(今までは自分でしていたことが、メイドがいるからしなくていいによね...やりづらいわ)


これでは堕落してしまうのではないだろうかとミカは考えるが、結局慣れるしかなさそうだった。


そうしてミカが悪戦苦闘している時にアーリアが口を開く。


「お前も、もうそろそろ初等学院に入学するころだな」


「そうなの、お父様?」


「ああ」


アーリアの言うとおり、この世界では1月に初等学院に入学するのだ。

ようやく学校に行けるのかとミカは心の中で小躍りしながら、アーリアに落ち着き払った様子で会話を続ける。


「それは、楽しみだね」


「まあ、どこの初等学院に行くかは俺たちが決めるからミカは楽しんで来い。初等学院は楽しむぐらいでちょうどいいだろう」


「.....?」


ミカの感覚的には、初等学院とは小学校のような存在で、特にどこに行こうかと選べるようなものじゃないのだが、この世界ではそうでもないらしい。


夕食を食べ終わったミカは、寝る支度を始めた。まずは、風呂場に向かう。

そして、脱衣所で服を脱ごうとすると、その動作を補助する手が表れる。セフィアだ。


「...」


「...」


2人はしばしそのまま見つめあった後、ミカが折れたように手を降ろす。


「うん、お願いしていい?」


「はい。これが私の仕事ですから」


そう言って、セフィアは淡々と素早くミカの服を脱がしていく。

そしてその後も、髪や体を洗ったり、体を拭き、髪を乾かし、服を着せる。


(正直に言おう。楽でいい)


ミカは既に堕落していた。


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