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13 探し人発見です!

大分遅れてしまいました…。


明日も同じような時間に更新になると思います。

「女の子!?」


「……」


先程までの恐怖はどこへやら。

ミカは目の前の女の子に対して驚きを隠せなかった。


(そもそも、なんでこんな廃墟にこんな小さな女の子が?)


自分も、ついこの間6歳になったばかりだということをすっかり忘れているミカだが、精神年齢的にはもう16だろうか。


とにかく、ミカと同じぐらいの年の女の子が廃墟のクローゼットにいることは確かだった。


ミカは、クローゼットの中でしゃがんでいる女の子と目線を合わせ、優しく問いかける。


「ね、助けてって願ったのは、きみ?」


「……!」


ミカがそう問いかけると、女の子は力強く首を縦に振った。


(なるほど、それだけの元気があるなら、ここからもすぐに出られそうね)


今更ながら食料を持ってくるべきだったかもと思いつつ、ミカはその女の子に手を差し伸べる。


「立てる?」


「……」


コクリと頷くと、女の子はミカの手を掴んで立ち上がる。

その足取りは意外にも強く、自分でここから出られるのではないだろうかと思えるほどだった。


「……ところで、名前は?」


「……」


ミカがそう聞くと、その女の子は首を横に振る。


ということは。


「名前、ないの?」


「……」


しかし、女の子はまたもや首を横に振る。

ミカが考えられる可能性は1つだけだ。


(何らかしらの理由で、喋れないって感じかな)


「ね、もしかして喋れない?」


「……!」


女の子は何度も首を縦に振る。

ということは、元から声が出せないか、誰かによるものだと推測出来るが…。


(後者の予想が当たってるなら、ここからさっさと出た方がいいよね…)


ミカは『サーチ』を使用し、辺りを注意しながら女の子を連れて歩き出す。


部屋から出て扉を閉めた時、扉に書いてある名前が目に入った。


「…もしかして、名前セフィアだったりする?」


「…っ!っ!」


女の子___セフィアは、そうであると必死に首を振る。

正解だったようだ。


ミカは、セフィアを安心させるように手を強く握る。


「大丈夫、私に任せて。ここから逃げよう」


「…」


ミカの言葉に、セフィアはとても嬉しそうに、しかし、どこか陰のある笑みを浮かべた。


セフィアの手を引きながら家の出口を目指すミカだったが、発動中の魔法『サーチ』に引っかかる存在がいた。


恐らく。


(セフィアをこうした誰かが帰ってきた…!)


ミカにとっては1番会いたくなかった相手だ。

とにかく、このまま廊下にいてはまずい。

ミカは1番近くにあった部屋にセフィアと一緒に入る。


それから少しして、足音がこちらに近づいてくる。

『サーチ』の魔法でも、それはわかっている。

そして、2人が入っている部屋の前を通り過ぎるということも。


(……ドアはあえて少しの間を開けてる。ここから相手の姿さえ見れば…)


セフィアに静かにしていてとジェスチャーを送り、ドアの外に目を向ける。

するとそこには、


「____っ!」


恐怖でつい声をあげそうになったが、なんとかこらえて後ろに下がるミカ。


自分の体の後ろにセフィアを隠すことを忘れなかったことは、賞賛に値するだろう。


ミカが離れたドアがゆっくり開く。


「おい……なんでそいつがあそこから出てるんだぁ…?」


「……!」


外見は黒いフードを被っているので顔はわからない。

胴体の部分はボロい布切れを羽織っているせいでラインが見えない。

しかし、ねっとりとした低い声で、男だということはわかる。


そして、この男が『誰か』ということも、分かってしまった。


「…あなたが、この子を?」


「くく…小さいのに優秀なんだなぁ…?」


その男は薄く笑うと、値踏みするかのようにミカを見る。

フードを深くかぶっているせいで、全身を見られていることにミカは気が付かないが、この時はそれが幸いした。


そんな目で見られることに慣れていないミカは、そのことに気がつけば恐怖で動けない可能性があったのだ。


「……あなたには悪いんだけど、ここから逃げさせてもらうよ」


「なるほど、魔法の効果もバレているわけか」


(うん、なんだ?)


ミカはさっさと強化魔法でここから逃げてしまおうと思ったのだが、その前に男が気になる言葉を零した。


「その少女をトリガーとして、この国を吹っ飛ばす予定だったんだが…まさか、君のような少女にバレるとは」


「……」


勝手に喋り出した男を見て、ミカはただ黙っているだけだった。


男は、さすがたと言わんばかりに手を2、3回叩いた。


「全てお見通しか…だが、甘かったな。子供1人で突破できるとは思わない方がいい。俺はこの国では優秀な魔法使いだったんだ」


さらにいらない情報を喋っていく男。

ミカとしては逃げる一択なので、戦うもくそもないのだが。


何を言っても動じていないように見えるミカに対し、男は焦りを見せていた。


まるで、もっと動じろと言わんばかりに。


「それに、俺は魔王を半殺しにしたことがある」


魔王、というワードに反応するミカ。


(やっぱり、魔王とかいるんだ…ってことは、勇者もいるのかな)


ミカが反応したことを目ざとく発見し、さらに話を続ける男。


「やつはまあまあ骨のある奴だった…まあ、この俺の敵ではなかったがな」


(そろそろお暇しよう)


男の話を完全に無視し、ミカは魔法を改めて発動。

『筋力上昇』をかけ、セフィアを抱えあげる。


「ごめんなさい、今日はこれで!」


今日は、なんて言ったが、この後会うつもりはミカにはない。

つい言ってしまったのだ。


「あ〜ばよ〜」


「な、待て!」


そのまま部屋の窓ガラスをぶち破り、ミカは外に躍り出た。

どことなく猿顔の怪盗の真似をしながら外に出たミカは、外が真っ暗だということに驚いた。


「あれっ!?」


(もうこんな時間だったの…あれ、もしかして私怒られる?)


今日あったことを素直に話せば怒られることはないだろうが、ミカは国家転覆罪に処せられるような男よりも、ジェイナに怒られることを心配していた。


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