告白
2話連続投稿です
~「すき…」
この言葉を声に出すのがこんなにも難しいとは思ってなかった。
顔が熱くなるのが妙に客観的に感じられた。~
彼と私は最近いつも一緒に帰っている。彼がいつも一緒に帰っていた友人に彼女ができたからと言っていた。一人で帰るのはさみしいらしい。一緒に帰ろうといわれたとき驚いたけど家も近くだし何より一緒に帰れることが嬉しかった。
話も尽きてきたころ彼は私の恋バナを持ち出してきた。
相変わらず彼は楽しそうに話している。
(やっぱり好きなんだなぁ…恋バナ。この前も他の女の子と恋バナしてたし。)
そんなことを考えているとなぜだか、急に、少し、悲しくなった。
(私だけが特別なんじゃないんだな…)
わかっていたことだった。最近一緒にいる時間が増えたから少し浮足立っていたのだろう。私は彼にとって一人の女友達でしかない。一緒に帰っているのだって、たまたま急に一人で帰ることになったときに一人で帰ろうとしてる私を見つけたからだろう。特別なんかじゃない。そう思うと急にある想いがこみ上げてきた。
“特別になりたい”
自分でもこんなことを思うようになるなんて考えてもみなかった。
「ねぇ。」
「ん?なに?」
「私告白する。」
「は?」
(私は何を宣言しているのだろう。)
自分で馬鹿らしく思いながらもこうでもしないと言葉に出せない気がした。
彼は急に告白宣言をした私に驚いているのか少し慌てているようだった。
自分がせかしてしまったと思ったのだろうか。
何かを言っているようだったけれど私はすでに自分の心臓の音しか聞こえていなかった。
「すき…。」
私は下を向いたままつぶやいた。
さっきまで何かを言っていた彼は黙ってしまった。
(今日で一緒に帰るのも終わりかな…)
彼の沈黙が答えだろう。
(振られちゃった…な。)
予想はしていたことだった。彼にとって私は女友達の中の一人でしかないから。
わかっていたことだったはずなのにその場にいるのが耐えられなくなった。
(ありがとうだけ言おう。)
急に告白を突き付けてしまったのだ、お礼を言わなければいけない気がした。
ありがとうと言おうとその時初めて顔を上げて彼の顔を見た。
彼は真っ赤に顔を染めて自分の頬をつねっていた。
「えっ、何してるの?」
予想外の彼の行動に私は驚いてしまった。私はてっきりばつのわるそうな顔をしているものだと思っていたから。彼の行動が読めなかった。
「夢かと思って…。」
彼は相も変わらずほっぺをつねり続けている。
「それってどういう…っひゃ」
私が言い切る前に彼の腕が私を包んだ。
「俺も好きだってこと。」
何が起きているのかわからなかった。
ただ彼のぬくもりが伝わってくる事実だけが私の中にあった。
そっと彼の背中に手をまわしながら、心地よい2つの心臓の音を聞いていた。
その後、外で抱き合っていた恥ずかしさで悶えていたのは言うまでもない。
彼side続きます。