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少女と魔族と聖剣と  作者: ぺんぎん
第十八章

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第二回裏幹部会

 

 アーヴェスに条件を伝えてから一週間後、緊急の第二回裏幹部会が開催された。


 私を呼んじゃ意味がないと思うけど一応参加している。


 そしてオブザーバーとしてフェル姉ちゃんも来ていた。最近は魔王様探しが停滞しているみたいだから暇なのかもしれない。


 議題の内容は当然のことながら、アーヴェスに示した条件の事だろう。


 三年後までにおじいちゃんの後継者となり次の宰相となる、それができれば結婚する、できなければそこで終わりという条件だ。いたってシンプル。


 条件はシンプルでもそれはかなり厳しいとは思う。でも、それくらいやって欲しい。


 条件も皆には伝えてあって、アーヴェスに対して仕事以外で接触しないようにも伝えてある。変な支援もしないように伝えた。正真正銘、アーヴェスだけでやってもらうためだ。


 それなのに皆は難しい顔をしている。


「えっと、裏幹部会が始まったわけだけど、何か問題があるのかな?」


 スザンナ姉さんが手を挙げた。


「本当にあの条件でいいの? 無理だとは言わないけど、かなり厳しい条件だと思う――いや、それよりも先に聞きたいことがあった」


「なんでも聞いて」


「そんなにアーヴェスが好きなの?」


 なんて直球。アビスにいる魔物さん達レベルの質問だ。でも、最近私の乙女心もレベルが上がって許容量がふえた。それくらいじゃ動揺しない。


「好きか嫌いかで聞かれたら好きな方。弱いところはちょっとマイナスだけど、それ以上に根性があるのが気に入った」


「それは以前から聞いていたけど、今回の条件を聞いてアンリはかなり本気だと思った。どうでもいい人ならもっと無理な条件にするだろうし、そもそも条件すら出さないはず。もしかして本気で好きなの?」


 本気で好きとか聞かれて好きだと答えられるのはヴァイア姉さんくらいだと思う。ディア姉さんも言うかもしれないけどチューニ的に言う気がする。私はまだレベルが足りない。


「本気で好きとか答えづらいんだけど、たとえそうだとして何か問題かな?」


「問題っていうよりも不思議。アンリがそこまでアーヴェスを気に入ることが、ちょっとよく分からない。何がアンリをそこまでさせているのか知っておきたいと思って」


 スザンナ姉さんの言葉に皆が頷く。


 なるほど。私がアーヴェスをそこまで気に入っていることが不思議ってことか。


 ならこのメンバーだけには伝えておこう。大した理由でもないんだけど、知っておいて欲しい気はする。


「私には貴族から結婚の申し込みが来る」


「……どういう意味?」


「まあ聞いて。王位を取り戻した直後はおじいちゃんが探して来てくれた人とのお見合い話があったけど、あれはおじいちゃんから貴族の方へ打診した話。でも、今は貴族の方から私の伴侶にどうかと連絡がくるほどになった」


「それは知っているけど、それが何?」


「貴族の方から来るようになったのは、私がトラン王国の人達に認められるようになってから。それは私に王としての価値がある、結婚すればメリットがあると判断されたんだと思う」


「それは――」


「気にしないで。貴族なら当然の事。傭兵時代にレイヤ姉さんに色々聞いたけど、貴族の結婚は政略結婚がメイン。どちらかといえば、跡取りとか家同士のつながりを大事にする行為。恋愛結婚なんてほぼあり得ないって聞いた」


 そう言ってレイヤ姉さんの方を見ると、レイヤ姉さんは頷いた。


「間違いないですね。私もルハラ帝国で貴族としては端っこも端っこな上に四女でしたが、それでもそういう教育をされました」


「うん。私も王族である以上、そういう物だと考えて、条件を満たせばだれでもいいかなって思ったんだけど、ちょっと欲がでた」


「欲が出た?」


 言ったのはスザンナ姉さんだけど、皆も同じように首を傾げている。


「私に結婚を申し込んでくる人は私が国民に支持される王になったから。国民に支持されない王だったら結婚の申し込みなんてしてこない。さらには王でもなければ結婚を考えることもない。でも、アーヴェスは違うと思う」


「違うって何が違うんだ?」


 珍しくフェル姉ちゃんが質問してきた。


「アーヴェスは私が王でなくなったとしても結婚を申し込んでくれると思う。王としての立場や私の個人的な強さを好きになったわけじゃなくて、私がやったことに対して感銘し慕うようになったと聞いた。立場や強さはいつかなくなる。でも、私がやったことがなくなるわけじゃない。なら、ずっと一緒にいてくれるかなって」


 国民から期待されていない私がそれをものともせずに色々やって認められたことが痛快だったと言ってくれた。それを見て私を慕ったとも。それは何年経っても不変のような気がする。


 ちゃんと説明したのに、なぜか皆が下を向いている。


「どうかした?」


「……いや、アンリからそういう言葉が出てくるとは思わなくてな。なんというか、ヴァイア並みに惚気られた感じがしてちょっと驚いたというか、なぜかこっちが照れくさくなった」


 フェル姉ちゃんがヴァイア姉さん並みと言うとは相当な破壊力だったんだろう。でも、このことに思いついたのはフェル姉ちゃんの言葉が影響しているんだけどな。


「これってフェル姉ちゃんが言った言葉を参考にしてるんだけど?」


「私が?」


「直接言ったわけじゃなくてあくまで参考にしたんだけど」


「何か言ったか?」


「王位を取り戻そうと決めたとき、フェル姉ちゃんは手伝えないと言った。でも、その後、信頼できる仲間を探せと言ってくれた」


「……ああ、そうだな、確かに言ったが、それがなんの参考になるんだ?」


「続きがある。たとえ私が落ちぶれても助けてくれるような仲間を見つけろと言ってくれた。それを参考にして、私が王でなくても結婚を申し込んでくれるような人がいいかなって」


「そこを参考にするのか……」


 フェル姉ちゃんが珍しく驚いている。そんなに変な参考にしたわけじゃないと思うんだけど。


「そんな理由からアーヴェスを気に入ってるってところかな。私の気持ちは以上だけど、他に何かある?」


 マナちゃんが手を挙げた。


「アンリちゃんの気持ちは分かったけど、そこまで考えているなら条件なんて撤廃してすぐにでも結婚したらどうかな? アーヴェスさんは公爵家の人だし、文句を言う人はいないと思う。それにアーヴェスさんが次の宰相になれる可能性ってかなり低いと思うんだけど」


「それも考えたけど、本気で私と結婚したいのかを試したいと思った。口ではなんとでも言える。本心が分からない以上、あとは行動で示してもらいたい」


「うーん、そっかぁ……」


 今度はクル姉さんがちょこっと手を挙げた。


「ここ最近のアーヴェスさんのことを調べてみたんだよね。これが好きな証明の行動になるかは分からないけど、聞く?」


「あまりそういうこともしてほしくないけど、何かあった?」


「うん。アーヴェスさん、実家の方へ一度戻って、家督は弟さんに継がせてほしいって言ったらしいよ。家族から期待はされていなかったみたいだけど、廃嫡まではいってなかったみたいで自分から申し出たとか。公爵家と縁を切ったわけじゃなくて、相続の問題に巻き込まれないようにとか、退路を断つとか、そういう理由なんじゃないかって思ってるんだけど」


「そうなんだ。うん、それを聞くとやる気があるってことだけは分かって嬉しいかな」


 でも、公爵家を継がなくても宰相になれるのかな? 一応貴族扱いではあると思うけど。まあ、おじいちゃんはそういうことで候補を外すことはないだろう。


 問題があるとしたら、アーヴェスを宰相にするのはもっと先だと考えている場合だ。二十年後、三十年後を見越して勉強させているという可能性はある。


 そんなおじいちゃんの思惑があったとしても、それを覆すほどの優秀さを見せて欲しいところだ。


 最終的には私に決定権があるだろうけど、おじいちゃんがアーヴェスを勧めてくれることを期待したい。


 その後、他にも色々と質問があったけど全部答えた。


 私が本気なのを分かってくれただろう。


 あとは待つだけだ。だいたい三年。長いようで短い期間。


 アーヴェスを試すようなことをしているけど私は信じてる。


 それにアーヴェスが頑張っているなら、私も王として頑張らないといけない。もっともっとこの国をいい国にしていこう。


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