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少女と魔族と聖剣と  作者: ぺんぎん
第十六章

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暗殺者ギルドのトップ

 

 夜になった。暗殺者ギルドを中心に皆が配置につく。


 場所は帝都でもちょっと怪しい場所だ。大きい都市ではこういう危険なところはどうしても出来ちゃうみたい。それにこういう場所をなくすのは逆に危険だとか。むしろいる場所が分かりやすくていいみたいだ。


 アンリ達は暗いところでも結構見える「お夜目さん」というイヤリングを身に着けている。最近出回るようになった魔道具で、魔術師ギルドが作ったとか。ネーミングセンスから考えて、ヴァイア姉ちゃんの術式が組み込まれているんだと思う。


 悪いことにも使えるから利用者は登録義務があるみたい。それに術式を勝手に使うのも良くないとかそういう話もあるみたいだ。その場で術式を組むのはいいんだけど、魔道具を作る場合はお金を払う仕組みを作ろうとかいう話も出てるみたい。


 おっといけない。そんなことを考えている場合じゃなかった。


 アンリは狙われている立場だから寮で待っててもいいって言われているけど、スザンナ姉ちゃんが暴走しそうだからちゃんと一緒にいないと。


 そして時間になる。


 いきなりスザンナ姉ちゃんの水竜が上空から飛来して暗殺者ギルドの建物をつぶした。三階建てのレンガでできたそこそこ立派な建物だったんだけど、すでに全壊してる。相手は悲鳴を上げる間もなかったと思うんだけど。


 それにアンリの聞いていた作戦とは全く違う。いいのかな?


 念話で確認しておこう。


『スザンナ姉ちゃん、いいのこれ?』


『大丈夫。すでに水をあの建物の中に入れてる。中はギルドの関係者だけ。地下の脱出通路は私の水で扉が開かないようにしたから逃げ場もない。あとは残った奴らを殲滅するだけ』


『と、突撃!』


 クル姉ちゃんから念話が来た。でも、どこに突撃すればいいんだろう? すでに建物は全壊してるし、一応、逃げようとしている人達がいるから捕まえればいいのかな?




 一時間もかからずに暗殺者ギルドは壊滅した。


 本部にいなかった暗殺者ギルドの人達もいるけど、それはスザンナ姉ちゃんが帝都にまいた水ですべて把握済みだ。ベル姉ちゃんやロック兄ちゃん達がその人達を捕まえたみたいだ。


 そしてアンリ達の前には暗殺者ギルドのトップっぽい男の人がいる。ロープでぐるぐる巻きにされて地面に胡坐をかいている。身動きは取れないみたいだ。


 さすがはギルドのトップと言うことなのかな、こんな状況でも慌てていない。というよりも冷静すぎるって感じ。どう考えても楽しいことにはならないのに、まったく関係ないと言わんばかりの無表情だ。それに少し嫌な感じがする。


 クル姉ちゃんがその人に近づいた。


「分析魔法で調べてみるからちょっと待って」


 こういう人達はたいてい口を割らない。割っても嘘が多い。なので強力な分析魔法で調べるのが普通だ。スザンナ姉ちゃんの水による分析よりもクル姉ちゃんのほうが強力。しっかり調べてもらおう。


 でも、クル姉ちゃんが首を傾げちゃった。


「あれ? なんで何も分からないのかな? そんなことってある?」


 分析魔法に無効化されてるってこと?


 念のためスザンナ姉ちゃんも確認したみたいだけど、分からなかったみたいだ。


「お前がアンリか」


 いつの間にかアンリをジッと見つめていたみたい。何だろう? アンリの情報を吸い取られている感じだ。


 それを感じたわけじゃないだろうけど、スザンナ姉ちゃんが間に入ってくれた。


「もう遅い。情報はすべて転送した。最低限の仕事は終わった。だが――」


 もう遅いって何が……? 


 そう思っていたら男がロープを引きちぎり、アンリの方へ突進してきた。どこから取り出したのかナイフを持っていたみたいだ。


「ついでにお前の命も貰っておこう!」


「させるわけがない」


 スザンナ姉ちゃんの目の前に地面から巨大な水柱が飛び出して男の人に直撃した。そしてかなり上空まで飛び上がった。そして落ちてきたら、そのまま水の塊の中に閉じ込める。スザンナ姉ちゃんの十八番。水の檻だ。


 ものすごい水の力で相手を封じていて、中は当然呼吸ができない。あのフェル姉ちゃんですら力では出れなかったって話だから相当な圧がかかっているんだと思う。


「このまま水を圧縮してつぶすということもできる。言いたいことがあれば聞く。口は動かせないだろうから念話で話して。ただ、貴方にはそんなに時間がない。急いで」


 スザンナ姉ちゃんがものすごくクールな目で相手を見てる。あれは怖い。


「え?」


 いきなりスザンナ姉ちゃんが驚いた声を出した。どうしたんだろう?


「皆、ここから離れて!」


 スザンナ姉ちゃんが叫ぶ。その声に皆が一瞬でその場を離れた。もちろんアンリとスザンナ姉ちゃんも。


 その直後に、水の檻が爆発した。


 何が起きたのか分からないけど、水の檻の中で爆発系の魔法を使った?


 なら襲ってくる可能性がある。そう思って剣を構えようとしたら、スザンナ姉ちゃんがアンリの手を抑えて首を振った。


「自爆したよ。あれって魔素のゴーレムだったみたい。アビスちゃんが作るような精巧なもの。アビスちゃんが作るわけないし、誰が作ったんだろ。それになんでアンリを……?」


 スザンナ姉ちゃんが首を傾げている。アンリも何が何だか分からない。


 結果的に暗殺者ギルドは壊滅したけど、色々と謎が残る感じ。結局アンリを暗殺する理由も依頼主も分からなかったし、不完全燃焼。


 そして皆からはしばらくは寮に閉じこもっていたほうがいいって言われた。その間に皆が色々と探ってくれるみたいだ。ここはお言葉に甘えてちょっと長めのお休みをもらおうかな。


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