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少女と魔族と聖剣と  作者: ぺんぎん
第十六章

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暗殺者ギルド

 

 アンリ達が裏路地に入ったところで誰かが近づいてきた。


 黒いローブについているフードを深くかぶっているから顔は見えない。でも、口元を見ただけでも分かる。知らない人だ。


「そこの娘。アンリで間違いないか?」


「間違いない。アンリとは私のこと。何か用事?」


「なんで言っちゃうんですか!? こういうときは言わなくていいんですよ!」


「レイヤも馬鹿正直に言わない。いきなり名乗れば嘘である可能性だって出せたのに」


「え……? あ!」


 そんなつもりは全くなかったんだけど、確かにこういうときは名乗らなくてよかったかも。いきなり知らない人に名乗ったら、嘘と思われる可能性が高かったと思う。


 ローブの人はちょっとだけ腰を落とすと、次の瞬間には突撃してきた。


 右手には逆手に持ったナイフが見えた。それにナイフには紫色の液体がついている。あれは毒か何かだと思う。


 アンリが亜空間からフェル・デレを取り出そうとしたら、その前にスザンナ姉ちゃんの水がローブの人を襲った。水の鞭がナイフを叩き落とす感じになって、そのままローブの人を拘束したみたいだ。


 でも、安心はできない。さっきから視線を感じる――上だ。


 見上げると、建物の屋根からローブの人と似たような格好の人が二人、飛び降りてきた。


「こちらはお任せください!」


 レイヤ姉ちゃんが腰の剣を抜いた。


 アンリも亜空間からフェル・デレを取り出す。そのまま飛んできた一人の腹部を一閃。とはいっても、剣の腹部分で吹っ飛ばす感じだったから真っ二つってことはない。建物の壁にぶつかって崩れ落ちた。


 レイヤ姉ちゃんのほうも相手のナイフを叩き落していて、首筋に剣を当てている。うん、強い。


「何者だ、お前達。どこかの傭兵団じゃないな?」


 レイヤ姉ちゃんが怖い感じの目でローブの人を睨んでいる。ローブの人はしゃべる気はないみたいだ。


 たとえしゃべらなくても、スザンナ姉ちゃんの前で隠し事はできないけど。


「分かったよ。この人達は暗殺者ギルドの人達だね。なんで襲ってきたかは知らないけど、名前を聞いていたし、アンリを狙ったのかな?」


 スザンナ姉ちゃんの水はちょっとした分析魔法が使える。それで判断したんだろうし間違いないと思う。でも、なんでアンリを狙ったのかな?


「なんでアンリを狙ったの? というか、誰がそんな依頼を?」


 聞いてみたけど、そういうことを言うわけがないか。というか実行犯には知らせていない可能性が高い。


「どうする? 何も言わないだろうし、このまま衛兵か冒険者ギルドに突き出す?」


 それでもいいんだけど、これからずっと狙われるのは嫌だな。アンリだけでなく周囲の人も巻き込みそう……うん、答えは決まった。


「帝都の暗殺者ギルドってどこにあるか知ってる? そこに直接行こう。大元を叩かないとずっと狙われちゃう」


「あの、暗殺者ギルドは非合法ギルドなので、どこにあるかは誰も知らないんですけど……」


「なら、私が調べるよ。帝都中に水を撒く。場所が分かったら、紅蓮の皆と攻め込もう」


 さすがスザンナ姉ちゃんは頼りになる。よし、それで行こう。




 スザンナ姉ちゃんが一時間程度で暗殺者ギルドの場所を見つけてくれた。


 そしてその拠点に襲撃をかけることがすぐに決まった。まだ夕方くらいだけど、日が落ちたら行動開始だ。


 事情は話したんだけどクル姉ちゃんがちょっとだけ引いてる。


「嫌じゃないんだけど、暗殺者ギルドに手を出すの?」


「もちろん。アンリを狙ったんだから報復されて当然。誰が依頼主だろうと、受けたギルドが悪いんだから完膚なきまでに叩き潰す。誰が依頼したか分からなくても、その依頼を受けた組織をつぶしていけばいい。最終的にアンリを狙う依頼を受けた方が危険と思わせる」


 スザンナ姉ちゃんはアンリのことになるとちょっと過激。さらに饒舌。


 たしかにアンリの暗殺を受けた組織がつぶれていったら、逆にその依頼が危ないと考えると思う。危険な依頼を持ってきやがって、とか。でも、そんな作戦は初めて聞いた気がする。


「アンリ、そんな顔しないで。まずは暗殺者ギルドをこれでもかって叩き潰す。それを大々的に宣伝する。今回だけで二度とその依頼を受ける組織がないというくらいにやるから」


 アンリの心の声まで読むとはスザンナ姉ちゃんのお姉ちゃんっぷりがすごい。


「うん。でも、アンリとしてはなんでアンリを暗殺しようとしているのかが一番の問題なんだけど」


「理由なんてどうでもいい。村の方針を覚えているでしょ? やられたらやり返す。徹底的に。禍根は残さない。まずはそこから」


 もしかしてスザンナ姉ちゃん、顔には出てないけど、ものすごく怒ってる? こう、静かに怒るって言うか。


「それでクル。準備は大丈夫? 一人も逃す気はないんだけど」


「大丈夫。スザンナの情報だから信ぴょう性が高いってことで、ルート達やベル姉さん、それにロックも応援に来てくれてるよ。そもそも帝都に暗殺者ギルドなんてあるのはまずいからね。本当は騎士団がやるべきなんだろうけど、スザンナが怒ってるって言ったら今回は襲撃を譲ってくれたよ」


「怒ってない。目障りなだけ」


「……うん、そう言うことにしておく」


 アンリから見てもスザンナ姉ちゃんは怒っていると思う。というか、スザンナ姉ちゃんだけじゃなくて、紅蓮の戦乙女部隊の皆が怒っているって感じだ。筆頭はスザンナ姉ちゃんだけど、レイヤ姉ちゃんもそうだし、ベルトア姉ちゃんは黙ったまま訓練場のダミー人形を粉砕するくらい。


 アンリ自身よりも皆が怒ってくれるってちょっとむず痒い。


 さて、そろそろ襲撃かな? 自分のことなんだしアンリも頑張ろう。


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― 新着の感想 ―
[良い点] アンリ、15歳になりました。 [気になる点] でも、想像の中のアンリが大きくならない…… 5歳時の姿のまま… スザンナも大きくならない… [一言] 絶望的想像力の欠如…! くそぅ…
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