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死合  作者: 青依 瑞雨
1/1

死合とは……

 元々は、サウンドノベルと格闘ゲームを合わせたゲームを作れないかな?と大昔に考えたシナリオだったりします。

 設定や、キャラクターや、大まかなストーリーは、全部出来ていますので、時間があるときに少しずつ更新していきます。

 拙い文章力ですが、宜しくお願い申し上げます。

「はぁはぁはぁ……」

 夜の闇の中を男が走っていた。

 歳は二十歳前後だろうか?

 何かにひたすら怯えて、ただ走っていた。

「はぁはぁはぁ、……うっ!」

 男が不意に立ち止まる。

 いつから、いたのだろうか?

 男の目の前には、立ちふさがるように少女が立っていた。

「ねぇ、お兄ちゃん。どうして、私から逃げるの?」

「はぁはぁ、貴様!」

 よく男の体を見てみれば、全身から血を流していた。

 息が切れているのも、走って逃げていたからだけではないだろう。

「も~!お兄ちゃんも懲りないねぇ~。私には勝てないって分かったんでしょう?無駄な努力はもうやめて、さっさと降参しちゃいなよ」

 少女の軽口に男が構えた。

 それは、武術の心得があるものの構え方だった。

 その姿を見た少女が、呆れたように頭を押さえて左右に首を振った。

 だが仕草とは裏腹に、その表情は非常に嬉しそうだった。

「はぁ、はぁ、……黙れ!てめえみてえなガキに降参したら一生笑い者だ!!」

「ヒュー!いいねぇ!嫌いじゃないよ、そういう諦めの悪いやつ!……けど」

 少女の目が暗く沈んでいく。

 先ほどまでの愛嬌で溢れていた表情から、感情が消えた。

「実力差が分からない馬鹿は嫌い。見苦しいだけだもの……」

「だまっ!?」


 ゴギャッ!!!


 男のセリフが最後まで言い終わらないうちに、男の顔が真後ろを向く形になっていた。

 首が破壊され、二回転した後にである。

「ふぁ~あ……あふぅ」

 少女が退屈そうに欠伸をする。

 その一瞬の後に、男の遺体は、膝をついて、その場に倒れこんだ。

「女の子に襲い掛かるときには、よく相手を見て襲い掛かる事ね。強さもはかれないようじゃ、この町で暮らしていく価値は無いわね」

「そこまで!!」

 二人の死合を見ていた裁判者は、すっと目を細めて、少女の前に舞い降りた。

「勝者、沢上鈴さわがみれい!死合の結果7262連勝!」

 天秤を片手に持った初老の男性が、声高らかに死合の結果を宣言する。

「おじさん、この人死んじゃったよ?私の願いはどうなるの?」

「……もう、叶ったのではないのか?こやつの死という願いは……」

 少女が大きなため息を吐いて、がっかりしたように呟いた。

「なぁ~んだ、知ってたかぁ……」


 木草界という世界にある、始まりの国【マールド】内にある【巣作町すづくりちょう】では、建国者が設立したある法律が適用されている。

 それは、お互いに命を懸けた戦いの承認である。


 <ルール>

 ①お互いに死合を合意することで、開始される。

 ②どちらかが降参するか、死ぬまで死合は続けられる。

 ③勝者の願いを、敗者は必ず聞き入れなければならない。

 ④一度死合をした相手とは、最低でも一か月期間を開けなければならない。

 ⑤死合は、国家直属部隊【聖心せいしん】のメンバーが審判を務める。

 ※死合の審判は、裁判者ジャッジメントと呼ばれる。

 ⑥病気や怪我をしている者、16歳未満の者は、家族の承認が無ければ、死合に参加できないものとする。

 ⑦武器の使用は、認められる。


 国家が認めているので、人を殺しても犯罪にもならない。

 勝者は、敗者を強姦しようが、奴隷にしようが許される。

 まさに、弱肉強食の町なのだ。

 だから、この町の人間は非常に強い。

 町の外からも腕に自信のある者しか来ない。

 だから、この町には弱い人間など一人もいない。

 この町は、格闘家の町なのだ。

 【巣作町】にのみ許されているこの制度のことを、皆はこう呼ぶのである。

 死合と……。

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