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お人形さんといっしょ

作者: 木曜日午前

久々に学園の新年パーティーに参加したら、何故か注目の的に。あらら?

「お前との婚約は破棄させていただく!」

目の前にいる男女は誰でしたっけ?あらら、片方はもしや?生徒会長かしら?最近あまりいい噂がない。


それにしても、女性の方は何故こちらを見て泣いてらっしゃるのかしら?婚約破棄?あー婚約しておりましたわね。え、ではこの男の人は婚約者様かしら?


まあ、そんなことよりも、私が来た理由の発表があるのでした。

進行が変わってしまったせいかしら、大分慌てふためく司会に声をかけた。

さっさと、帰宅するためにとっとと用事は片付けてしまわなきゃ。





昔から、私はお人形さんが好きだった。綺麗なぱっちりおめめ、なだらかでひんやりとした硬く白く美しい肌、美しくも愛らしい体躯、長く綺麗なまつげ、すべてが美しいお人形さんが大好きだった、いや、今でも好きで好きで仕方ない。


いつもお人形さん遊びをしている私には友達は少なかったけれど、お人形さんの友達がいっぱいいました。それに、その少ない友達が今では親友、いえ同志としてかたい絆で結ばれていることに嬉しくさえおもいます。


そんなちょっと変わった私には、まるでお人形さんのような婚約者がいます。

五歳の頃に父親の紹介で彼と出会い、動くお人形さんがいると、私は惹かれてしまいました。


「お父様、素敵ですわ!」

「そうか、ならば彼と一緒にいれるよう頑張ってみようか」


私の言葉を深読みしたのか、それとも前から決まっていたのか、半年後お人形さんと私は婚約者となりました。


お人形さんと遊びたい私は、会う度に話しかけては、「きれい」「すてき」と事あるごとにはそう褒めていたと思います。本当に綺麗な黒髪、ぱっちりおめめ、まつげ、白い肌。ああ、出来ることなら様々なお洋服を着せたい。

ただ、私との相性はよくありませんでした。


見た目とは違い活発でお庭で駆けずり回ることがすきなところと、お人形さん遊びが好きで基本的に外に出ない私。


思えば、彼が笑っていたところを私は見たことがございません。いつもしかめっ面で、「おまえも、しょせんいっしょ」とか、「おれとつりあうようどりょくしろ」とか、「お前がきらいだ」とか、「あたまがわるいな」とか、会う度にそんなことを言っていたような気がします。

本当にうるさいお口、でも、喋るお人形さんもいますし、そんな気にはしておりませんでした。


ただ、年々会うことも少なくなり、小学校6年間でのお会いした回数は簡単に数えられる程度でしょう。


そんな私を心配してなのかはわかりませんが、中学はお人形さんがいるところに入る事になりました。


私と婚約者ということは、意外と有名らしく、色々話しかけられましたが、次第にそれもなくなりました。

避けられている?らしいのです。

確かにばったり遭遇するくらいで、話すことも特にございませんでしたし。会っても、「相変わらず美しいお顔ですわ」くらいしか声をかける言葉はありませんし。


真っ白な肌はいつの間にか、ところどころ色ムラのある薄橙色に。髪の毛も日に焼けたのか昔ほど艶がなくなり茶色味がかかったものに。なによりも、体育の授業の時に見てしまった、筋肉でボコボコになった体躯。


全く、許せないですわ。


顔に関しては、少し精悍になりましたがお人形さんのようなと例えられるほど綺麗なものです。それに、会話を続けられるほど、彼のことを知らないですし。


それに、もうその時から、私に無駄なことをする暇はございませんから。何故なら、運命の出会いをしてしまったのです。


あれは、たまたま父に連れられ参加した、職人技のイベント。

新たな産業を生み出し、利益に繋がるものを探す。自分たちの磨いた腕を披露し、今後の利益につなげる人に出会う。

様々な企業が、ライバルたちに囲まれながら、勝負している。私はあまりの熱気に、少々引き気味になりながらも、楽しんでおりました。


その、一画に、私は運命の出会いをしました。


「これは、とても素敵ですわ」

「え、あ、有難うございます」


小さくてあまり人のいないスペース。その中央に、美しいミニチュアの妖精のお人形さんが茨の中に眠っていたのです。

なんて、美しいの。

あまりの感動に、隣に座っていた男性に、私は声をかけました。


「ほんとうに、美しいですわ。これはいくらですか?」

「あ、実は展示用で、値段とか考えてないんです」

「そうなのですか」


欲しかった。しかし、こんなに美しいお人形さん、ここに出すのも心苦しいでしょうに、手放すとなったら辛いものもあるのでしょう。どこで、お生まれしたのかお聞きしないと。


「このお人形さんは、どうやって?」

「この娘は全身陶器、ビスクドールなんです。いつもはキャストドールなのですが、ビスクドールやりたい一心で。作成に時間はかなりかかりましたが、納得する形にはなりましたよ」


「えっ?」

「え?」


私の見識が広がる感覚がしました。そして、全身に雷を受けたような、そして光が強くなったような。

人形を、作る人。ああ、そうか、人形は自分でも作れるのね。そうなの、ね。

私は断りをいれて、父親に電話をした。


「お父様、私はいいことを思いつきましたの」


お人形さん作る彼を、すぐさま囲い込みました。彼は最初戸惑っておりましたが、一生お人形を作り続けられる環境という条件がよっぽど良かったのか、契約に至りました。


そして、新しく我が家が経営するのデパートやホテル、様々な産業の広告塔にお人形さんたちがなったのです。


お人形さんはある一定の人たちから恐ろしいほどに人気がある。また、怖いという人もいるが、美しいお人形さんの怖さを利用した夏の展示イベントは大盛況。


それに、お父様とお兄様がいうには「人形は美しく、インパクトもあり、劣化せず、問題も起こさず、なにより安価だ」と高笑いしてたのを思い出します。


ただ、それはあくまでも彼を囲い込むための私の口実。


本当の狙いは違うの。


今日も今日とて、彼の元に通い、日夜勉強しております。


そして、私は。


「ついに!芸術科編入できますわ!!」


高校に上がると同時に、普通科から私は我が校の芸術科に編入しました。

勿論、編入のために提出した作品はシリコンドール。そう、私はお人形さん職人の卵になったのだ。

彼との約束で、中学時代はお人形さん作りを習っていることを周囲には秘密でしたので、周りに悟られないために必死に勉強をして、夜遅くまでお人形さん作りをすることもあり必死に眠気をこらえ、毎日を過ごしていました。

芸術科になった今も、その生活からあまり変わってはいませんが、授業中にお人形さんを作れるというのはとても素晴らしい。

それに美しいお人形さんを作る基礎を養えるのです、叩き込まれたデッサン。裁縫。化粧の仕方。全てが全て楽しいのです。

そして、同志たちも実はこの学校に来たのです!一人はロボコン?で、一人は家政科のファッションデザインに!

私達は違う学科ですが、ひたすらにお互いを極め、無茶難題をふっかけ、答える。そんな私達に様々な協力者が現れ、手伝ってくださいました。

そして、今日このパーティーその成果を披露するのです。


司会が暗くし、スポットライトが当てられた一つの大きなプレゼント箱が運ばれる、そして、家政科の同志がリボンを解きました。中から現れたのは椅子に座った少女。ブロンドのソバージュの下ろし髪、長いまつ毛。背伸びしたのか肩グリはひろい青と白のドレス

目をパチリと開き、一度そのヘーゼルの瞳で周りを見渡す。ちょっとびっくりした表情をした後、恥ずかしそうに頬を赤らめる。そして、ゆっくり口を開きました。

「はじめまして、みなさま。わたしは、フィーユ、よろしくお願いします」


そして、彼女は一度背伸びをすると、「ああ、だめ。もう眠い」そして、また、眠りについた。


「ありがとう、おやすみ、フィーユ」

マイクを持った私が、そっと彼女を、撫でる。


「皆様!!この子は学園で毎年行われるパーティーサプライズ企画で作成されました、Dolls エンジェルモデル フィーユでございます!」


元々は究極に人間に近いロボットと究極に美しく人間な等身大お人形さんを作りたいという夢に、最高の素材のモデルに最高の衣装を着せたいという3人の気持ちから始まりました。そして、作成するに辺り、様々な人から協力を得に奔走しました。服の素材、肌の素材、髪型、瞳のガラス細工、女の子の動き、声、時には戦いにはなりました。

それでも、このかわいいfille (娘)を生み出すために三年も頑張りました。


いつの間にか、名誉あるらしいパーティーサプライズ企画にまでなってたのは驚きでしたけれど。


「いかがでしたでしょうか、私達はこの3年間私たちの娘をフィーユを生み出すことに奔走していました。毎日毎日手をぼろぼろにしながら、試行錯誤を続け、資金を作り、この子に愛情を注いでいました」


私のこの発言を皮切りに、この子の素晴らしさを一人一人伝えていく。


「この子の足を治す、それが私達のこれからの目標です!!二ヶ月もこの仲間と娘と昼夜を共にしました!丸二日会議室に閉じこもって会議をした日々が懐かしいです」


ロボット大好きな同志が高らに発言した。そう、我が娘の足を治してあげないとね。


「まさか、普通なら生徒会がやるはずだったサプライズ企画がこっちにくるとは思わなかったですが!おかげでこの半年は楽しくやれました!!有難うございます!!」

ドレスを作成した同志が、涙を流しながらそう叫ぶ。

そして、拍手の海に包まれた。あら、いけない、視界が滲んできてしまいましたわ。協力者として並んでいた師匠、彼にハンカチを渡され涙を拭う。


ああ、本当に素晴らしい半年でしたわ。


「有難うございます。これで、サプライズは終了です。引き続き、パーティーをお楽しみください」



パーティーの次の日。様々な人に話しかけられ、疲れてしまった私は、作業場にある布団の上でぼーっとしていた。他の仲間も何人かそこで倒れている。パーティーの後、フィーユの足をどのように動けるようにするかそれを相談していた。二息歩行の難しさに直面していますの。


そんな時、こんこんと扉が叩かれました。扉を開けるとそこにはにこやかな微笑みをしたお兄様がいました。


「おはよう、麗華」

「どうなされたの?」

「実は、婚約破棄になったよ。まさか、昨日あんな馬鹿をするとは思わなくてね。辛かっただろうに」

「昨日?フィーユのお披露目以外になにかありました?破棄になったのですね。わかりましたわ」


「さすが、麗華だよ。まあ、多額の利益と古い契約の整理へ繋がったから大丈夫。君はそのままでいなさい」

「わかりましたわ!!」


いったい何があったかは知りませんが、まあ婚約破棄されてもしかたないですわね。思えば、元婚約者の元お人形さんは生徒会でしたような。サプライズ企画私たちが担当したことに怒ったのかしら?でも、理事会からお願いでしたし、こちらとしても嬉しい申し出だったのですもの。

まあ、どうでもいいわ、今日も頑張らなくてわ。


「麗華ちゃん、おはよう」

「おはようございます、森居師匠」


寝ぼけまなこの師匠が起きてきた、さて、今日も今日とてがんばらなくてわ。

momoyama様の婚約破棄小説を再び読んで、書こうかなあと勢いで書いてみたら、婚約破棄どこいった感が拭えない作品に。皆様の想像力に全てお任せします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 究極のざまぁは相手に意識すら傾けない事なのですね。
[一言] 婚約破棄小説でも無ければ、ざまぁ小説でも無いでしょう。
[一言] 相手にとって重要な事が自分にとっては違う、ていいですね。
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