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ある偽善者の話

作者: 紺沢 霏苑

「ねぇ君、お菓子いるかい?」

僕はそう言いながら目の前で飢えている子供にお菓子を差し出しながらそう言った。子供は飢えた獣の様な目でお菓子を見ると、僕からお菓子をひったくった。

「やだなぁ、そんな風に取らなくてもちゃんとあげるよ。あ、毒とか入ってないから安心して。隠れてる君達もどうだい?チョコもポテチもそれこそケーキだってあるよ?」

僕が試しに掌に板チョコを出すと、僕の周りにはあっという間に子供達の人だかりができた。

「ほら、押さないで。ちゃんと皆にあげるから。君は何が食べたい?東洋のある島国の羊羹とかどうかな?ずっしりしてるからお腹に溜まるよ」

周りにいる子供達全員に溢れるほどのお菓子をあげると、僕は静かにその場を去った。

その数時間後、子供達はやっきになって僕を探し、仕舞いには残っているお菓子をめぐって争いを始めた。その事を僕は知らない。

それから一週間かけて歩いた場所にあった小さな町で同じ様にお菓子を配る事にした。

「やぁ、こんにちは」

「こんにちは!お兄ちゃんどっから来たの?」

「僕は…地球の裏側かな」

「地球の裏!?凄いね!旅してきての?」

「うん、そうだよ。折角だから旅の話でもしてあげようか?」

「いいの!?友達呼んで来ていい?」

「あぁ、勿論」

僕は町の子供に連れられて、広場で旅の話をすることになった。

僕は小さな村で生まれた事、その村で受けた扱い、海を渡った事、新大陸に行った事、とにかく色んな事を話した。

「とりあえずこんな感じだよ。どうだった?」

「面白かった!海渡る話もっと聞きたい!」

「私は新大陸の事をもっと聞きたいよ!」

「僕が最初に話してもらう約束したんだぞ!だから僕が一番最初だよ!」

「そこは年上として、年下に譲るものでしょ!」

僕は喧嘩になりそうな子供達の間に入って言った。

「あー、明日もまたしてあげるから。とりあえず、今日はこれで我慢してね?」

僕はそう言って二人の目の前にお菓子を差し出した。

「お菓子!くれるの!?」

「あぁ、いいよ」

「ありがとう!それより、今どこから出したの?」

「うーん…」

子供からの質問に、僕は具体的にこのお菓子がどこから出てくるのか知らなかったから、少し悩んだ後にこう言った。

「実は僕は魔法が使えて、どこにいてもお菓子を出せるんだ。すごいでしょ」

「ほんとなの!?すごいね!もっと出してみてよ!」

「いいよ。ここにいる皆の分のお菓子出してあげる」

というのは建前で、溢れ出てくるお菓子を正直どうにかしたかった。一週間も溜めこみ続けたせいで、もう溢れそうだった。

幸い、この広場には一週間分のお菓子を出しても大丈夫なくらいの子供達がいた。

「やっぱり溜めるのはよくないよなぁ…」

「お兄ちゃん何か言った?」

「なんでもないよ」

子供達とまた明日話をするという約束をしてから別れた。

その日の宿を探すために周りを見回すと、大人達が畏怖や奇異な目で僕を見つめていた。

「…行くか」

子供達との約束を破る事にはなるが、仕方ない。

僕は大人達の視線を避ける様にして、その日の内に町から出た。夜も歩き通しで、できるだけ町から離れた。朝日が地平線から見えてきた頃、僕はようやく足を止めた。

「…今日はここで休むか」

寝なくても死なないが、歩くペースが遅くなると色々と面倒なので、木の上に登って太い枝に座って睡眠をとった。

目を開けると、太陽が沈みかけていた。

「ハァ~…よく寝た。年なのか、最近寝る時間増えた気がするんだよな…」

ブツブツと老いていく体に文句を言いながらも、軽く体を動かして強張った体を解した。

「飯は…食糧なんてあったってないようなもんか。肉食いてぇなぁ、肉…。あの熱々に熱せられた鉄板の上でジュウジュウと肉汁のはねる音がするのたまんぇなぁ…。やっべ、肉の事考えてたら本格的に腹減ってきたわ」

僕は手をかざしてパウンドケーキを出すと、ほうばった。パウンドケーキによって口内の水分が失われ、パサパサとした口内で舌を必死に動かした。

「やっぱ紅茶かコーヒーが欲しいな。この近くにどっか水源なかったっけか?」

とは言ってみたものの、僕はこの周辺の地図を持っているわけはなく、当てもなく彷徨い歩いてみた。

「…ないな、水源。いっその事、近くに村があればいいんだけどな。そう、都合よく見つかるわけ…あったな」

俺が独り言を呟きながら歩いていると、廃村となっている村を見つけた。

「おー、ラッキー。僕ってばついてる~!さーて、久しぶりの水だ~」

僕が喜び勇んで井戸を覗き込むと、井戸の底にどこかで見た事のあるようは首飾りが見えた。

「ん~…?あの首飾りどっかで見た事があるような…」

苦労して桶で掬いあげてよく見てみると、元々僕の物だった首飾りだった。

「なんで、こんな所に…?」

僕はもう一度、この村を見回してみた。すると、どこもかしこも見てことのある家ばかりで、近くに転がっている骸骨が身にまとっている服は村を出る前に最後に見た母の物だった。

「…あー、一周してきちゃった感じ?マジかよ~。てか、僕の村廃村になっちゃってたんだ。未練はないけど、残念だなぁ。せめて、大人達には仕返ししてやりたかったなぁ。ま、別にいいけどさ。それじゃ、俺はもう用は済んだし行くか」

僕は井戸の底から見つけた宝首飾りをポケットに入れて再び歩き出した。



時代、地理、世界観がごちゃ混ぜになった話でしたがいかがでしたか?

青年の設定として、無限にお菓子を出せる、空中歩行ができる、不老ではない不死、人間不信という設定がありました。

まったく活用できていませんが。

一時間という制限をかけて書いたのですが、まだまだ書き足りていないです。

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