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過去の記憶

昔話になります


少年が目を覚ますと、辺り一面服やら宝石やら食糧やら、いろいろなもので埋めつくされていた。


体が上下に飛び跳ね、少年の体が中に浮いたり、床に叩きつけられたりと、世話しなく動いている。


少年は一瞬戸惑ったが、直ぐに自分の状況を理解した。


近くにかかっている仕切り替わりの布をめくると、ふっくらとした男性と、その隣に座る長い髪の女性、2人の間にすっぽりと挟まれて笑って座る女の子がいた。

男性は綱を引いていた。



「お父さんっ!!

お母さん!!」


少年が明るく、弾けるような声をかけると、

父と呼ばれただろう男性と、母と呼ばれた女性がゆっくりと少年のいる荷台へと振り向いた。



「おぉ アラン。

やっとお目覚めかい。」


少年の父が後ろを一目見てから前に向き直し、背中から声をかけた。



「うん。だってさ、振動が凄かったんだもん。

お尻が痛くなっちゃったよ。」


「ふふっ アランったら、お寝坊さんなのが悪いのよ。」



少年の母は優しい笑みを溢しながら息子、、アランを注意した。



「はーいっ。」



アランも照れ笑いを含んだ、はにかんだ笑顔で返事した。



ここアランたちの今いる場合は砂の王国サランダーと花の帝国ラクワスとの国境であった。


どこを見ても赤みを帯びた黄色い砂の一色で埋まっている。

ここら辺の国は他の国の物を手に入れるときに商人たちを通していた。

そう、

その商人たちというのが、アランたちの一族のキャラバンだった。

アランたちはラクワスから商品をサランダーへと運んでいる途中なのだ。


ラクワスとサランダー以外にも、水の都アクサーワと、商人たちの集う地、マーシアの2つの国を行き来するこの一族は、既に大民族と化していたのだった。




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