表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/25

4話 絶望

昨日から試験が始まったので更新が遅れます。申し訳ありません

「!! ここって、俺の部屋……? 痛…」


 いつの間にか進は自分の部屋のベッドに横たわっていた。そして、腹には包帯が巻かれていた。


「気づきましたか?」


 声をかけてきたのは進の母、神薙しんなぎ めぐみだ。


「母上…。 もしや、母上が私をここまで?」

「ええ。 治療を施した後に運びました」


 ーーーそんな細腕でどうやって?


 進は感謝よりも疑問が浮かんだ。


「【符】の力が無ければ私はあなたをそこに置いたままでしたよ」


 符という単語を聞き進は納得した。確かに符があれば、彼をここまで運ぶことは可能だ。


「母上は、符は何をお持ちで?」

「私が持っているのは【強】だけですよ」


 彼女が言った【強】とは簡潔に言えば強化のこと。足に貼れば足が。腕に貼れば腕が強化される物。つまり恵は、両腕に貼り進を運んだのだ。


「今日はもう寝なさい。 体を休めるのです」


 進は彼女の声に従い、静かに目を瞑った。


「おやすみ……。 進」




「ん……。 中途半端な時間に起きちまった……」


 彼が起きたのは午前3時だった。


「そりゃ5時に寝たらこうなるわな…」


 進は軽く嘆き部屋の外にでた。もちろん家の人は全員寝ている……はずだった。


(ーーーだ)

(ーーかー)


 ーーー今の声、父上と母上か?


 進は微弱な声を聞き、怪しいと思い1階へ降りていく。音をたてずに……。




「ーーいうことーーー」


 ーーー聞こえねぇ。もう少し近づいてみよう。


 細心の注意を払い進は話し声のする部屋へ近づく。


「わかったか? あくまで内密にだ。 奴には知られてはならん」

「……わかったわ」


 ーーー何の話をしてるんだ?


「鬼はおそらく進を選ぶだろう。 しかし、奴には扱えず【不現者】になるだろう……」

「【覚醒者】にはなれないのですね……。 何故ですか?」

「しいて言うなれば【決意】」


 ーーー決意。何の決意だ?


 不可思議な会話を進はただ聞いている。ーーー自分に関係している。


「いいか。忘れるな。儂が子を作るのは【一族の衰退を防ぐ】ためでも【一族の繁栄】でもない。ただ【純血の鬼を作る】ためだ」


 その言葉を聞き進は絶望した。厳しくても目標だった父。いつも優しく接してくれた母。そのどちらもが偽りだった。ただ純血の鬼を作るため、そしてその鬼を管理するためだったなんて。


「燕奈は女だ。子を作れるから殺しはしない」

「……では進は?」


 その時、外で鳴いていた虫の鳴き声も無くなった感じがした。そして、猛の口から出た言葉は…あまりにも残酷だった。


「もし鬼を継いでいなければ……【殺す】」


 この時から、進の運命の歯車は少しずつ、しかし確実に狂い始めていた……。







             第1章 完

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ