5話 一つの終わり、一つの始まり
更新が遅れてすみません
「父上、…母上。どうか、安らかな眠りを…」
進は二人に黙祷を捧げ、部屋を後にする。
「さて…これからどうするか?」
ーーーまずは家に帰るか……。
考えがまとまると彼は印を組み始めた。
ーーー構築式形成…、圧縮…。空間符作成…、構築式注入…。
頭の中で符作成のプロセスをたてる。しかし、両親が一変にいなくなったため顔には出さなくても彼の心は揺らいでいた。そのために彼は符が作れなかった。
ーーーくそ!! なんでだ!?
進は符が作れない理由がわからないでいた。彼が悩んでいる時に妙な視線を感じ、足を肩幅に開き腰の刀に手を添える。
「よくも頭首を!!!」
背中に羽を生やした男や女が空中から急降下して進を襲う。
しかし、彼の神経はまるで針のように研ぎ澄まされており拳や蹴りをすべて避ける。
「俺を襲った自分を恨んでくれよ…」
そう言うと彼は、烏族の人間を上半身と下半身をまっぷたつに切り裂いた。
切り裂かれた人間は悲鳴すら上げずにただ地に落ち、動くことはなかった。
「【鬼】の分際でよくも誇り高き烏族を!!」
「仕方ない…。殺らなきゃ俺が殺られるんだからな」
烏族は反撃の余地を与えないように完璧な連携を繰り出す。進は反撃は出来ないものの全ての攻撃を避ける。
「ちまちま戦っても埒があかない…。行くぞ!! 【鬼】よ!!」
そう言うと、1人の烏族が急降下して進の首を狙う。
―――【鬼】…。なんでそこまで【鬼】に、いや…俺に固執するんだ? 仕方がない……力をよこせ。【鬼】!!
進の双眸が赤く、不気味に輝く。そして、烏族を待ち構え刀を振り上げる。
「覚悟!! 烏流空術 空刺!!」
烏族は爪を立て進の首目掛けて突き立てる。しかし、彼は刀を上段に構えたまま動かない。
「我流 鬼の太刀 鬼爪…」
彼の首に爪が当たる寸前、進は振り向き刀を振り下ろす。すると、烏族は縦に一回切られただけなのに縦に3分割された。
「鬼の爪は一振りで人間を三つに裂く…」
残酷に言い放ち、刀を構え残りの烏族を待つ。しかし、彼らは進を襲わず先程まで進がいた部屋に帰っていった。
―――帰るか…。
彼は符を作り、妹が待っている我が家へと帰った。
第3章 完