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2話 捜索

「家か…」


 進は家の門の前にいた。しかし、彼の記憶にはここまでの道の記憶はなかった。


 ーーーどうやって帰ってきた?


 彼は家までの記憶を必死に思い出す。しかし、思い出すことはできなかった。


 入り口の前で考えている進だったが門が勢いよく開き跳び退いた。

 そこから出てきたのは進の父、猛だった。


「進か…。なぜ昨日…いやいい。入りなさい」


 ーーー……なぜ怒らない?いや、これはこれで幸運だな。


 そう考えた彼は小走りで父の後をついていった。




「進、妻が…恵が消えた」

「……消えた?どういうことですか?」


 猛の言葉に心から驚いた進だが冷静に振る舞い事情を聞く。


今朝(けさ)、あいつを起こしにいった。何故か今日は起きていなかったからな。そして部屋を見たが…」

「そこは最早、(もぬけ)の空だった?」


 猛は頷く。


「朝早くに外出した。というのは?」

「靴も草履もしっかりあった」


 二人は軽くため息をつく。そして、なにかを思いついたように進は顔をあげた。


「それ以降は父上は部屋には入られたのですか?」

「いや…部屋の入り口から見ても何も変化は見あたらなかったから、入ってはいないが…」

「では行きましょう。母上の部屋に」


 そう言うと進は猛の腕を引き恵の部屋に向かった。




 恵の部屋は良く言えば綺麗に片づいている。悪く言えば殺風景な部屋だ。進と猛は入り口から中を見渡し、安全を確認した後、部屋に足を踏みいれた。


「別に代わりはないが…」

「…ですね」


 部屋の中を見渡す二人。しかし、進は右足に違和感を感じ床を触った。


 ーーーなんだ? ここだけ感触が違う。


 彼は違和感のあった場所を指でたどっていく。下へ、数cm行った所を右に。右に少したどったら上へ。下にたどった長さと同じ長さに行った所を左に。

 たどっていくと彼の指はある一つの形を作り出した。


 ーーーこの形…。もしかして!


 彼は片手で印を組んだ。そして出来た鬼符を指でたどった箇所にはめる。


「やっぱり…。 父上! 来てください」

「どうした?」


 疑問の顔を崩さずに猛は進に近づく。


「ここ…。 符を貼った跡があります」

「何!? 何の符かわかるか?」

「いえ…、私の力ではそれは…」


 ーーー仕方がないか…。


 そう思った猛は進を下がらせ符が貼られていたらしい場所に左を当て右手で印を組んだ。

 すると彼の左手は光り、鬼符が出来上がっていた。


「【鬼符・結】か…」

「【結】…。結界?」


 【鬼符・結】は結界の力を使う札。札の枚数に比例して強度も強くなるという特別な札。それを恵が使えるのはおかしかった。彼女は一昨日まで【強】しか作れなかったからだ。大人ともなれば精神は劣化してくる。つまり、符は作れないのが真実なのだ。


 進は周りを手探りで探す。すると、中心とする部分が一枚。それの数十cm離れた所の四角に一枚ずつ、計5枚の符が貼られていた。


「はぁ… はぁ…」


 肩で息をする猛。5枚の符を作ればかなりの精神が削られるだろう。それでも死なないのは彼の精神力が高いためだろう。


「【結】が周りに4枚。【移】が中心にある。これは……【四陣動結界】(しじんどうけっかい)か」

「【四陣動結界】…」


 【四陣動結界】とは【結】の符を四方に貼り、その中心に【移】の符を貼り安全に転移する方法だ。


 ーーー母上の精神力で二つの符を作れるのは無理だ…。


 そんな考えは、猛の声でかき消された。


「進。用意をしたら行くぞ」

「……はい!」


 用意と言っても進はなにも用意するものがなかった。そのため、彼は父をただ待っていた。


 用意が完了した二人は結界に入り移動した。

 猛は進に聞こえないように呟いた。


「息子は守ってみせる…!」


 猛は腰に掛けてある刀に手を当て、進の方を向き更に呟いた。


「この刀はいずれ継承させねばな…」

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