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其の三

其の三投稿。












危惧したとおり、其処は地獄絵図を再現したような場所だった。



死屍累々となっている奴等。



散らかされた酒瓶、料理等が盛られていた皿。



飲めや歌えやの宴会後の片付け。








…うん、殺そう。






思考を放棄し、合掌。





「理法現出『【酒呑殺しゅてんごろし】』」




そして合わせたてのひらからまず朱色の柄が出て、淡い紅の刀身が引き抜かれ、顕になる。


付与した理法ルールは【酒呑殺しゅてんごろし】。


理法の元にしたのは童子切安綱という酒呑童子を斬ったとされる刀。


これはその簡易版であり、酔い覚まし程度の効果がある斬れない刀。勿論殴打は可能。


つまり、酒に酔った馬鹿どもを効率よく絶対的に撲殺―じゃなくて酔い覚ましできる優れもの。



「あは……アハハハハハハハハハッ!!!」


『壊れた?!誰彼が壊れた?!』



本来の刀へと姿を変えた菖蒲が今の彼を見れば、目が据わっており、瞳のハイライトが消えている事が解った。




「殺して解して並べて揃えて晒してやんよぉ!!!」



何処かの殺人鬼の台詞を恥ずかしげも無く言い切る誰彼。



ヒャッハー!と、普段の彼からは想像も出来ない程ハイテンションで刀姫あやめを構えて突っ込んでいった。


『…』


適当に現在進行形で薙ぎ払われている者達に黙祷。



一時の衝動に身を任せた誰彼に、その被害で後片付けが更に面倒になると内心で溜息を吐く菖蒲だった。










――翌日。



「衝動に身を任せた結果がこれだよー…」


「下らない事を言ってないでさっさと手を動かせ!」


「わかってますよ軍曹さん…」


言葉より行動で示さないと納得しないのが軍曹さんクオリティ。



誰彼は濃紺の軍服を着た赤髪の女性【睦美むつみ】通称『軍曹さん』と呼ばれる彼女の監督の下、地道に道を直していた。



勿論、彼の十八番である付与の【理法ルール】は使用禁止である。



なのでスコップを使って地道に陥没した穴に土を埋めて塞いでいる。



何気に彼女も手伝っている辺り、その言葉には出さない優しさが垣間見える。








その日、結局夕方まで掛かって全ての穴を塞いだ二人。


誰彼は睦美に酒と夕飯を奢ったのは余談である。

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