其の二
年の内に 春は来にけり ひととせを こぞとや言はむ 今年とや言はむ
『意味』
暦の都合で年内に立春があった日に、春が来たのならば昨日までの日々はすでに去年になってしまうのだろうか、
という気持ちを表した歌。 元方は業平の孫。
『解説』
ここで出てくる立春とは、太陽の運行を元にした二十四節気というもののひとつで、
日照時間の一番短い冬至から数えて、小寒・大寒・立春と四番目に当たる。
二十四節気はひとつの区切りを15日とするので、立春は冬至から約45日後になる。
(15日X24では360日にしかならないため実際には調整が入る)
一方、昔の暦の一年および何月何日というのは、約29.5日である月の周期から決められていた。
それによると十二ヶ月は約354日となり、太陽の暦より周期が短いため、ある年の立春を一月一日とすると、
次の年の立春は一月一日より約11日先の日付になる。
それを続けていると年ごとに季節とのズレが大きくなってしまうので、
約三年に一度、うるう月といって一ヶ月まるまる増やすことにより調整した。
しかしどうしても、うるう月がある年は一年の日数が約29.5日延びるため、
結果として一年の間に一月と十二月に二回立春がきてしまうことがある。
そして二回立春が来た次の年は、年内に次の立春が来なかったり、年の終わりに立春が来たりする。
外界の日本の別荘を参考に作られたと言う五月雨荘。それを中心とするこの世界。
季節は春。
咲き誇る、春を象徴する桜が世界を彩っている。
この【夢幻世界】にもちゃんと四季がある。
朝も有り昼も有り夜もある。
太陽が出て、沈んで行き、月が浮かぶ。
それは当たり前の事であり、とても大切なことだと、俺は思う。
え?それよりお前は誰かって?
そうだね、『何処かの誰か』とか『名無しの権兵衛』とか。勿論比喩だけど。
要するに名前の無い存在。
今でこそ【誰彼】なんて名前が有るけど――
っと、話が逸れた。
とりあえず【誰彼】と、覚えてくれればいいと思う。
名前はとても大事な物だからね。
「誰彼、居るか?」
部屋の仕切りになっている障子を開き、入って来たのは半身にして姉のような存在。
刀の九十九神【刀姫・菖蒲】
凛とした佇まいをした彼女は、俺の姿を捉えると手招きをした。
何気なく開いていた書物を閉じ、菖蒲の元まで歩く。
「どしたの?」
「いや、暇なら少し手伝ってくれ…」
私一人であれ等を相手にするのは骨が折れる。
心底疲れたように溜息を吐き、そう付け加えた菖蒲に、ああ、またかと思わず頭を抱える。
この世界、創造主である【あの人】の意向であらゆる存在を受け入れる様にしたのだが…
まぁ、当然問題が有る。
少し、話は変わるが、【春】と【桜】
この二つで連想できる物は?
ベストな回答は【花見】だ。
では【花見】。これから連想できる物は?
【花見酒】
【花見虱】
【花見月】
【花見鳥】
っと、言い出せばまだあるけど、とりあえずこの四つでいいか。
【花見虱】…これは春になると活発になるシラミ。
【花見月】…陰暦3月の異称…だった筈。
【花見鳥】…ウグイスの別名だな。
よって、これの回答は【花見酒】
で、【花見酒】…これによって多々に問題が出る。
一つ、一部のいい年した奴らが酒によって暴れる→鎮圧にかりだされる
二つ、宴会の片付け→泥酔者多数=役に立たない→片付けの手伝いをさせられる
一日ならまだ、いい。
だが…だが!あいつらは連日やるから性質が悪い!
それも広域で、だ。
前回の時なんて、思い出したくも無い。あれは悪夢だ…!
何度半身を引き抜いて刀の錆にしようと思ったことか…!
其の度に菖蒲にとめられて止む無く、本当に止む無く斬るのは断念したけど…!
「気持ちは解るが、落ち着け。」
っと、落ち着け俺…
「さあ、息を吸って、吸って、吸って…」
「すぅ、すぅ、すぅ…って、そこは息を吸って吐いてだろう!」
「いや、まさか本当に実践するとは思わなくてな…」
悪びれた様子もなく、「まぁ、ノリが良いのは良いことだ」と菖蒲が付け加えた。
「はぁ…」
「溜息を吐くと幸せが逃げるらしいな。」
「人事かよ…」
「私は九十九神だからな。」
「言い返した俺が馬鹿だった…」
胸を張って言う菖蒲に、言い返した俺は虚しくなった。
取り合えず二話投稿。
この調子でどんどん書いていければ…いいなぁ…(願望)
基本行き当たりばったりなので続くかどうかは微妙です。