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社内で人気な犬系クール美人が俺にベタ惚れなせいで修羅場になった  作者: 夏目くちびる


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001 氷の女王は恐れない

全12話、完結まで毎日投稿します。

 それは、とある日の経理課での出来事であった。



「ねぇ、美鶴ちゃん。領収書の件は多目に見てくれないかな?」


「事実確認の出来ない出費を経費として計上することは出来ませんよ、営業部長」


「ケチだなぁ。いや、ね? 俺は十万円ぽっち端金だからいらないんだけどさぁ。ねぇ? 認めないと部下が困るでしょ?」


「……」


「そもそも、昔はこんな細かいこと言わなかったんだから、本当は領収書なんて必要ないんじゃないの? 美鶴ちゃん、俺が別の子と話してることに嫉妬して嫌がらせしてるんじゃないの?」


「他の方が聞いていますよ」



 美鶴は、極めて冷静に言い放つ。しかし、営業部長はお構いなしに話を続けた。



「まぁいいや。ところで、明日の食事の話は考えてくれた?」


「行かないと言ったはずです」


「またまた。そんなふうに固いことばっかり言ってると嫌われちゃうよ?」


「……」


「照れてるの? ひょっとして、美鶴ちゃんってヴァージンだったりする? せっかくの美人も、そんな態度だと台無しなんじゃないかな」


「……はぁ。あなたは、自分が部下から反撃されることなんて考えたこともないのでしょうね。だから、そうやって平気な顔をして自分より立場の低い者に横柄な態度を取れるんです」



 美鶴の言葉に、営業部長の表情が曇る。その手に握られていたのは、録音アプリを起動したスマホであった。



「は、はぁ!? ナメてんのか、クソアマァ!!」


「私だけが被害者ならば構わないと思っていましたが、あなたのセクハラ発言が多くの女子社員を苦しめていることを知ってしまいましたので措置を取らせていただくこととしました。この音声データを提出すれば、近日中に倫理委員会を通してあなたへの監査が入ると思います」


「俺にこんなことしてタダで済むと思ってんのかァ!?」


「すべての処理が終わった後でも営業部長がその席に座っていられるのなら、私は無事では済まないでしょうね」


「あぁ!?」


「続きをお望みならば、監査の後、弁護士を通してお願いします。私個人であなたと戦う気はありません。話は以上です」


「だから、その態度はなんだって言ってるんだよ!! 黙って座ってねぇで答えろや!!」


「……」


「おい!! 聞いてんのかよ!?」



 そこまで聞いて、いよいよ手を振り上げた営業部長。しかし、そんな彼を同じ経理課の女子社員が呼んできたガードマンが羽交い締めにして食い止める。



「離せ!! 離せコラ!! 美鶴!! テメー、ふざけんじゃねぇぞォ!!」



 喚き散らしながら引きずられて営業部長が出ていくと、ようやく、総務部のオフィスは緊張から解放された。



 目撃した社員たちが口々に話をする中、当の本人である美鶴は、後に呼び出されることを見越してか、既に仕事に取り掛かり少しでも多く終わらせることを目指していた。



「す、すげぇなぁ。有坂さん」


「侮辱、セクハラ、横領教唆。彼女自身も酷いこと言われたのに、一切顔色変えないで、一言も感情的なこと言い返さないでさ。なんというか、人間が出来すぎてるよ」


「そもそも、自分より体のデカい奴に対して、あんな冷静に対応出来るなんて、男でも滅多にいねぇよ。いつも冷静で仕事はきっちりこなす。かと言って、感情のない機械じゃないのがいいよなぁ」


「そうですね。今回のことだって、話を聞くに女子社員の不満を解決することがきっかけで録音したんでしょう?」


「そう!! 有坂さん、めっちゃ優しいんだよ!! 悩み事とか凄く親身になって聞いてくれるし、アドバイスも的確だし!! あんなに理路整然と説明できる人って珍しいと思う!!」


「有坂さん、カッコいいよね!! 本当にクールだし!! 超頼りになるしさぁ!!」


「おまけに、めちゃくちゃ美人だしな」


「それ、ファンがつくのも納得。僕も笑ってるとこ一回だけ見たことあるけど、ちょっとクラっときたもん」


「もし何かあったら、絶対に有坂さんに被害がいかないようにしようぜ」


「まぁ、俺らの助けなんて必要なく、自分できっちり片付けそうですけどね」



 こうして、騒動は終わった。



 後日、営業部長は懲戒解雇となったが、金輪際、彼について有坂美鶴が何かを語ることは一度も無かった。



 そんなクールな態度が、更に社員たちを虜にするのだった。

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