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第2話 祝宴に潜む銃声


横浜港を臨むホテルの大広間では、天城家と佐伯家の顔合わせに合わせて、全国から集まった警察関係者たちの姿もあった。玲子が県警本部長という立場にある以上、部下たちや関係部署の要人が挨拶に訪れるのは自然な流れだった。


最初に姿を見せたのは、副総監・三枝義信。温厚そうな笑みを浮かべながら、天城輝政の妻・美佐子に深く頭を下げた。


「奥様、初めてお目にかかります。ご主人には日頃より大変お世話になっております」

「まあ……副総監がお越しになるなんて。夫もきっと喜びますわ」


続いて、刑事部長・横溝昭二が現れる。少し無骨な雰囲気を纏いながらも、誠実な言葉で美佐子に挨拶を述べた。


「奥様。輝政総監のご活躍には、いつも頭が下がります。どうかお身体をお大事にとお伝えください」

「ありがとうございます。あなたのような方々が支えてくださるから、夫も職務を全うできるのです」


さらに、警備部長・大塚辰巳、参事官・篠宮卓人も次々と美佐子の前に並び、礼儀正しく言葉を交わした。


やがて、大広間にどよめきが走る。宿敵とも言える警察庁長官・黒川慎吾の入場であった。輝政とは長年の政敵関係にあり、その鋭い眼光は一瞬にして場の空気を凍らせる。黒川は美佐子に向かって、形ばかりの挨拶をした。


「……総監夫人。お噂はかねがね。今日は良き日でございますな」

「……ありがとうございます」


美佐子は柔らかく微笑みながらも、相手の心を測りかねる緊張を隠せなかった。


その後ろには刑事部参事官・本城雅彦、官房室長・村野英明、警察庁次長・田淵貴昭らが続いた。いずれも政界との繋がりを持ち、輝政にとっては一筋縄ではいかない面々ばかりである。彼らもそれぞれ美佐子に礼を尽くしたが、その言葉の裏に探り合いの気配が漂っていた。


一方、玲子のもとには、県警本部長としての直属の部下十名が勢揃いしていた。刑事部の若手エース・藤田真一警視、捜査一課の辣腕・江原徹警部、交通部の俊英・村川修平警部補らが次々に現れ、

「本部長、本日はおめでとうございます!」

「自分たち一同、心より祝福申し上げます!」

と声を揃えた。


玲子は微笑んで部下一人ひとりの肩に軽く手を置いた。

「ありがとう。あなたたちがいてくれるから、私は本部長として務めを果たせるのよ」


会場は祝福の空気に包まれ、笑顔と拍手が絶えなかった。だがその和やかな雰囲気を、突如として破るものがあった。


――パァン!


乾いた銃声が、ホテルの大広間に響き渡った。

グラスが床に落ち、悲鳴があがる。照明の下で人々が凍りつき、誰もが音の方向を探した。


「銃声だ……!」


刑事たちが一斉に腰のホルスターに手を伸ばし、会場は瞬時に修羅場と化した。

玲子はすぐさま部下に指示を飛ばし、優人は玲子の前に立ちふさがった。


天城家と佐伯家、そして警察庁の重鎮たち――。

この場に居合わせた全員が、今や逃れられぬ新たな事件の渦中へと巻き込まれたのだった。



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