第六話「家族への報告」
翌朝。玲子の母の取り計らいにより、優人は父――天城剛(警視総監)と、長兄・隆明(警察庁刑事局長)の前に通された。
重厚な応接間に漂う空気は、玲子の前で見せる優しい時間とは違い、圧倒的な威圧感を帯びていた。
「君が玲子と……結婚を考えていると聞いたが」
剛の低い声が響く。
「はい。必ず一人前の弁護士になり、玲子さんを守ります。その覚悟で参りました」
優人は背筋を伸ばし、力強く答える。
隆明が冷静に言葉を重ねる。
「覚悟はわかった。だが、我々天城家は世間から常に注目される立場だ。君が玲子と共に歩むというのなら、それ相応の責任と強さが必要だぞ」
優人は一歩も退かずに答える。
「承知しています。だからこそ――試されても構いません。玲子さんの隣に立つ資格を、自分で証明します」
その言葉に、父も兄も互いに目を見交わした。
「……簡単な道ではないぞ」
「それでも構いません」
優人の瞳に宿る決意は揺るぎなかった。
⸻
その後、玲子や母も交えた食卓で、緊張が少しほぐれた。
夕刻、優人が東京へ戻るために玄関に立つと、そこへ小走りにやって来たのは妹の真理亜だった。
「優人さん!」
息を弾ませながら見上げてくる妹に、優人は微笑んだ。
「どうしたの?」
真理亜は真剣な表情で言った。
「……お姉ちゃんのこと、お願いします。お姉ちゃん、本当はすごく強そうに見えて、寂しがり屋だから。優人さんしか支えられないんです」
優人は驚いたように目を瞬かせたが、すぐに力強く頷いた。
「任せてくれ。玲子さんは、俺が必ず幸せにする」
そのやりとりを見守っていた玲子は、思わず涙をこらえきれずに真理亜を抱きしめた。
「……ありがとう、真理亜」
妹は小さく笑って「お姉ちゃん、幸せになってね」と耳元で囁いた。
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こうして優人は、天城家の大きな壁を一つ越え、玲子との未来に向けて確かな一歩を踏み出したのだった。
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