第五話「永遠の約束」
優人の突然の帰省から数日。玲子と優人は、限られた時間を惜しむように一緒に過ごした。書斎で本を読み合ったり、母と家政婦に勧められて庭でお茶を飲んだり――まるで長年連れ添った夫婦のような落ち着きすら漂っていた。
しかし楽しい時間はあっという間に過ぎる。帰京の前夜、玲子は縁側で月を見上げ、胸の奥が締めつけられるような切なさを覚えていた。
その隣で優人が深く息をつく。
「玲子……ひとつ、決めたことがある」
「……なに?」
彼の声は真剣だった。
「俺、弁護士になったら玲子と結婚したい。いや、なりたいじゃなくて――必ずなる。そして玲子を迎えに来る」
玲子の心臓が大きく跳ねた。言葉を失い、ただ彼を見つめる。
「……そんなに真剣に考えてくれてたの?」
「当たり前だ。遠距離でも何度でも会いに来るし、どんなに苦しくても俺は玲子を支えたい。だから――君の家族にも、ちゃんとお願いするよ」
⸻
その夜遅く。
優人は母に挨拶の場を願い出た。居間には母と、偶然帰宅していた遼真も同席する。
「佐伯優人です。未熟者ですが、玲子さんと真剣に結婚を考えています。どうか、この気持ちをお伝えしたくて……」
居間は一瞬、静まり返った。
母は優しく目を細める。
「まだ若いのに……でも、あなたの真剣さは伝わりました。玲子を想ってくださるお気持ち、嬉しく思います」
遼真が小声で「お姉ちゃん、よかったな」と茶化すが、玲子は赤面して「もう黙ってて」と言うしかなかった。
母は少し間を置いてから続けた。
「ただし……玲子は天城家の娘です。父や兄、姉の承諾も必要ですし、あなた自身も立派に道を歩んでいただかなくてはなりません。覚悟はありますか?」
優人は力強く頷いた。
「はい。必ずやり遂げます。玲子さんを守れる男になります」
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玲子は涙をこぼしながら、優人の手を握った。
「……私、信じてる。待つから」
その言葉は、ふたりの未来を照らす灯火となった。
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