表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/118

第6話 友の弁護


 署内の会議室に現れた青年の姿に、真理亜はぱっと顔を輝かせた。

 「優人さん!」


 ――佐伯優人。

 遼真の大学時代の友人であり、現在は司法修習を終えたばかりの弁護士見習い。

 天城家とも長く交流があり、何度も家を訪ねては食卓を囲み、家政婦の初枝の手料理を「美味しい」と笑顔で食べてきた人物だった。


 しかし彼が家族にとって単なる「友人」ではないことを知っているのは、ごく一部だった。

 玲子の婚約者――それが佐伯優人のもうひとつの顔である。


 「遼真のこと、僕に任せてください」

 優人は毅然とした口調で父・輝政、兄・隆明、そして玲子に頭を下げた。

 「僕はまだ見習いの身ですが、法の立場から彼を守ります。彼は犯人じゃありません」


 真理亜は嬉しそうに頷いた。

 「優人さんなら信じられる!」


 だが、玲子は複雑な面持ちでその場を見つめていた。

 ――彼は遼真の味方であり、自分の婚約者でもある。

 職務上は冷徹に弟を追い詰めねばならない立場なのに、心は彼に揺さぶられる。


 その夜、署を出たあと。

 駐車場の片隅で、玲子と優人はふたりきりになった。


 「……来てくれて、ありがとう」

 玲子の声は、職務の仮面を外した素の女性のものだった。


 優人は優しく微笑み、玲子の肩に手を添えた。

 「玲子。僕は君の家族も、そして君自身も守りたいんだ。だから必ず遼真を助ける」


 次の瞬間、玲子は抑えきれずに彼の胸に飛び込んでいた。

 「……優人……」


 抱きしめられた温もりに、彼女の肩が小さく震える。

 警察本部長としての冷徹な顔はもうなく、ただ恋するひとりの女性がそこにいた。


 優人はそっと彼女の髪を撫で、唇を重ねた。

 短いが確かな口づけだった。


 「大丈夫。信じてくれ」

 「……ええ」


 ふたりの秘密は、夜の闇に溶けていった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ