舞台の上の告白
文化祭当日。校内は活気に満ち、生徒たちが思い思いの装飾や催しで賑わっていた。翔のクラスの出し物——「ロミオとジュリエット」は午後の目玉。体育館の客席は早くも保護者や生徒で埋まりつつあった。
楽屋では緊張感が漂っていた。ジュリエット役のあやはドレス姿で鏡の前に立ち、深呼吸を繰り返す。
一方、ロミオ役の涼は、鏡を見ながら自分の襟元を直し、そっとあやの背中を見てつぶやいた。
「今日で全部、終わらせる」
開演。ライトが当たる舞台の上、翔は裏方として、タイミングを見計らって照明や音楽のキューを出していた。だが心ここにあらず。舞台のセリフよりも、あやの表情ばかりを目で追っていた。
そして、クライマックス——ロミオとジュリエットの別れの場面。
観客が固唾を飲んで見守る中、涼はゆっくりとあやに近づき、台本にない言葉を口にした。
「これは演技じゃない。本当に君が好きだ、あや」
一瞬、観客席にざわめきが走る。舞台裏で翔が照明のスイッチを握ったまま凍りつく。
ジュリエット——あやは動けなかった。舞台上の静寂が数秒続いた後、
——その沈黙を、翔の声が破った。
「俺も……!俺も、お前のことがずっと好きだった!」
翔は裏方の黒いTシャツのまま、舞台に飛び出していた。驚く涼。会場にどよめき。教師が止めようと舞台袖でうろたえる。
でも、その時、あやが微笑んだ。
「……これが、私のロミオ?」
観客が大拍手を送る。演劇は、フィクションとリアルが交差する場所だ。そしてその日は、翔の気持ちがやっと真っ直ぐに伝わった日だった。
少女漫画あるあるその43:
「文化祭でまさかの告白、観客も巻き込んで大事件!」
少女漫画あるあるその44:
「舞台で演技なのに本音ぶっちゃけ!」
少女漫画あるあるその45:
「衣装が似合いすぎて本人よりロミオっぽい裏方男子」
少女漫画あるあるその46:
「どっちを選ぶの?なクライマックスは全員泣く」
舞台の幕が下りたとき、あやの心には、ひとつの答えが見えていた。