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少女漫画あるある100小説  作者: 牧亜弓
あやの章
16/33

秘密の演劇 二人の台本

文化祭が近づき、クラスでは出し物の準備が始まっていた。翔のクラスは「ロミオとジュリエット」の劇をやることに。あやはクラスの推薦でジュリエット役に抜擢され、ロミオ役には、なんと——転校生の涼が選ばれた。


「ま、マジか……」

翔は思わず机に頭をぶつけた。あやも戸惑いを隠せない。


涼は台本を手に、にこやかに言う。

「僕、本番に弱いから、あやちゃんといっぱい練習したいな」

その言葉の裏にあるものが、翔には見えていた。


翔は悔しさを噛みしめながらも、演出係として演劇に参加することにした。あやのそばに、少しでもいたかったから。


夕方、誰もいない体育館の舞台裏。涼とあやは発声練習の合間にふと話し出す。


「君さ、翔くんとどんな関係なの?」

涼の問いに、あやは言葉を詰まらせる。


「……まだ、わかんない。でも、大事な人」

その一言が、静かに涼の胸に突き刺さった。


リハーサルの日。ロミオがジュリエットに愛を告げる名シーン。

涼の視線が真っ直ぐあやに向けられる。


「俺は……君を本気で好きになったよ」


リハーサルなのに、涼の言葉はアドリブだった。

観客席で見ていた翔の拳が、静かに震えた。


その日の夜、翔はあやを呼び出した。


「……ちゃんと気持ち、言わせて。俺、お前のことが好きだ」


言葉は不器用で、でも真剣だった。あやはその場で何も答えられなかった。


少女漫画あるあるその39:

「文化祭の演劇で恋の三角関係が火を吹く」


少女漫画あるあるその40:

「アドリブ告白でドキドキ展開!」


少女漫画あるあるその41:

「練習のふりして距離が縮まる二人」


少女漫画あるあるその42:

「本番よりも、心のセリフが本物だった」


ジュリエットの答えはまだ出ていない。けれども舞台の幕は、もうすぐ上がる。

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