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ひとりでのんびりしてゆく  作者: 遠藤 敦子
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(ゆい)、ごめん。元カノと会って関係持ってしまった……」

 私は恋人の浩一(こういち)に土下座され、こう謝罪を受けた。

「は……? ちょっとどういうことか説明してくれる?」

 脳内では理解していたものの、心が追いつかない。そこで私は浩一に説明を求める。なぜ元彼女と会うことになったのか。なぜ関係を持ったのか。どういう経緯があってのことだったのか。訊きたいことが山ほどあったからだ。


 浩一の言い分としてはこうだった。浩一が仕事終わりに倒れた人を介抱している際に元彼女が現れ、病院の待合室で顔を合わせて懐かしくなったらしい。私に内緒で何度か会ううちに関係が深まり、ついにホテルで肉体関係を持ったそうだ。しかもその元彼女にも彼氏がいて、その彼氏とうまくいっていない中で浩一と再会して元彼女も心変わりしそうだという。

「ずっと隠し通すつもりだったけど、罪悪感で押しつぶされそうだったんだ」

という浩一に、私は

「言えばいいってものじゃないし、浩一は私が浮気する人が一番許せないってわかってたよね? それなのになんでこんなことするの?」

と声を荒げながら言ってしまった。なんでと責めても、それで浩一の心が私に戻ってくるわけはないとわかっていたけれど。

 浩一に何度も謝罪され、土下座もされた。しかしそうされたからといって許せるわけはないので、私は浩一との別れを選んだ。



 翌日の月曜日、私はいつも通り出社する。女性上司から開口一番に

竹内(たけうち)さん、元気ないけど大丈夫?」

と訊かれてしまった。

「大丈夫です、ありがとうございます」

私はどうにか答える。失恋が原因だなんて言えなかったからだ。大丈夫ならいいけどと言い、女性上司は自席に戻っていった。

 お手洗いで他部署の同期の川島瑠花(かわしまるか)とばったり会い、瑠花にも

「結どうした? 今日元気ないけどなんかあった?」

と訊かれる始末だ。

「彼氏が元カノと浮気してて、許せなくて別れちゃった」

瑠花には正直に事情を話す。すると瑠花は

「それならランチの時にでも話聞くよ」

と言ってくれた。


 昼休み、私と瑠花は会社近くのイタリアンレストランでランチする。浩一に元彼女との浮気をカミングアウトされた際の状況や、元彼女と関係を持つまでに至った経緯を瑠花に説明すると

「は? なんなのそいつ、クソ男じゃん。結のことを何だと思ってるの?」

と瑠花は怒り呆れていた。浩一は状況を直接見ていない第三者が呆れるほどの男だったのだ。

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