6、ドクダミ茶、前編
アネウットの風邪も癒えた。
母上にもアネウットにも迷惑をかけてもうた。
そのお礼をしたいと思う。
先ずは母上からや。
ワイ君には隠れた趣味がある。
薬草等、植物の栽培や。
いろんな植物を育てとる。
数年前に庭でドクダミを見つけて、それを増やした。
ドクダミを栽培、収穫、加工してドクダミ茶を作っとる。
ワイ君も愛飲する自信作や。
今日はその自信作を、はじめて母上にふるまうんやで〜〜〜。
食堂にて、いそいそとワイ君が準備したドクダミ茶。
母上はなんとなく食堂のテーブルに座りくつろいどる。
ワイはスマートにドクダミ茶をいれ、スマートに母上の元へと運ぶ。
それを飲む母上。
無言で控えるアネウット。
「どうや母上。ワイ君自慢のドクダミ茶は?」
「土の匂いがしますね」
「味は悪くないんや。けども匂いや風味は大地の匂いや。最悪や」
「そうですね」
母上もそう思うんか?
やっぱり飲みにくいか?
作ったワイが飲みにくいんや。
他人が飲んだら、そらそうやろな〜
「でも、美容と健康には、本当に良いんやで。これ飲み始めてからワイ君は絶好調や」
「そうですか」
ワイ君の言葉を聞いていた母上。
ワイ君が淹れた茶、栽培したドクダミ茶を、もう一度口にふくむ。
ふう、
母上が2度ドクダミ茶を口にした。
と言う事は、どうやらワイのドクダミ茶は、失格判定をくだされなかったようやな。
良かったで。
「でも………ワイが淹れた、このドクダミ茶。1つ問題があるんや」
「問題? なんです?」
「このドクダミ茶の原材料は、もしかしたらドクダミに、よく似た雑草かもしれんのや」
「え?」
「ワイ君、ドクダミ茶って何なのか、よくわからんからな〜」
「なんですって?」
「何か、それっぽいのが庭に生えてたから、栽培して増やしてみたやで〜〜〜」
「………」
「せっかく増やしたから茶にして飲んでるんやが、母上が普通に飲めるなら、大成功やな」
「ブ〜〜〜」
ワイの言葉を聞いて、母上は盛大にワイの淹れたドクダミ茶らしきものを吹き出した。
「ゲホゲホ」
母上はむせた。
しかし、すぐにアネウットのフォローが、はいる。
「まぁ、でも………若様が今まで飲んでも異常がないのなら。例え雑草茶でも、きっと問題ありませんわ」
アネウットはそう言って優しく微笑む。
「そうかな?」
「そうですとも」
「なら良かったやで〜」
「ふふふ」
「良くありません!」
バン!!!
大きな音がした。
音がした方へ目をやると、母上が鬼の形相で………
「貴方達は、その子が我がプラチナム家だけでなく、体力馬鹿アイアン家の紋章の力を得ているのを忘れています」
ん?
紋章?
「確かにワイ君。プラチナム家の魔力紋章と、アイアン家の体力紋章の加護を持ってるけど。それがなんや?」
ワイ君がそう言うと………
「それが? ではありません」
「ファッ?」
「貴方はアイアン家、体力紋章の加護で身体がゴリラの様になってます」
「そやな〜」
「体力紋章持ちの貴方が無事でも。アイアン家の紋章を持っていない、私や他人が飲んで、害が無い飲物とは言い切れませんよ」
「あ………」
アネウットはハッとした。
でもワイ君は………
「へ? なんの事や?」
「………若様が凄いって事ですよ」
「そ、そうか。ワイ君凄いか?」
「はい」
「それは良かったやで〜」
アネウットに褒められた。
流石持ってて良かったアネウットや。
何か照れるで〜。
アネウットがワイ君の護衛についてから、ワイ君の人生変わったわ。
バラ色や。
感謝の気持ちを込めて、一生懸命作った、ワイ君自慢のドクダミ茶を………
母上の次に、アネウットにも、ごちそうせんといかんな。
喜ぶアネウットの顔が、目に浮かぶやで〜〜〜
今から楽しみや!