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5、アネウットの風邪(BK4P18)


 アネウットが、ワイ君の護衛兼教育係になってから、屋敷に新しいルーティンが出来た。

 屋敷で母上がアネウットにねんをおす。


「アネウット。この馬鹿息子の教育を、任せましたよ」

「ば、馬鹿息子? 母上あんまりやで」

「黙りなさい、馬鹿息子。私は貴方には…………」


「な、なんや、母上その間は」

「私が、どれ程貴方に絶望した事か………」


「若様だってやれば出来るはずです。自分の息子に、そんなに絶望しないでください」

「………………そうね。言葉がないわ、アネウット。私は既に私の息子に期待する事は、やめました」


 は、母上!


「奥様………」

「しかし、私の馬鹿息子を何とかしようとする、貴方には期待することにしますアネウット」

「!!!」


 ビクッと身体を震わせるアネウット。


「やったなぁ、アネウット。母上が人に期待する事なんて、なかなかないで。うらやましいわぁ。流石はアネウットや」

「え、そ、そうでしょうか?」


 可愛らしく照れるアネウット。

 照れるアネウットは見ていて楽しい。


「ワイ君、もう何年も、期待された事無いから、なおさらに………うらやましいで」

「わ、若様。そんな悲しい事言わないでください」


ーーーーーー


 ワイの教育係に就任して、母上から期待をかけられてから数日で………

 アネウットが熱をだした。


 アネウットを、まだ許していない屋敷の人達も、病になるのも、さもありなんと、噂していた。

「若様を護衛はともかく、教育するのは、命を削りかねないバツだ」

 と

「当主様も酷い罰を与えたものだ」


 そんなことも気にせずに

 ワイ君は看病で大忙しや。

 噂に付き合っとる暇はない。

 アネウットを看病するやで〜〜〜。


 食堂へ行くと


「病気で高熱が出ている時に、あの馬鹿息子に看病を頼むなんて。 ………本当に高熱でてるのね。アネウット」


 ワイがアネウットの為に、飲物を取りに食堂へ行ったところ。

 お茶を飲んでいた母上に遭遇した。

 母上は、独り言の様に、ワイ君をディスる言葉を呟いた。


「母上どういう意味や?」

「アネウットの判断力が、熱で壊滅してると言う事です」


 母上はそう言って席から立ち、スタスタと部屋を出る。

 どこ行くんやろ?

 まぁ良いか。


 今は母上よりもアネウットや。

 ワイ君がアネウットの部屋へ飲物を運ぶと………

 アレ?

 そこには母上がいた。


「………やっぱり貴方に看病を頼むなんて、アネウット、本当に重病なのですね」

「繰り返しで悪いんやけど母上、どういう意味や? ワイにはわからんで」


「判断力が鈍ってなきゃ、貴方に看病など頼む人間はいません。この有様は何ですか?」

「ファ〜〜〜! なんでや? ワイ君、傷ついて泣いてまうで」

「泣きたいのは、高熱で苦しんでるときに、貴方に追撃を食らったアネウットです」


 ワイ君は、病気で寝込むアネウットに、なんかイロイロやらかしてもうた。

 わざとや無いんや。


 アネウットは、アネウット自身も、布団もびしょ濡れで、熱で顔を真っ赤にして、苦しそうに呻いていた。


 ただ何時も、ワイ君を優しく褒めてくれるアネウットに恩返ししたくて………

 でも………ワイ君は無能なんや。


「わざとや無いんや。なぜかこうなったんや」

「私の息子は、私をガッカリさせる事においては、本当に私をガッカリさせませんね」

「どういう意味や母上?」


「貴方は、私を絶望させる事においては、絶対、私を絶望させますね」

「………ん? なんか意味変わってるかな? 褒められてる気がせんで?」


「褒めてません。良いからアネウットの看病は他の者に任せなさい。貴方に任せると、アネウットが死んでしまいます」

「ファ〜〜〜。どういう意味や母上」

「良いのです奥様」


 アネウットは苦しそうに、気丈に母上へ、意見する。

 アネウットは母上の事を、当主様とか奥様とか言う時があるな。


「アネウット、馬鹿息子がヘマをやらかしてますが、悪意が無い事は、認めて下さい」

「分かってます奥様。わがままを言って良いのなら、私の看病は、このまま若様にお願いして欲しいのです」


「死ぬ気ですか? アネウット」

「どういう意味や? 母上」

「黙りなさい。馬鹿息子」

「奥様、私はあの1件以来、屋敷の人達と折り合いが良くありません。若様だけが私の味方です」

「アネウット」


「それに、コレも若様の教育の一環です。人を看病する経験を、身を持って若様に積ませるのも、教育係としての私の使命です。例え命をかけることになっても………」

「アネウッ〜〜〜ト」


「いやいや、二人で盛り上がってる所、悪いんやども、申し訳無いんやけれども。なんで命かける事になっとるんや?」


 ただワイ君が、看病しとるだけやで???

 この世は摩訶不思議で謎が一杯や。




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