家に帰る。そして………脅迫される。約束する。
結局ワイ君は家へ帰ることにした。
「ボン。帰るのは良いが。狩りに行った連中が戻って来るまでは、ここにいろ」
「なんでや?」
「無いとは思うが、逃げ出した奴がいたら。捕まえるのが俺等じゃめんどい」
「わかったで。ワイなら呪いで一発や」
「俺らじゃ、山刈りになっちまうからな」
スチールからペット達が全員帰ってくるまでは居るように頼まれた。
なので、いっその事もう一泊する。
「ゴンザレス。母上にワイは明日には帰ると伝言頼むで」
「了解。あと、焼いてる焼き肉。俺も食べて良いですか? いい匂いだ」
「ええで」
続々と狩りから帰ってきたペット達。
各々が獲物で料理を始めていた。
大食堂が活気といい匂いで満ちる。
「ゴンザレス。この施設の事はプラチナム家当主様には内緒で頼む。ボンもそれで良いな?」
スチールは、ここを秘密のままにしたい様だった。
「ええで」
とワイも同意。
「わかりました。内緒にします」
ゴンザレスには、この場所とペット達の事を念入りに口止め。
そして明日帰ると伝えるように約束を。
スチールとペット達との約束は守る。
ゴンザレスにも口止めの約束を守らせる。
約束を守る。
約束は大事や。
無能なワイが守れる約束を故意に破る。
そんな事は出来ない。
それをしたら、
もうただの無能では済まされない。
ただの有害になってしまう。
そうはなりたくは無い。
なので、できるだけ約束は守る。
………守る気があっても
守れない約束もあるけどな。
ソレは仕方が無い。
狩りに興じるペット達も徐々に戻ってきた
意外と獲物が多い。
焼き肉パーティーがはじまった。
「母上は、まだ怒っとるやろうか?」
ペット達が取ってきた新鮮な焼き肉を齧りながら、ワイは呟く。
翌日。
アネウットと2人で屋敷へ帰ると………
母上が屋敷の入り口に待ち構えていた。
あ、怒ってるなコレは。
「もう少し帰ってくるのが遅かったなら。何処にいても関係なく、呪いをかけるところでしたよ」
戻ると、いきなり母上から脅された。
手には金属の杖を持ってる。
そこらをバシバシ叩いとる。
ご機嫌斜めやなぁ。
それにしても呪い?
無意味な脅しや。
何しろ………
「ファッ? ワイには呪いなんて効かんで」
ワイのプラチナム家の紋章は魔法力と魔法耐性に強力なバフ効果がある。
基本的には、ほとんどの魔法は弾く。
呪いなど効かない。
ワイと同じ紋章持ちの母上。
そんな事は当然知ってるはずなのに?
「貴方には効かなくても、アネウットには効きますからね」
「ファッ? 母上。何言うとんのや?」
母上?
「貴方の肉体がいくら強くても、貴方にはアネウットと言う弱点ができました」
「ファッ?」
どういう事や?
「その事に気がついてませんね?」
「………………」
なんにもわからんで?
「よく考えなさい。貴方はアネウットと言う弱点を抱え込んだ。もう貴方は無敵では無いのです」
つまり母上はアネウットを狙うと?
「母上。アネウットに何かしたら許さんで」
「私に逆らうと?」
「がるるる」
「獣ですか貴方は?」
「若様。心配しなくても大丈夫です」
「アネウット?」
黙っていたアネウットが会話に参加する。
「私は若様の足を引っ張るくらいなら、相手と刺し違える覚悟ですから」
「ファッ? そんな事をしたらアカンで」
ワイは必死に止める。
「そうです。そんな事をしてはいけません。私と刺し違える事など許しません」
母上もワイの意見に賛成してくれとる。
アレ?
母上なんで日和った?
「母上。アネウットに呪いをかけたら………」
「わかりました。呪いません約束します。アネウットも私と刺し違えてはいけませんよ。約束ですよ」
「………」
アネウットは無言だった。
「返事をしなさい。アネウット」
「わかりました当主様。何かイロイロと、脅迫する側とされる側があべこべで、矛盾してる気もしますが?」
………アネウットは強い。
ワイには無い頭がある。
単純に脅迫に屈しない精神もある。
だから母上は
アネウットをワイの側につけたんやろう。
でも良かった。
思ってたよりも怒られずに済んだ。
案ずるより産むが易し。
コレで一安心や。
「それはそうとお客が来てますよ。帰ってくるのが遅かったら会えない所でした」
「客? 誰やろ?」
なにか………懐かしい匂いがした。
強いてゆうなら初恋の匂いや。
◆◆◆
本命異性との約束は必ず守る。
約束を守れそうにない時は、
その可能性を事前に伝えておく。
本命で無い異性との約束は、
必ずしも守る必要は無い。
つまり相手に約束を破られたのであれば、自分は相手から見て本命では無いと言う事だ。
その事を知れた訳だから、
その相手を利用する関係にとどまるか、
さっさと別れるべき。
関係をつづけても利用される。
たぶん損をして終わるだろう。
そんな相手と長期間関係を続けると
高確率で相手は地雷に化ける。
自分が相手を利用する関係でも
相手から利用される関係であっても
どちらでも
最終的に、地雷はいつか爆発する。
とんでもない損失をこうむる。
そんな可能性がある
そんな覚悟が必要だ。
人生を歩く上で地雷は少ないほうが良い
わざわざ増やす事は無い。
だからこそ約束は破る為じゃなく
守る為にある。




