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剣と魔法が交わる世界で  作者: 天望
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第4話『森の魔窟の異変』

「きゃぁぁぁぁぁあっ!」


 朝一番に響き渡る少女の声。

 アレクは何事かと飛び起き、寝ぼけまなこを擦って部屋に起きた緊急事態を確認する。

 隣に寝ていたはずのアリシアは、ベッドの側で、おどろおどろしい物を見るような目をして、自分の寝ていた場所を指差して立っていた。


「どうしたのさ、アリシア。そんな大声あげて」

「な、なな、なんで隣で……」

「隣って?」


 すかさずベットから降りると、アリシアが寝ていたベッドの布団を引っぺがす。

 するとそこには、


「えっ、なんでここに……?」


 強制労働環境に放り込まれたはずの、アレクの師匠、もといカムイがいたのだ。

 アリシアはすかさず氷魔法で大槌を作り上げ、それをカムイの頭に振り下ろした。

 ごちん!、と嫌な音を立てて、カムイはきゅーと鳴く。


「キモイのよ! なんでアンタが私のベッドで寝てるの」

「それは簡単明瞭じゃ、若い女からしか得られん栄養があるからじゃよ」

 

 大槌で頭を叩かれた割には、ピンピンしているカムイを、アレクはいつもの事だと呆れて、寝巻きから普段着に着替え始めた。


「ちょっと! アンタからも何か言いなさいよ!」

「師匠が女狂いなのはいつもの事さ、魔が差して君に抱きついてたってだけだろう?」

「薄情なのねアンタ! 同性だろうと嫌な事は嫌だって分かんないのかしら」

「なら大槌で叩いた事で、おあいこにしておきな、並大抵の人間ならそれで死ぬんだからさ」


 ニマニマと笑みを浮かべているカムイに、もう一度、大槌の追撃が入ると、カムイは星を頭に回しながらふらふらとベッドから落ちた。


 カムイたちは着替えを済ませ、朝食を摂りにホテルの一階まで来ると、時間の割には人はまばらであった。

 座る席は決まっていて、名前が書いてある札が置かれた机の前の椅子に座ると、呼び鈴を鳴らして食事を運んできてもらう、という流れだ。


「師匠、そういえば、いつまでこの街に滞在するんでしたっけ?」

「弟子二人の課題が済めば、すぐにでも出発すると言っていたはずじゃがのう。とんだ横槍が入って予定が狂ったわい」

「て、事は今日にでも次の街へ行くんですね」

「あぁそうじゃ」


 届いた料理に手を合わせて感謝を伝え、朝食を食べ始めていた一行に、近づく者がいた。

 それにいち早く気づいたのはカムイで、大きな一口で食べようとしていた目玉焼きを皿に返す。


「なにか用でもあるのか」


 カムイの隣に近づいた者、それは警備兵のリリーであった。

 その後ろにはお付きの警備兵もいて、ホテルの豪奢(ごうしゃ)な内装を見てそわそわしていた。


「おはようございます、カムイさん。この前の依頼の、感謝をお伝えに来ました」

「なんじゃそのことか。強制労働環境から(だっ)した(ねぎら)いにでも、来たのかと思ったわい」


 カムイは朝食を邪魔されたことに毒吐き。

 リリーと話す事よりも、食べることに集中したいようだ。


「実は、カムイさんにお会いしたい、と言う方をお連れしたのですが」

「朝食を食べ終えてから話させてくれ、今腹ペコで仕方ないからのう」

「急ぎの用らしいのですが」

「急ぎでもなんでも、待てと言ったら待て」


 頑なに朝食を食べたいと意思表示したのが伝わったのか、リリーたちはホテルの入口で待っていると言って、一旦席を外した。


 それからすぐに、朝食を済ませたカムイたちは、ホテルの入口で待っていたリリーたちに、声をかける。


「さっ、会いたいと申す依頼人に会わせるのじゃ」

「ほらセナさん、どうぞ」


 セナと呼ばれた人物は、リリーの背後から姿を見せる。

 姿を見せたのは、長い緑色の髪に黄色の瞳の女性で。

 華奢に見えて、出るところは出ているグラマラスな体型で、肌も白玉のように綺麗な肌であった。


「私はセナ・アルフレッドと申します。実はとある人物を捜して欲しくて……」


 声も見た目に沿って、コロコロと可愛い鈴の音のような声だった。

 するとカムイは胸打たれたのか、胸に手を当てて痛がる素振りを見せる。

 彼女に対して態度が軟化したのは言うまでもない。


「ぜひその依頼はこのワシ、カムイ・シンバットにお任せあれじゃ!」

「本当ですか! ありがとうございます!。実は既に、何グループかの冒険者たちに頼んでいたのですが、一向に見つからなくて……」

「ふふふ、ワシにかかれば()せ人など、すぐに見つけてやるのじゃづッ!?」


 脇腹に、肘での重い一撃が入り、カムイは痛がってうずくまる。

 脇腹を殴ったのはアリシアで、アリシアの形相は修羅であった。


「このバカ! 今日次の目的地に向かうって言ってたのに、この街の依頼を受けてどーするのよ!」

「だからって、脇腹を殴らなくてもよいじゃろうに」

「そうでもしないとアンタ、また女性に甘々態度取って、依頼料はいらない、とか言ってどっかへ行く気でしょ」

「な、なんで分かったのじゃ……」


 怒りの形相をしているアリシアを、アレクは(たしな)めるが、その熱、冷めやらぬままで、困り果てる。


「すみません、僕たち今日から、次の目的地『フェールフィールド』に行くんです。だから依頼は受けられないんです」

「そう……なのですね。すみません、とても有名な冒険者だと聞いて来たのですが……」

 

 がっくりと肩を落とすセナを見て、お節介焼きのアレクが話を続ける。


「捜してほしい方って誰なんですか?」

「実は私の幼馴染を捜して欲しいのです」


 セナが言うには、ここ最近、冒険者としての名声を挙げていた幼馴染である、シンパ・ティザームが率いるパーティーごと、いなくなったそうなのだ。

 それも、森の魔窟に潜ったっきりで、彼此(かれこれ)二週間は経っているのだとか。

 魔窟での行方不明者を捜すのは困難を極めるため、やりたがらない冒険者も多い。

 しかし彼女は、相場以上の額を出すと言って、個人的に依頼をしているのだそうだ。


「確かにそれは大変な依頼ですね……」

「えぇ、だから口伝(くちづ)てで聞いた、紫電のカムイ様に依頼をしたくて」

「普段は酒浸りで女遊びが酷くて、ギャンブル狂の師匠にそんな二つ名が……」


 最後のは独り言だと言って誤魔化した。

 ただ、捜すべき場所は分かっているのだ。

 目的地だって、今日、今すぐにでも向かわなければいけない場所でもない。

 ならば、この依頼は受けるべきだろう。


「分かりました、その依頼受けさせていただきます」

「良かった……。これが依頼書です、ギルドには通してありますので、依頼達成時に報酬が支払われますよ」


 セナから依頼書を受け取り、冒険者カードをかざして文面を読み取る。

 そうすると、冒険者カードに『依頼受理1件』の文字が浮かび上がった。


「あとは僕たちにお任せください。絶対にシンパさんを見つけ出し、貴女の元へお連れしますので」


 セナに見送られる形で、アレクたちは森の魔窟へ急ぎ向かう。


 向かった先にある森の魔窟は、今日も(おごそ)かな雰囲気を醸しだし、巨木にぽっかりと空いた穴は薄暗くて、中の様子が伺えない。


「何が、僕たちにお任せください、よ。私は別にこんな依頼、受けなくてもいいって思ってたのに。全くもう」

「そう言って、セナさんの話す様子を見て、依頼を受けようって、思い直したのはどこの誰かな?」

「ふん、アンタだったから叩かないでおいてあげたけど、今度またお節介焼いたら、タダじゃすませないから覚悟しておきなさい」

「それで……」


 後ろを見ると、そこにはアリシアとカムイの他、リリーたちもいた。

 どうしてついてきたのか、とアレクが問いただすと、彼女はこう言った。


「森の魔窟の異変について、『(せい)なる者たち』と言う奴らが、関わっている可能性があるからよ」

「星なる者たち?」


 リリーが言うには、星なる者たちは額に太陽の輝きを表したタトゥーの中に、星の瞬きを表したかのようなタトゥーを彫っている者で構成された、宗教団体だそうだ。

 それを聞くと、アリシアがあっと声を上げる。


「そんな奴をこらしめた覚えがあるんだけど、そいつが話したの?」

「そう、あの時アリシアさんが引き渡した男よ。そして、尋問の結果、森の魔窟で何かの儀式をするってことを聞き出したの」

「儀式ねぇ……」


 それを聞いて、一番反応が悪かったのはカムイであった。

 気難しい顔をして、じっと森の魔窟の入口を見つめている。

 アリシアは、そんなカムイを見て、珍しいと思い、話しかける。


「何よ、そんな気難しい顔しちゃって。儀式なんて単なるままごとよ。宗教関連の儀式は、信者を増やすためのブラフなんだから」

「星なる者たちの儀式は違う。奴らは、ある者を極端に信仰する傾向がある」

()()()()って奴でしょ? 聞いた事あるわ。けどそれが、アンタが気難しい顔をする、理由になるのはなんでよ」


 カムイはムッと押し黙り、一人で、森の魔窟へと向かい始める。

 理由を聞き出そうと、話しかけながら後を追うアリシア。

 残されたアレクは、一応、リリーに他には情報が無いかと聞いていた。


「あとは、赤い髪をした男が、頻繁に森の魔窟の最深部で、シンパさんのパーティーと共に、何かを探しているのを、見かけられたことぐらいかしら。星なる者たちと、関係があるとは思えないけれどね」

「赤い髪をした男……ですか。分かりました、そんな人を見かけたら、話しかけてみます」


 別れの挨拶をして、その場から立ち去るアレク。


 森の魔窟に入ると、そこは木々の根っこが絡みついたかのような壁面が広がっていて、所々には、人が登りやすいように足場が組まれていたり、ロープが垂れ下がっていたりしていた。


「上か下か。どちらにせよ、くまなく捜さないといけないようじゃのう」

「手分けして捜しましょ。アンタが下で、私とアレクが上よ」

「分かった、もし見つけたら念話で呼びかけてくれ」

「了解。さっ、行くわよ」


 アリシアに連れられる形でアレクは上階へと向かい、カムイは下階に続く道へと向かっていった。


 上階は人っこ一人もいないかのように、とても静かであった。

 風切り音が鳴るくらいで、魔物やトラップの類などは一切見当たらなかった。


「なんだか不気味だね。他にも冒険者がいてもおかしくなさそうなのに」

「皆、異常に気づいて逃げ出したか、喰われたかのどちらかじゃない」

「そんな物騒な事、言わないでよね」


 二人は梯子(はしご)を登り、上へ上へと向かう。

 魔窟は広く、たくさんの部屋が連なったような造りになっている事が多い。

 しかし、先程からなぜか、イバラのようなもので部屋の入口が阻まれているのを、多々見かけていた。


「ねぇ、アリシア。なにか変な感じとかしない? さっきから誰かにジッと見られてる感覚がして、落ち着かないんだけど」

「奇遇ね、私も誰かに付け狙われてる感覚がするわ」


 イバラで塞がれた入口以外の道を歩いていると、開けた部屋に出てきた。

 天井が高く、部屋の(すみ)にはイバラから花のような物が咲いていて、部屋の奥にはイバラで囲われた人々が見えた。


「あっ! あんなところに冒険者たちが!」

「ちょっと! 待ちなさいな!」


 捕まえられているのでは、とお節介焼きが働いてしまったアレクを追うように、アリシアは走りだし、部屋の真ん中でアレクを引き留めた。


「助けないと!」

「冷静になりなさいな。あの冒険者たちと、私たちは一切関係がないのよ? シンパさんのパーティーがいるなら分かるけど、あそこには見当たらない」

「だけど、捕まってるんだから」

「水掛け論はやめて。……誰かに付け狙われてる感覚は勘違いじゃなかったみたい」


 ズルズルズルと、重々しい物体が引きずられるような音が部屋に響き、イバラの檻の前に落ちてきた。

 落ちてきたのは、イバラが塊となって大口を開けているような形をした魔物で。

 口のようなところが大きく開かれると、中から人のような形をした物が出てきた。


「あら、あら、あらあら。美味しそうな人間が二人も来たのね。餌を吊るし、道を塞げば勝手にやってくるものね」


 見た事のない魔物は、人の言語を喋り、イバラの檻を宙に吊し上げた。


「あれは見た事ない魔物だ、人の言語を喋るから、もしかしたら魔族かもしれないけれど」

「それは無いわね、魔族は人を食べる事はないから」


 魔族と魔物の違いは人を食べるかどうかだが、先程の発言や行動から察するに、高位の魔物である可能性が高い。


「この私、ドリアーディア様の血肉になってくれるのかしらねっ!」


 イバラの鞭を、アリシアとアレクに飛ばしてくるドリアーディア。

 それを二手に別れることで避け、互いの武器を手に取る。

 ひゅん、と、しなりながら振るわれたイバラをアレクは切り捨て。

 アリシアはイバラごと氷柱で固定する事で、攻撃をいなした。


「ただの餌じゃないみたいね。どっちも活きがいいみたいだけど……」


 アリシアに目をつけたドリアーディアは、触手を集中させて固める。


「一番活きが良いあなたからよ!」


 固まった触手が形を変えて、一束の生き物になると、大口を開けてアリシアに襲いかかる。

 アリシアは恐れなすことなく、それを見据え、自身に魔法をかけると、(すんで)の所で避けた。

 目標を見失った触手は、壁に激突して沈黙した。


「魔力の量も肉の質も良さそうね、絶対に喰ってやる」

「おあいにく様、私は七面鳥じゃないの。お高くついてると、痛い目みるわよ」

「この小娘が!」


 怒りに満ち溢れたドリアーディアは、細かい触手をアリシアに向かわせ、壁に激突した太い触手も動かし始める。

 完全にアリシアに視線が集まっていると踏んだアレクは、自身の体の神経一つ一つに感覚を行き渡らせ、構えを取る。

 恐らく、ドリアーディアの核はあの人型をした部分だろう、そこを切り取れば倒せるはずだ。


「絶技、紫電一閃!」


 一瞬にして、ドリアーディアとの間合いを詰めたアレクは、鞘から刃を覗かせ、今にも振り切られんとしていた。

 しかし、その刃がドリアーディアの体に届く事なく、大口を開けた塊の部分から伸びた触手に、絡め取られてしまった。


「気づいていないとでも? 私が本体だなんて勘違いしてくれてありがとうね」

「アレク!」


 イバラの塊の中を見ると、そこに赤い核のように咲いた花が見え、アレクはそれが本体なのだと理解した。

 まだ活路はあるのだ。


「花だ! 中に花がある! それが本体だ!」

「なぁーに言ってるのかしらね。()()()()しかいないんだから、もうすぐに会わせてあげるわ」

 それを聞くと、アリシアは不敵に笑みを浮かべ。

「そう、アンタも視えてないのね。なら安心だわ」

「何を言って……なんだそれは!?」


 アリシアの周りを、飛ぶようにしてまとわりつく物体。

 液体のように見え、霧のようにも見えるそれは、アリシアに憑いている『エレメンタル』だ。

 魔力の高い者か、ある程度の域に達した魔法使いしか視ることの出来ない不可視の存在。

 それが今、見えるようになったと言う事はあの技がくるのだ。


「第五階位魔法術式解放! 絶対零度(アブソリュート・ゼロ)!」


 襲いくる触手やイバラが(いと)も簡単に凍りつき、ドリアーディアの本体すらも絶対零度の餌食となった。

 そんな中で咲いていられる花はあるわけがなく、花は凍りついてガラスのように割れ、ドリアーディアの身体がボロボロと崩れ落ち始めるのであった。


 アレクの体を縛り上げていたイバラが崩れ落ち、そのまま地面へと落ち、着地を上手く決める。


「ありがとう、助かったよ」

「ふん、アンタなんか食べられちゃえば良かったのよ」

「本当かい? それだったら、僕ごと氷漬けにしてだと思うんだけど、違う?」


 あからさまに、アリシアの弱味に付け入るような言い方をするアレク。

 アリシアは顔を背けて悪態を吐く。

 その頬は、少し赤らんでいるように見えた。


「そんなことよりも、檻に入ってた人たちを助けなきゃ」


 アレクは、イバラの檻に入っていた人たちの元へ行き、その中に、シンパのパーティーメンバーがいないかどうか、尋ねた。

 すると、手を挙げて反応する者が数人いて、アレクは話しかける。


「シンパさんはどこに行きましたか?」

「シンパは、下の方で赤い髪をした男と一緒に、最深部のさらに奥に行ってしまって……」

「下の方ですか、分かりました。アリシア、師匠に連絡を」


 こくりと小さく頷いたアリシアは、人差し指の腹を額に押し当て、魔法の詠唱を始めた。


「皆さんは魔窟から逃げてください。入口までなら安全に行けますので」

「君たちはどうするんだ。まさか下に行くだなんて言わないよね」

「シンパさんを助けるのが、僕たちの役目なので」

「下には行かない方がいい、魔窟自体が変異していて、命を落とす危険がある」


 真剣な眼差しで訴えかける冒険者の忠告を、アレクは真摯(しんし)に受け止める。


「わかりました、じゃあ僕たちも魔窟を出ます。冒険者ギルドにこの事を報告して、すぐに対策を取ってもらいましょう」

「それが良い、だって僕らはまだ駆け出しなんだからさ」


 上階から入口までは、何の変異も見当たらず、ここへ来た道を辿って帰れば、魔窟から抜け出すことが出来た。

 無事に魔窟から抜け出せた事に安堵していると、そこへ、リリーたちがやってきた。


「大丈夫でしたか!?」


 アレクたちの体に傷がないかと確認して、五体満足で、至って健康であると分かると、安心するリリー。


「大丈夫ですよ、リリーさん。けど、森の魔窟に異常事態が発生していて、僕たちはこれから、冒険者ギルドへ報告に向かいます」

「そうでしたか。……けれど、お二人にお伝えしなければならない事があります」


 神妙な面持ちで語り出すリリー。


「セナさんが、尋問中であった星なる者たちの信者に攫われ、信者共々、森の魔窟へと入ったとの報告がありました」

「何ですって!?」


 上層は安全で、そのような人物を見かけなかった。

 と言う事は信者は下層へ行ったのだ。

 下層がどうなっているかは分からない、もし下層に行ったのであれば、すぐさま助けに行かなくてはならない。


「助けに行かないと……! アリシア、師匠から連絡はあった?」

「あったわ、すぐにでも下層に来いって」

「なら行くしかないね。リリーさんたちは冒険者ギルドに、森の魔窟の変異について報告をお願いします! 僕とアリシアはセナさん救出に向かいます」


 すかさず踵を返して、森の魔窟へと再侵入するアレクとアリシア。

 下層では一体何が起こっているのか、森の魔窟はただ静かに二人を飲み込んで佇んでいるのであった。

次回は3月3日の18時に投稿します

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