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剣と魔法が交わる世界で  作者: 天望
37/49

第37話『海の厄介者?』

 事務所に通され、図体が比較的大きな女性は椅子に座ると、アレクたちに木材を編み込んだ椅子に座るように促した。


「依頼主のカエデ・ホセイさんで合ってますか?」

「ここヒガシ東漁港の頭目(とうもく)やってる、カエデ・ホセイとは私のことさ」


 カエデのハキハキとした力強い声に押されてトトが獣耳を伏せる。


「悪い悪い、いつもの癖さ。大声で話さないと舐められる業界だもんで」

「依頼としては、海獣イッカクの成獣を討伐するといった内容でしたけれど、本当に海獣イッカクは周期的に現れてはヒガシに天災を起こす存在なんでしょうか?」

「それは私の代になってからは滅法聞かなくなった。昔はデカい獲物(イッカク)が上がりゃ、天災は起こらないって信じられてたが、起こるもんだったんだよ、そうしても」

「……て事はカエデさんは海獣イッカクではなく、他の何かが天災を起こしているのだと思っているんですか?」


 カエデが「そうさね」と言いながら事務所の壁に掛けられた写真に視線を移し、アレクたちもその写真に目を向ける。


「あの写真に写っているのが私の親父さ。でっかい海獣イッカクを引き揚げた時を収めた写真なんだ。だけどその年に天災が起こった」

「そう……なんですね」

「気落ちするもんじゃないさ、天災が起こったのはもう十数年前の事で、皆忘れてるよ」

「けど天災が起きた要因は分かっていないんですよね?」


 カエデは頷くと地図を広げ、机の上に置く。


「ヒガシの東の()て、地図のギリギリに島があるだろう?」

「本当ですね。僕たちが見た地図と違って、ヒガシの全体像が細かく記されてる」

「天災が起きた時、たまたま親父が『東の果て島』近くで漁をしていたらしいのさ」


 指を指した所はちょうどヒガシの東の島と東の果て島の間ぐらいであった。


「天災が起きた時点で普通ならヒガシに帰ろうとするもんだが、親父は何故か東の果て島に向かったんだそうだ」

「何か東の果て島に異変があったから向かったのかと」

「天災が収まり、程なくして親父が帰ってきた時、私は何があったのか問いただした。けれど詳細には話してはくれず、親父はただ一言、こう言ったんだ。『(にえ)を与え続けろ』と」


 贄と聞き、事務所の空気が重たくなる。

 しかし、それを取っ払うような笑い声が上がり、アレクたちはびっくりする。


「それ以来親父はヒノカミ一族の終身雇用の船長に抜擢されて、親父が言っていた贄を捧げる習慣を私が引き継ぐと、それからは天災が起こらなくなったってわけさ」


 カエデの笑い声が事務所に響き渡り、アレクたちは安堵する。

 しかし一人だけ不穏な表情をしてカエデを睨みつけていた。


「贄に選ばれてるのは海獣イッカクですよね」

「どうしたのさ、そんな怖い顔して」


 ハーフェッドは今朝方の海獣イッカクの子供、トリトン十三世が箱詰めされていた事を思い出したのか、アレクたちは掛かり気味のハーフェッドを宥める。


「この子魔物博士目指してて、魔物愛が強いって言うか」

「そうそう、海獣イッカクの子供が積荷に紛れてた事が今朝方あって」


 ハーフェッドの怒り度合いがみるみる内に上がっていくのが分かり、椅子から立ち上がろうとするハーフェッドをアレクとアリシアが押さえ込む。


「海獣イッカクを贄にはしていないさ。ヒノカミ一族に取り入って、贄となる名産品や海産物を集め、一年に一回、東の果て島にある古びた建物の中に捧げているのさ」

「海獣イッカクを贄にしていない……?」


 膨らんだ風船から空気が抜けるように落ち着きを取り戻すハーフェッド。

 押さえ込む必要はないと分かると、アレクとアリシアは椅子に座り直す。


「私は海獣イッカクが天災を起こす元凶でない事は分かっている。それに海獣イッカクが海の厄介者なんて流布されてるが、それは増えすぎて食べ物にありつけない海獣イッカクが、ヒガシ人の養殖する海産物に手を出してるからだろう。そうならないように海獣イッカクを私らが間引く」

「だから成獣の海獣イッカクを討伐する依頼を貼り出していたんですね」

「そうさね。ただ、依頼を出しても依頼を受注するのがヒガシ人ばかりだったから、飽き飽きしてた所さ。まさか西側の人間や魔族に獣人(ビースタス)が顔を揃えるだなんて珍しいじゃないか」


 熱意の籠った目をするカエデにアレクたちは押される。


「不躾ながら僕たちはヒノカミ一族に会いたいんです。けれど、ヒガシで功績を挙げた人物しか会えないと聞いて」

「ははーん、なるほど。……いや、けどアンタら紫電のカムイのパーティー? メンバー? なんだろう?。紫電のカムイと言えば、ヒガシでは知らぬ者がいない程の有名人さね。そんな人物がヒノカミ一族に会えない事があるとは到底思えないね」


 首を傾げるカエデに、アレクたちも同じように首を傾げる。


「まあ考えたってしょうがない。長々とすまないねぇ。早速海獣イッカクの討伐に向かおう」


 カムイが何故ヒノカミ一族に会えないのかと煮え切らないまま、カエデと共に事務所を出るアレクたち。

 カエデに案内された場所には船がずらりと並んでいる。


「漁はしてないんですね」

「漁は今朝方済んだところさ。昼間になって手が空いた時に海獣イッカクの間引きに行くのさ」

「海の存在は知ってましたけど、実際のところかなり匂いがキツイですね」

「慣れない内はそうさね。ささ、私の船に乗り込みな」


 カエデが木造漁船へと乗り込むように促すと、アレクたちは木造漁船へと乗り込んだ。

 カエデは舫綱(もやいつな)を外し木造漁船に飛び乗る。

 木造漁船の帆が広がり、風を受けて海へと進み始めたのであった。

 

 ――ヒガシには十二の方角に島が存在し、中央の島にはヒノカミ一族が住む建物がある。

 港からヒノカミ一族の住居まで、カムイがアマテラスを守るように警護を努める。

 船から降り立った後、目立った襲撃は無く、住居の敷地内手前まではカムイの警護は続いた。

 従者たちは門をくぐり、アマテラスが乗る黒塗りの乗物(のりもの)がそのまま入っていく。

 カムイが敷地内に入ろうとすると従者たちに静止される。


「むっ、何故入れん」

「紫電のカムイ様、申し訳ありません。ヒガシで功績を挙げられたのが何十年も前の事なので……」

「そうか。なら仕方あるまい」


 従者たちの言葉で踏ん切りがついたのか、カムイは踵を返して門前から去る。


「ふーむ、船を海獣イッカクに揺らされたのが逆鱗に触れたのかのう」


 林道を一人ごちながら歩くカムイ。

 潮風に葉が擦れ、鳥のさえずりが響く。


「しかし一体誰が何の目的で海獣イッカクの子供を積荷に紛れ込ませたのか、気になるのう」


 ふと、遠くから鳥が飛び立つ音が聞こえる。

 強い風が林道を通り抜け、カムイは空を見上げた。

 すると、木々の間から光る物がカムイに向かって迫る。

 しかしカムイは気にする事なく歩き始め、光っていた物が先程までカムイがいた場所に刺さる。


「なんだか騒がしいのう」


 光っていた物――手裏剣が地面に刺さっており、カムイは視線を空から林の中に向けると、視線を向けた先から手裏剣が飛んできた。


「なるほどのう、やかましいのはこれか」


 カムイが魔刃剣を展開して飛んできた手裏剣を弾くと、間髪入れずに背後からも手裏剣が飛んでくる。

 だがカムイは背後から迫った手裏剣を魔刃剣で弾く様子はなかった。

 手裏剣がカムイの背中に迫ろうとした途端、手裏剣が薄い膜のような物で弾かれる。


「貴様らは知らんじゃろうな、西側の防護結界は」


 林の中にいる()()にカムイが告げると、持っていた魔刃剣をあろうことか林に向かって投げ飛ばす。

 そうすると木の枝から誰かが落ちるような音が鳴り響く。


「まず一人」


 獲物を捉えた獣のような目をするカムイは、いつの間にかその手に弓を構えており、林の中にいる存在がその事に気づくのが遅れたのか、矢が放たれるとすぐさま小さな悲鳴が上がり、地面に落ちる音が聞こえた。


「二人、最後に……」


 弓で矢を放ち、隙だらけのカムイに迫る黒い影。

 黒い衣服に身を包んだ者が刀を鞘から抜き、切先をカムイに向けて走る。

 弓が消えたかと思えば、カムイの手には既に魔刃剣が握られていて、相打ちになると覚悟を決めたのか黒い衣服に身を包んだ者は刀を深く握りしめた。


「良い、一瞬で判断しおったの」

「紫電のカムイ! 覚悟!」


 速度の乗った刀はそのままカムイに突き立てられた。


「紫電のカムイ、恐るるに足ら……ず?」


 白い衣服に鮮血が滲むのかと思いきや、刀をよく見てみると、カムイの脇の間に挟まっており、黒い衣服で身を包んだ者は脇から刀を抜こうとするが抜けず。

 四苦八苦しているとカムイの拳が黒い衣服に身を包んだ者の頭に叩き込まれ、気絶した。


「忍者か」


 黒い衣服に身を包んだ者たちは忍者であるようで、林の中にいる二人も林道へ運ぶ。


「くっ、殺せ!」

「殺しゃせんよ。誰がワシを狙ったのか聞かせて貰おうかの」


 林道に運び終わると、カムイは魔刃剣が刺さった者と矢が刺さった者それぞれから魔刃剣と矢を抜き、回復魔法を掛け、質問をする。


「海獣イッカクの子供を積荷として載せたのは貴様らか?」

「何のことだか」

「まあそう答えるじゃろうな」


 カムイは「まあいい」と短く切り、


「ワシを狙ったのは誰からの指示じゃ」

「依頼主は知らん、上からの命令で紫電のカムイ一行を消せと言われただけだ」

「なるほどのう。……ん? 今一行と言ったか?」

「そうだ。弟子たちは今頃海の藻屑になっているだろうな」


 カムイの顔色が変わり、忍者たちはうすら笑みを浮かべる。

 しかし、カムイはニンマリと笑みを浮かべ、忍者たちを縄で縛り上げた。


「貴様らをヒノカミ一族に引き渡し、様子でも見てみるかのう」


 忍者たちの顔から笑みが消え、青白くなる。


「任務を失敗した忍者がどうなるかはワシゃ知らんが、貴様らの様子を見れば一目瞭然じゃのう」


 自分の命が天秤にかけられた途端、忍者たちは必死になって騒ぎ立てるが、カムイは三人の忍者を抱え上げて門前まで行き、門番たちに引き渡す。

 門番たちは驚いてはいたものの、カムイに門を潜らせない意志を見せていた。


「よいよい、そやつらはワシを襲って来ただけじゃから」


 適当にあしらい、カムイは背を向け門前から去ろうとした。

 すると背後からカムイの名を呼ぶ声が聞こえ、カムイは立ち止まる。


「何の用じゃ。ワシは功績は立てておらんぞ」


 カムイが振り返るとそこには、白髪混じりの髪、年輪のようなシワを刻み、歳を取って腰が曲がり、杖無しでは歩けないような老人が立っていた。


「貴様は何者じゃ」

(それがし)はアマテラス様に仕える者。()おに名は捨てた。呼び名は『じい』。紫電のカムイ殿、無礼な対応をしてしまい申し訳ない」

「じいとやら、刺客を差し向けたのは、ワシが衰えておらんのか試したのか」

「何十年も経てば人は衰える。しかし紫電のカムイ殿には関係のない話であったな」


 じいと呼ばれた老人は笑う。


「弟子たちにも刺客を差し向けたのは本当かの」

「紫電のカムイ殿の弟子たちにも刺客を送った。もし負けるようであれば、敷居は跨げないと思え」

「そうか、なるほどなるほど」


 林道の先から一羽の鳥がじいに向かって飛んでくると、鳥はじいの肩に止まり、足に何か白い帯のような物が付いていた。


「どうやら刺客たちはやられたようだ。流石は紫電のカムイ殿の弟子たちだな」

「と言う事は、中に入っても良いと」

「紫電のカムイ殿だ。アマテラス様も喜んで招き入れるだろう」


 カムイがじいの後をついていくように歩き出した、その時である。

 耳鳴りのような音がカムイの頭の中に流れ始め、カムイは慣れた手つきで指を耳に押し当てた。


「なんじゃ急に念話して来て」

『変な奴らが襲って来たから返り討ちにしてやったんだけど、アレクが!』

「アレクがどうかしたのか?」


 念話口はアリシアであったが、何やら慌てているような物言いで、カムイは「落ち着け」と釘を刺す。


『アレクが海から上がってこないの! かれこれ数分は経ってて』

「アレクが海に落ちたのじゃな? 浮かんで来ないのは何故か分かるか?」

『黒い服を着た奴らと戦ってる最中にいつのまにか船から消えてて』

「海に転落したのを見た者がおらんのじゃな」


 アリシアが「そう」と言うとカムイは、


「アレクの持つ剣に集中せい。魔法術式付与武器エンチャンテッド・ウェポンと星導剣の位置だけを測るように索敵魔法を使え」

『っ! 分かった!』

「念話はしばらく使うな、ヒノカミ一族の住居に入るからの」


 念話が雑に切られると、カムイはじいに向かって詫びる。


「申し訳ない、緊急の念話じゃったから出てしまった」

「ヒノカミ一族の住居内では扱われないように。今回限りだぞ」


 門を跨ぎ、カムイはじいに案内されるようにヒノカミ一族の住居へと入って行くのであった。


 ――暗い暗い海の底、人が立ち入れない禁足地のような場所。

 先程までは漁船に乗っていたアレクであったが、何かに海に引きずり込まれ、目が覚めたらこの場所にいた。

 海に引きずり込まれたのにも関わらず、衣服は濡れておらず、剣などを紛失してもいない。


「どこなんだ、ここは」


 体を起こして辺りを見渡すと、岩壁に苔が生えていて、大きな縄が赤い木材で出来た鳥居にかけられており、その先には洞窟の穴がポッカリと空いている。

 すぐ側には水が波を立てながら、押しては返しを繰り返していた。

 すると水面から黒い影が上がって来たかと思えば、水面から顔を覗かせたのは、今朝助けたトリトン十三世であった。


「君が僕をここまで連れて来たのかい」


 トリトン十三世が返事をするが、アレクは困った事に、魔物と会話が出来る程、魔物言語には通じてはいなかった。

 アレクが苦笑いを浮かべ、トリトン十三世に会話が出来ない事を伝えてみるが、返事はキュイしか返ってこない。


「困ったな、ハーフェッドがいたら話せたんだろうけど」


 それを聞いて、首を傾げるトリトン十三世。

 しかし、意思疎通が取れていない事に気づいたのか、トリトン十三世は陸に上がり、アレクの持つ星導剣の柄に口先を当てる。


「それはおもちゃじゃないよ」


 鞘から抜けないように星導剣の柄を掴むと、トリトン十三世が短く鳴く。

 するとどうだろうか、トリトン十三世の鳴き声に混じって言葉のような物が聞こえ始め、アレクは驚いた。


「星導剣にこんな力があったなんて」

『僕の言葉、分かる?』

「分かる。分かってきた。ハーフェッドとは違う形だけど、君の鳴き声が言葉を喋っているように聞こえるよ」

『やった!』


 嬉しそうな鳴き声を上げて、その場で一周するトリトン十三世。


「けど、どうして星導剣の力を君が知っていたんだい?」

『その石は住処に沢山あるよ。けど、力がどうとかはよく分からない』

「そっか。トリトン十三世、ここに僕を連れて来たのは何か理由があるのかい」

『うん! この奥に用があって。……って君の名前は?』


 アレクはトリトン十三世に名前を名乗り、トリトン十三世も同じように名を名乗る。

 そして、トリトン十三世が鳥居を潜り、アレクについてくるように促した。

 ペタンペタンとヒレを使って歩くトリトン十三世。

 洞窟の中はヒンヤリとしていて、少し肌寒さを感じるぐらいである。


「トリトン十三世、君は海獣イッカクが天災を引き起こすって言われてるのは知っているかい」

『知らない。けど天災を引き起こしてる()()なら知ってる』

「どう言う事?」

『毎年捧げ物が上の島に運び込まれている。それを良しとしてか、そのヒトは暴れなくなったんだけど……』

「けど?」

『捧げ物の中に混ぜられた呪いに当てられて、調子が悪いんだ』


 洞窟の先に光が見えて、洞窟から抜け出すと、その先にはかなり広さのある空間が広がっていた。

 つららのように垂れ下がる結晶が天井から伸びており、眼下には水晶の塊がちらほらと生えている。

 トリトン十三世とアレクは下に行くために、坂を降りる。


「トリトン十三世はそのヒトとは面識があるの?」

『僕のひいおじいちゃん、おじいちゃん、お父さんは面識があるけど、僕は数回会ったぐらいかな』

「かなり昔からの付き合いなんだね」

『アレクを連れて来たのは、もしかしたらこの天災を止める事が出来るかもしれないって思ったからなんだ』


 水晶のように滑らかな床が広がる地面に降り立つと、トリトン十三世は長い鳴き声を上げ、洞窟全体に響き渡る。

 すると、地面に生えた水晶の塊が動き始め、群体のように集まると光輝き、アレクは眩しさのあまり、手で目を覆い隠した。

 そして光が収まり、アレクが目を開くと、そこには女性がいた。

 髪や身体全体が水晶のように滑らかに見え、羽衣のような物を掛けており、衣服のような物を着ているのが分かる。


『こんにちは乙姫(おとひめ)様! ご機嫌いかが?』

「トリトン十三世か、(わらわ)はすこぶる元気が良いぞ」

『それは良かった! あっ、アレクに紹介するね、このヒトは乙姫様、東の果て島の領主的存在だよ』


 アレクは乙姫に向かって一礼し、片膝を曲げる。


「トリトン十三世、こやつは?」

『この人はアレク・ホードウィッヒ。冒険者だよ』

「ドンでは無いのか」

『ドンさんではないよ』


 乙姫は肩をガックリと落とす。

 アレクはトリトン十三世にだけ聞こえるように小声で、


「このヒトが件の?」

『乙姫様の事じゃないよ』

「えっ、でも、君はあるヒトが天災を引き起こすって言ってたじゃないか」

『乙姫様じゃなくて、この先にある()()にいるヒトなんだ』


 聞き慣れない言葉に耳を疑うアレクであったが、トリトン十三世は乙姫の方に向く。


『オオナマズ様はどうですか?』

「オオナマズ様は眠ってらっしゃる」

『乙姫様、アレクを連れて来たのはオオナマズ様に掛けられた呪いを解くためです』

「ヒガシ人に混じって存在する『星なる者たち』に掛けられた呪いが解けるのか?」


 疑問に満ちた目でアレクを見る乙姫。


「星導剣なら、その呪いを解けると思います」

「星導剣……! では貴様が星の器か!」

「えっ」


 アレクは驚き、顔を上げると、乙姫は好奇に満ち溢れた表情をしていた。


「ほうほうほう! アレクとやら、オオナマズ様に掛けられた呪いを解いてみよ」

「オオナマズ様とやらに会ってみないと分かりませんが、やってみせます」

「思い切りがいいのは良いぞ、ついて参れ」


 乙姫に案内されるようにアレクはついていき、トリトン十三世もそれについていくのであった。

次回は5月11日16時半に投稿します

追記、次話の執筆時間を確保出来なかった上、盛り上がりに欠けていたので、次話は5月18日16時半に投稿します

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