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剣と魔法が交わる世界で  作者: 天望
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第18話『その物件、曰く付きにて』

 フェールフィールズから帰還して、旅の仲間が四人になった事をアリシアに報告して、いつもの怒りまかせに怒鳴られた明け方。

 いつものようにホテルへと帰路について、いつものようにふかふかのベッドで寝られると、安堵する一行であったが、問題が一つ浮かび上がった。


「ねぇちょっと待って、今残金がいくらか聞いてもよろしくって?」


 なにかとお金にうるさいアリシアは、カムイにそう尋ねると、カムイは何もない空間に手を突っ込み、中から財布を取り出した。


「今……残金は三万九千八百リブラじゃのう」

「足りないわ」

「えっ? 何がじゃ?」

「アンタの脳とお金よ」


 いつものように毒吐くアリシアにカムイは呆れた様子を見せて、財布をアリシアに渡す。


「金が足りんと言うならおぬしが増やせ、ワシに頼めば破滅しか招かんぞ」

「よく分かってるじゃない、けど今回は安い宿に泊まる事で解決しましょ」


 くるりと踵を返すアリシアに、一行は仕方なくついて行き、なんとか安い宿を見つけてベッドで就寝。

 ……と一日はそれで良かったが、問題が浮き彫りになったことにより、アリシアが朝からご機嫌ナナメになって扱いが難しくなった。


「借金こさえた本人はどこいったのよ、知らないの、アレク」

「さ、さぁ? 師匠はいつも突発的に動く事が多いし」

 

 アリシアは、借金を作り出し、いつものホテルに泊まれないほど、お金を持っていないカムイに不満をぶつけたくてしょうがない様子であった。

 しかし、この場にはアリシアの他に、アレクとトトしかおらず、怒りをぶつけようにもぶつけられない状況である。

 そんな雲行き怪しい雰囲気の中、けらけらと笑う者がいた。


「あんなド派手な事が出来る冒険者でも、金銭トラブルには弱いんにゃね」


 明らかにカムイを小馬鹿にする様子のトトであったが、アリシアは怒るどころか髪をいじり出して話を続けた。

 

「あの馬鹿がいても、積極的に依頼を受けられないのよね。依頼主が男だから嫌、だとか、たとえ依頼主が女であったとしても、美人か美少女じゃないから嫌って言って、聞かないのよ」

「選り好み出来る立場じゃないのは確かにゃけど。あの人ならそうするにゃろうにゃー」

「そのくせ、依頼を受けたかと思えばド派手にヘマして報酬がパーになることもあるし」


 報酬、と聞いていち早く顔を明るくしたのはアレクで、素っ頓狂な声を上げて椅子から立ち上がる。


「守護者フェールフィールズの報酬と、セナさんから貰った報酬を合わせれば、しばらくの間は問題ないんじゃないかな?」

「確かにそれはそうね。早速冒険者ギルドに行きましょ」


 アレクとアリシアはトトを引き連れて冒険者ギルドへと向かい、報酬を受け取ろうと受付に足早に駆けつける。

 受付嬢は明らかに困惑の表情を見せていたが、荒くれ者を対応する手腕を持つ彼女は、すかさず笑顔を見せた。


「冒険者ギルドへようこそ! ご依頼を受けられますか? それとも報酬の受け取りでしょうか?」

「報酬の受け取りです」

「かしこまりました、では冒険者カードの提示をお願いします」


 二人は冒険者カードを取り出して、受付嬢に手渡す。

 受付嬢は手慣れた様子で冒険者カードを魔導機器に読み込ませると、用が済んだのか二人に冒険者カードを返した。

 

「昨晩に起きた超巨大ゴーレム討伐、及びシンパ・ティザームパーティの捜索の報酬は合わせて、十万リブラになります」


 中々の額に二人は安堵して、ほっと胸を撫で下ろした。

 受付嬢から十万リブラの入った袋をアリシアが受け取り、その場で異空間へとしまいこんだ。

 そして、そのまま帰るのかと思いきや、アリシアはトトを受付嬢と対面させて、トトは困惑した表情を見せた。


「な、なんにゃ? アタイも何かする事あるのかにゃ?」

「冒険者カード作りましょ、持っておいて損はないわ。身分証明書にもなるんだし」

「にゃにゃ、それなら作ったほうが良いにゃね」


 ほいほいと乗せられる形で、トトは冒険者カードを申請し、即日発行された冒険者カードを受け取った。

 渡された冒険者カードを見て、トトは首を傾げる。


「にゃ? なんかボロっちい木材で出来たカードにゃね。こんなので身分証明書になるのかにゃ?」

「冒険者カードには不変の魔法がかけられてるから、汚れないし劣化もしないの」

「にゃけど、アリシアのは金ピカだったにゃよね? まさか金を盗んで塗ったくったとか……?」

「そんな事するわけないでしょ。これは魔導機器によって加工がされるの、だからランクが上がるにつれて加工費用が上がる。けれどその頃には稼げるようになってるんだから、別段、問題にはならないわね」


 納得がいったのか、トトは冒険者カードを懐にしまいこみ、二人と共に冒険者ギルドから出る。


「あの馬鹿はダイヤモンド級冒険者らしいけど、見た事ないのよねー、冒険者カードを」

「まだ疑ってるのかい?」

「そりゃそうでしょ、あんな金遣いの荒い奴が、高い更新料を払えるわけがないでしょうに」

「んー……、確かにそれは否定出来ないけど」

「凄い奴なのには変わりないんだけど、どうも信用ならないのよね」


 アレクとアリシアは二人して頷きあうが、アウェーな立場のトトは寂しげだった。


「にゃんにも知らないにゃ……、あの客人の事」

「それもそうね、あの馬鹿との待ち合いの場所に行くまでに話してあげるわ」


 待ち合いの場所に行くまでに、アリシアとアレクはトトに、カムイについて知っている事を話したのであった。


 街のはずれにある住宅街。

 どの家も一つ一つが大きく広く、まだ建ってから間もないのか、どれも発色の良い色を見せていた。

 しかし、人の姿は無く、本当に人が住んでいるのか不思議なくらい静かであった。

 そんな住宅街に入り、ここに呼びつけた本人と合流すると、アレクたちは目の前にある建物を見て、嫌そうな顔をした。


「何、この今にも壊れそうな物件は」

「依頼じゃよ、この家の問題を解決すれば、タダでこの家をくれると」

「あのねぇ……、いくら滞在費用がかさむからって言っても、こんなボロ家を貰っても嬉しくないんだけど」

「依頼を達成出来れば、修繕費用やその他諸々もタダにしてくれるようじゃ」


 カムイの隣に立つ者に目をやると、今にも倒れそうなほど生気のない正装姿の男が、フルフルと足を震わせながら立っており、アレクたちは驚きの表情を見せた。


「あの馬鹿が男から依頼を受けるなんて……! ありえないわ、絶対騙されてる」

「まぁまぁそう噛みつくでない。この住宅街はのう、新興住宅地として売られておったのじゃが、この家が建ってから数ヶ月、様々な問題の火種を巻き起こし、人っこ一人住まなくなってしまったのじゃよ」

「……それで? その火種の要因は?」

「コホン……それはじゃのう……」


 発表を勿体ぶるようにカムイは静かになり、真剣な雰囲気を醸し出すと、アリシア以外はその答えをちゃんと聞こうと耳をそばだてた。


「なんとこの家に入ると、美人が現れて夢心地のような体験が出来るのじゃよ!」

「まーたーアンタは!」


 カムイの頭にアリシアの作り出した氷搥(ひょうつい)がゴチンと当たって、痛々しい音が鳴り響き、アレクとトトは丸い目をした。


「そんな殴らなくたっていいじゃないか」

「そうにゃよ、何か真意があって依頼を受けたんにゃろうし」


 アレクとトトがカムイの肩を持つ発言をしたことにより、アリシアはギロリと二人を睨む。

 その怒りの矛先が二人に向くのかと思いきや、肩に氷搥を乗せ、カムイを睨んだ。


「本当にそうかしらね? なら本人に聞いてみましょうか」


 カムイの頬に杖の先で突き、グイグイと押すアリシア。

 それを横目に、頭をさすりながらカムイは口を開く。


「実はじゃのう、先んじて入って待っていたこの依頼人、もといナイスを助けたのもあって事実確認が取れたのじゃよ」


 ナイスと呼ばれた男性は、心なしか夢心地のような浮かれた顔をしているように見え、三人はカムイが嘘をついているようには見えなかった。


「で、その火種の要因がなんなのか、分かったの?」

「それについては中に入ってから話そう。とりあえずアレクを囲むように展開して入るぞ」

「……? まぁいいわ、トトは私の隣ね」


 真ん中にアレクを置き、先頭にカムイ、後方にアリシアとトトが隣り合うように立つ、三角形の陣形をとりながらボロ家へと入って行くのであった。


 ボロ家の中は、所々真新しいようにも見えるが、大部分は木材が朽ちたり塗装が剥がれたりしていた。

 足場となる床材は穴が空いていたりしたため、歩きづらいことこの上なかった。


「で、犯人が誰なのかは分かったの?」

「ワシの見立てによれば、かなり高位のサキュバスじゃろうと睨んでおる」

「家がボロっちくなってるのと関係は?」

「それは知らん。だが、火種の原因となっていたのはこの地区に住まう家主、もとい男ばかりじゃったのじゃよ」

「なるほどね、骨抜きにされた家主たちがこぞってこの家に来たがるわけだわ」


 辺りを警戒しながら歩く一行。

 いついかなる時にも対応出来るよう、武器を持ちながら辺りを見渡す。

 だが、殺風景な家の景色には人の気配が無く、気を張り詰めているだけの時間だけが流れた。


「ねぇ、ほんとにいるの? アンタが来た事によって、警戒して姿を現さないんじゃないかしら」

「とびっきりの餌を引き連れておるのじゃがなぁ」


 三人の視線が真ん中にいるアレクに向き、アレクはキュッと体を縮こませ、苦笑いを浮かべた。


「こんな優男に食いついてくるのかしら」

「にゃに言ってるにゃ、アレクをサキュバスに盗られたくないって、顔に出てるにゃ」

「もう! またアンタはそうやって人をからかう!」


 アリシアはトトに今にも噛みつきそうなほど近寄り、犬歯を覗かせて威嚇していた。


「アレクよ、貴様、精通はしておるか」

「き、急になんですか、セクハラですよ! 全くもう」

「しとるかどうかで、(くだん)の獲物が食いつくかどうか、変わってくるからのう」

「……てます」


 小声になり、顔を赤らめるアレクに、カムイは耳をそばだて、自分にだけ聞こえるように手を添えた。

 アレクはそれにあやかって、カムイに耳打ちをして、事なきを得た。


「そうか、ならばよかろう。良いか二人共、今から言う作戦は、ワシと二人だけの秘密じゃ、近う寄れ」


 言われるがまま、アリシアとトトはカムイに近づき、円陣を組む形で小さな声で話し始めた。

 そして話が終わり、作戦を実行に移すため、アレクを所定の位置で一人にすると、三人は作戦通りの配置につくのであった。


「なんでこうなっちゃうかな……」


 ボロ家の二階。

 個室が並ぶ部屋の一つに、アレクは部屋に備え付けられたベッドの上に座らされて、アレクを狙う捕食者がいつでも襲えるように、武器なども一切持たされていなかった。


「だからって服までひん剥くかなぁ……」


 下着の一張羅で迎える相手がサキュバスとなれば、やることはただ一つなのだが、そもそもうまくやれるかは分からない。

 どう考えても、罠に置かれた餌にしか見えない自分を襲うだろうかと、心配になるアレクであったが、部屋の外から足音が聞こえ始め、アレクはジッと部屋の扉を見据えて固まる。


 ギィッと朽ちた扉が音を立てて開き始め、アレクは唾を飲み込んだ。

 しかし、開き切った扉の先には誰もおらず、アレクは慌てて部屋を飛び出した。


「いない……?」


 廊下を見渡すが、それらしき人影が見当たらず、アレクは思い過ごしだったと、再び部屋の中に戻り、ベッドの(ふち)に腰掛けるが、その沈み方に違和感を感じ、隣を見ると、そこには下着姿のアリシアがいた。


「えっ……?」


 ベッドの縁に腰掛けたアリシアは、とろんとしたまぶたに潤んだ瞳を見せ、視線を誘導するかのような指の動きで下着を触り、アレクを誘惑しているように見えた。

 いつもと違う雰囲気のアリシアに、目のやり場に困るアレクであったが、冷静になろうと深呼吸をするが、胸の高鳴りは抑えられず、顔を背ける。


「ねぇアレク、私の事、好き?」

「わ、わわ、分かんないよ、君はいつも怒ってばかりだから」

「今だけは何をやっても怒らないから、アレクの好きにしても良いよ」

「好きにしても良いって……、らしくないよ」

「そう? でもアレクも男の子だもんね。ここ、こんなにしちゃって」


 柔らかい手が下着の上から隠れている物を触り、アレクは恥ずかしさのあまり、その手を掴んで、強引に引き剥がした。


「アリシア、君ってば絶対に変だよ。師匠と何話してたかは知らないけどさ、サキュバスを捕まえる為にこんな事しなくても良いじゃないか」

「でもアレク、私のことが好きなんでしょう?」


 少しばかりの膨らみがある胸に手を当て、潤んだ目で訴えかけてくるアリシアに、アレクは直視することが出来ずにいた。

 そもそも下着姿のアリシアを見る機会などないアレクには、普段の服装からは想像できない部分を見せられているため、見てはいけない物を見せられているような感覚に陥るのだ。


「アレクの気持ちに応えたいの、だから、ね? 少し背伸びした事をしましょ?」

「背伸びした事ってまさか……、キス……とか……?」

「そう、キス。まずはキスから始めて……」

「ダメダメダメ、駄目だって! キスなんてしたら君が……!」


 柔らかそうな唇がだんだんとアレクの唇に近づいてくる。

 それを拒むように手でアリシアの肩を押さえるが、近づく唇が止まる事はなかった。


「わ、わぁー!」


 抵抗虚しく、そのままアリシアの唇が、アレクの唇に触れそうになる。

 その時であった。


「かかれー!」

「「やぁー!」」


 唐突に姿を現した三人は、ベッドにいるアリシアに向かって走り、それぞれが出来得る限りの魔法や捕縛方法を駆使して、アリシアは難なく捕まってしまった。


「し、師匠、それにアリシアにトト。一体どこから現れたんだ……?」

「転移魔法よ、隣にある部屋からこちらの部屋に転移して、その私の偽者の不意を突いたってわけ」


 顔色が若干悪いアリシアとトトであったが、偽物と揶揄されたアリシアを捕縛するには、別段問題がないようだ。


「神妙にお縄につけい。アリシアに(ふん)したサキュバスよ」

「せっかく若い生気が吸えると思ったのに! 私をどうする気よ!」

「簡単じゃよ、刑務所にぶち込む」

「ひっ……! 刑務所だけは勘弁して!」


 前科が付くと問題しか発生しないためか、サキュバスでも刑務所は嫌がるんだなとアレクは思った。


「ではそうじゃな、地元に帰ってもらおうかのう」

「み、見逃してくれるの……?」

「大丈夫じゃよ、ワシはサキュバスにも借りがあるでのう、地元でしっかり更生すればよい」

「……見逃してくれる事には感謝するんだけど、実は私、地元には帰れないの」


 シュンと大人しくなるサキュバスは、自分の額を晒すように前髪を上げ、額にある物を見た四人は、それぞれ違う驚きの表情を見せた。

 サキュバスの額には太陽のような模様の中に、星の輝きを表したかのようなタトゥーが浮かび上がっており、サキュバスは今にも泣きそうになる。


「この呪いみたいなタトゥーが消えないと、地元には帰れないの。いつもみたいに不特定多数から生気を集めていたら、いつのまにかこうなってて……」


 それに、と続けて呟くと、サキュバスが手で触れたベッドの縁が、新品同然からいきなり年月が経ったかのようにボロくなり、いまにも壊れてしまいそうになった。


「なるほど、魔族にある特殊能力にカミサマの加護が付くとこうなるのじゃな」

「そう、だから地元には帰れないの」

「だからと言って、このままこのボロ家に居続けてもしょうがないのう」


 ちらり、と三人の視線がアレクに集まり、無言で星導剣を渡されると、アレクは覚悟を決めたように鞘から剣を引き抜き、胸の前で星導剣を構えた。


「何をするの?」

「今から想いを集めて、貴女に掛かった呪いを解きます」

「解くことが出来るの?」

「はい、想いが集まればの話ですが」


 両手で構えた星導剣に、家の隅々から集まり始めた想いの数は思ったりも多く、アレクは驚いた。


 星導剣は星を浮かび上がらせ、輝きを放つと、サキュバスに繋がる縄が見え、アレクは有無を言わさずそれを断ち切った。

 そうすると、サキュバスの額にあったタトゥーが消えていく。

 げっそりとした顔をして、アレクはその場に座り込んでしまい、アリシアが介抱する。


「大丈夫? 痛いところはない?」

「無い……けど、なんかめちゃくちゃ疲れた……」


 生気を失っていくアレクを見て、アリシアはアレクをギュッと抱きしめ、出来るだけ肌を触れさせるようにした。


「大丈夫……大丈夫だから」


 アリシアはアレクを抱きしめながら背中をさすり、人の温もりを感じさせるように抱きしめ続けるのであった。


「これで、地元にも帰れるじゃろう。……で、貴様の名はなんじゃ?」

「ありがとう……! 私、フェニミン・リリスって言うの。もしサキュバスの街に来たら私を呼んでね、その時は色々とサービスするから」

「ほほぅ、それはありがたいのう。今はアリシアの姿のままじゃが、変身を解けばきっと、中々の美人じゃろうな」


 トトが呆れる様子を見せ、カムイは転移魔法の詠唱を始め、フェニミンの足元に魔法陣が現れる。

 そして、詠唱が終わると同時にフェニミンの姿が消え、魔法陣も消え去った。


「これで一件落着じゃのう」

「サキュバスが一人にゃったら、にゃけどにゃ」


 痛いところを突かれたと、目を点にするカムイであったが、その後家の中を隅々まで調べ、火種の原因がフェニミンであったと裏付け、カムイたちは外にいたナイスに会う。

 外にいたナイスは、幾分か生気を取り戻しており、やや弱い声だったが、話は出来る状態であった。


「ありがとうございます、これでこの地区にも人が移り住んでくれることでしょう」

「そうじゃろうな。さて、本題じゃが」

「ええ、ええ、分かっていますとも、この家はカムイ様の物です。修繕やその他諸々も今日中には済ませるように取り付けておきましたので、その間にでも、生活用品を買い揃えて来てらっしゃれば良いでしょう」


 そこに、工事業者の格好をした人々が集まり始め、ちらほらと魔法使いの姿もあった。

 それを見てアリシアはギョッとしてから、カムイの耳を引っ張って自分に近づける。


「本当にタダなのよね……!? あれ、最近出来たばかりの魔導高速修繕業者じゃないの……!」

「タダじゃて。もし仮に費用が必要になるならば、おぬしらの手は煩わせんよ」

「信じて良いんでしょうね」

「好きにせい、では頼んだぞ」


 カムイは工事業者たちに挨拶をしてから、その場をさり、アリシアたちは、気が気でない状態で、工事の様子を見守るしかなかったのであった。

次回は6月9日18時に投稿します

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