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15 お仕事


 呑気に暮らせる日常の、なんと幸せなことか……



 ヒューネ湖のほとりは、今日もとっても良い天気。


 ヒューネちゃんとマリモちゃん、


 ふたり仲良くハンモックでお昼寝中。



 ふたりがいっしょにすやすやしている、あのハンモックと呼ぶには少々巨大過ぎる物体は、


『極眠ペアモック』という、複数人数同時お昼寝可能な特製ハンモック。



 極一部の人たちから"ハンモックマイスター"と称賛されているサイリさんの自慢の逸品。


 素材・形状・香り・付与結界に至るまで、全ての構成要素に尋常じゃないこだわりを発揮させまくっちゃった驚異のハンモック。


 サイリさんから僕へのプレゼントだったのですが、後で王都で販売されているお値段を知った時はマジビビりましたよ。



 もちろん寝心地もヤバすぎるほど快適でしたが、こんなの常用しちゃったら日常生活に差し障りが出るかもって封印していたのです。


 噂を聞いたヒューネちゃんにおねだりされまして、サイリさんにひと言相談してから、僕がいただいたモノをヒューネ湖へと。



 結果はご覧の通り。



 まあ、精霊さんはお昼寝も仕事のうちってヒメさまも言ってたし、


 ヒューネちゃんに喜んでもらえたのが何よりのご褒美。




「私も乱入しちゃっても、可?」


 不可です、ロージュさん。


 ふたりのお昼寝のおじゃまをする外道精霊乙女は、


 僕が狩人としての全能力を使って排斥しますよ。



「こんなに愛らしい精霊乙女を外道呼ばわりとは」

「さすがは精霊乙女瞬殺ジゴロ、それでこそフォリス様」


 うるさくするとふたりが起きちゃうので、


 とっととこの場を退散しますよ。



「じゃあ、お姫さま抱っこでの拉致を希望」


 しませんって。


 はい、こっちですよ。



「そしてふたりだけの、愛の逃避行」



 ー--



 なんだか会うたびにキャラが変になってますよね、


 この精霊お姉さん。



 最初に見た時はびっくりするほどの美人さんだと思っていたけど、


 中身がコレだと、外見に惑わされることも無くなっちゃうわけで。



「相変わらず容赦の無い攻撃、いや、口撃」

「しかも、熟女精霊乙女からいたいけな精霊乙女まで、全年齢対応の幅広い性癖の持ち主」

「まさに外道」

 

 えーと、今日はお仕事は?



「テリトリー内の治安パトロール中に、幼い娘さんたちの寝姿をガン見している不審者を発見」

「現在全力で対応中」

「職務熱心なことこの上無い、私」

「褒 め て……(ウインク)」


 はいはい、毎日お仕事ご苦労さまですね。



「そんな仕事熱心な勤労乙女に、ご褒美……」


 無いです、そんなもん。


 ってか、また徐々に自重しなくなっちゃってますので、


 そろそろリスト爺ちゃんに釘を刺してもらわねば。



「い け ず……(投げキッス)」


 はいはい、お仕事がんばってくださいね。


 それでは、僕は仕事に戻りますよ。



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