12 一大事
てな感じで今回も一件落着、
するはずも無いのが、僕の人生……
「大変なことになっちゃったよっ、フォリスさんっ」
どうしたんですか、アランさん。
こんなヒト気のないところに呼び出して。
「いや、本当に一大事なんだよ」
「今のところ気付いてるのは俺だけなんだけど、もしこの事がみんなに露見したら、大勢の人生がよからぬ方向にねじ曲げられる可能性が……」
はい、ちょっと待ってくださいね。
どうやらとんでもない事態になりそうだってことは理解しました。
今、事の詳細を知っているのはアランさんだけってことも。
でも、何でよりにもよって相談されるのが僕なんです?
荒事ダメダメ、揉め事大嫌いなのは、アランさんも良くご存知でしょ。
「……俺が旧シナギ邸に、大事なモノを隠してたのは覚えてるよね」
あー、それ以上は聞きたくないので、帰ってもいいですか。
「アレがさ、無くなっていたんだよ、例の隠し場所から」
うわっ、聞いちゃったよっ、
ってか巻き込まないでくださいよぅ。
「実は、あの隠し場所にアクセス出来るのって、"『鑑定』まなこ"を使える者のみ」
「つまりは、現時点では俺とフォリスさんだけのはずなんだ」
えーと、つまりは僕が第一容疑者?
「違う違う、アクセス出来るからこそ、フォリスさんが犯人になることはあり得ないってこと」
?
「だって、あそこを開ける手段を持っているなら、あんな風にチカラ技でこじ開けたりしないって」
ちょっと待ってください、チカラ技ってことは……
「そう、隠し『収納』庫を、こじ開けられたんだよ」
「あり得ないだろ、空間魔法である『収納』を、物理的な腕力で、だぜっ」
……それって、もしかしてこの世界の法則を根っこからブッ壊しちゃうようなことなのでは。
「だからこその、一大事なんだよ」
正直、けんちゃんに大至急相談が必須の案件ですよね、それ。
「えーと、中に隠してたのがアレじゃなきゃ、俺もみんなに相談したいんだけどさ……」
あー、アレはまずいですね、
バレたら人生詰みますもん。
「フォリスさんしか相談出来る相手がいないって、分かってもらえたようだね」
正直、恥をしのんでけんちゃんに打ち明けるのが得策だと思います。
もしかしたら、ひょっとしたら、万が一にでも、理解してくれる、かも……
「えーと、アヤさんのデータも入ってるんだけど……」
……ダメだこりゃ。




